ハイスクールD×D 兵藤一誠が白龍皇!? (ジーニー)
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メイドさん登場!
でも、イッセーの好みからはずれてるので扱いは……お察しください。
むしろ、リアスの意志を無視した婚約話なんて、胸糞悪い話を目の前でされれば……ねぇ?




40時間目

グレモリー眷属の魔法陣から出てきたのは、姫島先輩でもなく、木場でも小猫ちゃんでもなかった。
当然アーシアでもない。
魔方陣から現れたのは、メイド服を身に纏った銀髪の女だった。
俺が知る限り、グレモリー眷属にこんな女はいない。
もしかして、以前問題があるって言ってた、もう一人の『僧侶(ビッショップ)』か?
それにしては、ずいぶんと強大な威圧感を出してるな。
リアス部長より数段上だぞ?

「こんな事をして破談に持ち込もうというわけですか? お嬢様」
「こうでもしないと、お父様もお兄様も私の意見なんて聞いてはくれないでしょう?」
「だからと言って、このような下賤な輩に操を捧げれば、ご両親とサーゼクスさまが悲しまれますよ」

わー下賤だってさ。
あれ、絶対俺のこと指してるよね。
この部屋にいる男って、俺しかいないし。
男でなくても、当人にお嬢様と呼ばれたリアス部長以外だと、俺しかいないし。
本当に失礼だな。人の部屋に勝手に上がりこんだ挙句、屋主を下賤呼ばわりか?
むしろ、捧げられないように断り続けたんだから、感謝の1つもしてほしいくらいよ。まったく……

「私の貞操は私の物よ。私が認めた者に捧げて何が悪いのかしら? それに、私のかわいい下僕を下賤呼ばわりしないでちょうだい。例え、あなたでも怒るわよ、グレイフィア!」

リアス部長も、せめて眷属って言ってもらえない?
下僕って言われると、めっちゃ扱い悪く聞こえるんからさ。
下僕って、こう……奴隷的な、何でも言うことを聞くイメージがあるじゃん?
そんなのお断りだ。

「あなたはグレモリー家の次期当主なのですから、無闇に殿方へ肌を晒そうとするのはお止めください。ただでさえ、事の前なのですから」

あーなるほど。
今の会話の流れで大体事情は読めたぞ。
なかなか胸糞悪い話っぽいな。
大体、リアス部長の奇行の原因が推測出来たところで、銀髪メイドが俺の方を向いて自己紹介を始めた。

「改めまして。私、グレモリー家に仕えるメイド・グレイフィアと申します。以後お見知りおきを」

自己紹介はともかく、不法侵入とか下賤呼ばわりについては何の謝罪もなしか?
ずいぶん偉そうだな。おい!
何様のつもりだ?

「それでグレイフィア。あなたがここへ来たのは、あなたの意志? それとも家の総意? ……それとも、お兄様のご意志かしら?」
「全てです」

メイド……グレイフィアって言ったっけ?
即答するのはいいけどさ。
答えの内容は、メイド個人に、実家に、兄の意志?
リアス部長の事なのに、どこにもリアス部長の意志がないってのはどう言う訳?
俺の前で気に喰わない話をするなよ。

「そう……お兄様の『女王(クイーン)』であるあなたが直々に人間界へ来るのだもの。そういうことよね。わかったわ」

半ば自分に言い聞かせるように言ったリアス部長。
はー、やれやれ。
そういう事情なら、もっと早く言ってくれればいいのに。

「ごめんなさい、イッセー。 さっきまでの事は、なかった事にしてちょうだい。私も少し冷静ではなかったわ。今日の事はお互いに忘れましょう」
「お断りします」
「え?」
「……」

わー、驚いてる驚いてる。
メイドに至っては、表情こそ変えないものの驚いたのか、雰囲気が少し変わったねぇ。
まあ、すぐに殺気に変わったけど……

「リアス部長は、アーシアに話がってきたんでしょう? 」
「え?」
「アーシアは部屋を出て突き当りの部屋です。ああ、泊まるなら言ってください。布団持って行きますから」
「え、ちょっと!? イッセー? 何を言って……」
「あーはいはい。事情は俺が説明しておきますから、アーシアの所に行ってあげて下さい」

リアス部長を部屋から追い出して、メイドに向き直る。
その表情は笑顔だ。作り物感がプンプンするけどな!
それならばと、俺も気色悪い作り笑いで対応させてもらう。

「どういうつもりですか?」
「どういうつもりも何もないですよ。ただ、リアス部長の用件を叶えただけですよ?」
「本気で言っているんですか?」
「リアス部長は、俺の部屋に転移してアーシアの部屋の場所を聞きに来ただけですが、何か問題でも?」
「お嬢様が、そのような用件で来たことは明白で……」
「じゃあ、証拠を出してもらいましょうか? そちらは、何だか勝手な誤解をしているみたいですけど、それを裏付ける証拠はお有りで? 言っておきますけど、リアス部長の言葉はあなたの勝手な誤解に対しての言い分ですから。売り言葉に買い言葉ですね。」

最初に破談云々言い出したのはメイドさんの方だし、俺とその話をしていなくても、ああ言われたら自分の気持ちを言うだろう。
リアス部長自らが『破談にしようとして押しかけた』って言ったなら別だけど。
今回は、メイドの勝手な誤解にリアス部長が自分の意見を答えただけ。

それだけの話だ。

「そのような戯れ言を信じろと?」
「信じる信じないは、そちらの勝手ですけど、少なくとも誰かに証明するのは無理ですよ? 貴方の誤解の通り、操を捧げて婚約だか結婚を破談にしようと企んで来たなら、下着の1つも脱ぐでしょう? リアス部長の着衣に乱れなんてありましたっけ?」
「どうして事じょ……」
「どうして事情を知っているのかと言えば、ただの推測です。2人の話から推測しただけです。どうやら当たっていたみたいですけどね」
「……」

論破完了。
急ごしらえだから苦しいけど、これで乗り切れるかな。

「先ほど、お嬢様の眷属と言われておりましたが、お名前は?」
「『兵士(ポーン)』兵藤一誠」
「一誠! 貴方が白の龍皇に憑かれた者……」
「それで、もう用件は済んだでしょう? リアス部長が帰るまでこの家に居るのは自由ですが、この部屋からは出て行って下さい。俺はもう寝るので」
「……失礼致します」

一礼して、メイドは部屋を出て行った。
はあ……やっと眠れる。


部長に興味はないけれど、理不尽な話は大嫌いなイッセーでした。




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