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'12/10/3

水素爆発想定し防災対策 原子力規制委が指針案


 原子力規制委員会(田中俊一委員長)は3日、東京電力福島第1原発事故を踏まえた防災対策の「原子力災害対策指針」の原案を示した。事故に事前に備える防災対策重点地域を原発の半径10キロ圏から30キロ圏に拡大することが柱。水素爆発の発生で原子炉格納容器が破壊され、大量の放射性物質が拡散する事故を想定して事前に十分な対策をとることが必要とした。

 規制委は今月末までに指針をまとめる。30キロ圏への拡大で、対象となる自治体は現行の15道府県45市町村から21道府県135市町村に増加。富山、岐阜、滋賀、鳥取、山口、福岡の6県が加わる。自治体は住民避難の手法などをまとめた防災計画を来年3月までに策定する。

 原案では、甲状腺被ばくを避けるための安定ヨウ素剤の服用指示は、従来の方針を大きく転換。福島事故では国側の服用指示が遅れてほとんど活用されなかった反省から「より住民に近い組織が服用指示の判断をするべきだ」とし、国はその支援に回るべきだとした。

 半径5キロ圏は事故後直ちに避難する「予防防護措置区域(PAZ)」に改める。30キロ圏を「緊急防護措置区域(UPZ)」とする。また半径50キロ圏を目安に、安定ヨウ素剤の服用を対策の中心とする「放射性ヨウ素防護地域(PPA)」を検討する必要があるとした。

 安定ヨウ素剤は、半径5キロ圏では各家庭に事前に配布。30キロ圏は事前配布も有効とし、50キロ圏についても検討する。

 原発に近すぎ、放射線量の上昇などでほとんど機能しなかった事故対策拠点「オフサイトセンター」の設置範囲は原発の半径5〜30キロ圏が適当とした。また緊急時の放射線モニタリングは規制委が司令塔として指揮を執るとした。




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