ソフトバンク(9984)が米携帯会社の買収に動いているとの報道を受けて、同社の株価は12日にストップ安寸前まで急落した。今回はソフトバンク株の動向を以前のケースと照らし合わせてみてみたい。
ボーダフォン買収発表時は、株価は最初下げてその後上げた
先進国の携帯電話市場は大きく伸びなかったとしても縮小することはない。その一定の大きさの市場を3~4社で分け合う。極めて参入障壁が高いので、新たな競合が登場することはない。
今回のソフトバンクのテザリング導入などを見てもわかるように、競合他社の戦略を見て、ある程度追随すれば大きくコケることもあまりない。つまり、どの企業も大赤字になることは考えられない。むしろどの企業もある程度の安定的なキャッシュフローが見込めるというわけだ。
それゆえに今のソフトバンクが存在する。ボーダフォン買収を発表したのは6年前のことである。あの時も当初の株価は大幅下落した。
下落の理由は買収金額が高い(正確には大きいと表現すべきであろうが)、借入金負担が懸念される、というものであった。しかし、ソフトバンクは事業証券化という手法を用いることで1.5兆円もの大型買収を実現し、その後見事に携帯電話事業を同社の柱とした。
当時と今ではソフトバンクの信用力は大きく異なる。ボーダフォン買収発表時の同社格付けはS&PやMoody’sではBa3やBB-とジャンク債の扱いを受けていた。機関投資家にとっては、この会社の社債は買っては行けないという水準である。それが今では投資適格であるBBBやBaa3にまで改善している。当時と今とでは資金調達能力は格段にアップしている。
しかも、引き続き超低金利環境が続いていること、そして、今の円高だ。6年前、買収資金を支払った相手は英国企業ではあったが、当時の円ドルレートは115円前後。今は80円を切っている。日本企業にとっては海外企業を買収するには絶好のタイミングである。
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