'12/10/13
井笠鉄道、バス事業を廃止
笠岡市を拠点に福山、井原市などで路線バス事業を展開する井笠鉄道は12日、今月末でバス事業を廃止することを明らかにした。人口減や長引く不況で運賃収入が減り、事業の継続が困難になったため。76系統のうち一部の主要路線の運行は11月1日から中国バス(福山市)などに要請している。どの路線が継続されるかは週明けに明らかにされる見通しで、利用者の間に不安が広がっている。
12日付で中国運輸局岡山支局に事業廃止届を提出した。笠岡市内の本社で会見した関藤篤志社長は「地域の皆さまに不便、ご迷惑をお掛けする」と陳謝。2012年3月末時点の負債総額は約32億3600万円としたうえで「赤字経営が10年以上続き、自主再建を断念せざるを得なかった」と説明した。
中国運輸局によると、全国の乗り合いバス事業者の7割が赤字経営。中国地方では、今年4月に呉市営バスが広島電鉄(広島市中区)に全路線の運行を移管した。2006年12月には、中国バスが両備バス(岡山市)の全額出資する新会社として再スタートするなどの動きがあった。
井笠鉄道によると、福山―広島など高速バス3路線も中国バスに事業継続を打診。貸し切りバス事業は、中国バスと北振バス(岡山県矢掛町)に要請した。全従業員158人には同日、月末で解雇すると通知した。中国バスや北振バスに再雇用を依頼している。
【写真説明】記者会見で頭を下げる関藤社長(中)と藤原秀敏常務(左)。右は森倫洋弁護士(12日午後5時、笠岡市笠岡の井笠鉄道本社)