50キロ圏にヨウ素剤、全国135市町村で防災計画 原子力規制委が指針案

2012.10.3 15:44

原子力規制委員会の定例会合で発言する田中俊一委員長=3日午前、東京都港区

原子力規制委員会の定例会合で発言する田中俊一委員長=3日午前、東京都港区【拡大】

  • 福島第1原発を「特定原子力施設」に指定した原子力規制委員会の定例会合=3日午前、東京都港区

 原子力規制委員会は3日の定例会合で、自治体が原発の防災計画を作成する際の「原子力災害対策指針」案を提示した。東京電力福島第1原発事故を踏まえ、水素爆発などによって大量の放射性物質が放出した過酷事故を想定。事故に備える重点地域を、これまでの原発の半径10キロから30キロ圏に拡大するとともに、甲状腺被曝(ひばく)を防ぐ安定ヨウ素剤の配布を50キロ圏でも検討すべきだとした。

 規制委は今月末までに指針をまとめる。重点地域は15道府県45市町村から、21道府県135市町村に拡大、対象人口は約480万人(一部重複)に上る。各自治体は指針を受け今年度中に住民避難などの防災計画を策定。安定ヨウ素剤の服用指示をめぐっては福島第1原発事故で国の対応の遅れから活用されておらず、従来の方針から大きく変更する。

 指針案では5キロ圏を原発事故が起きた際に直ちに避難する「予防防護措置区域」(PAZ)、30キロ圏を事故対策が必要となる「緊急防護措置区域」(UPZ)とした。50キロ圏については安定ヨウ素剤の服用を対策の中心とする「放射性ヨウ素防護地域(PPA)」を検討する必要があるとした。

 指針案ではほかに、放射性物質に汚染された水が、海水などに流出することなども留意するべきだとした。さらに事故が起きた際の対策拠点施設「オフサイトセンター」については、原発から5~30キロに設置し、30キロ以上離れた場所に複数の代替施設を確保することを求めた。

 これまでは、原発から8~10キロ圏を防災対策が必要な地域(EPZ)に指定していた。だが、福島第1原発事故で、これを大幅に超える範囲に放射性物質が拡散したことから対象範囲を拡大した。