10月7日に11節を終えた12-13シーズンのロシアプレミアリーグ(以下ロシアPL)で、本田圭佑は全試合に先発出場している。ここまで5ゴールはCSKAモスクワのトップであり、リーグ全体でも5位タイにつけている。

チーム内での役割は明確になった。

アタッカー陣にドリブラータイプの多いCSKAモスクワは、これまで中盤のディフェンスがおろそかになる悪癖を抱えていた。攻撃陣で危機察知能力の際立つ本田は、しばしば最終ラインのサポートへ走っていた。スルツキー監督がときにボランチで起用したのも、彼しか適任者が見当たらなかったからだ。

だが、1月にヴァアンブローム、今夏にエルムと二人の守備的MFが加入したことで、ディフェンスの負担が軽減された。ロシア代表ジャゴエフに譲ることもあったトップ下の座も、シーズン開幕から本田の定位置となっている。CSKAがアンジ・マハチカラに次ぐ2位につけているのも、背番号7の日本人がいるからこそだ。本田の残留こそは、何よりの補強だったと言ってもいい。

リーグでトップクラスの攻撃力を持つCSKAだけに、本田がゴールに絡むのはある意味で必然である。そう考えると、ゴール数はもちろんどのチームから得点を奪うのかも、重要な意味を持つ。

成果はまずまずだ。リーグ2連覇中のゼニト戦でチーム唯一の得点をあげ、スパルタク・モスクワとのダービーでは1得点1アシストの活躍を見せた。西欧の強豪クラブへのステップアップを目ざす本田にとって、CLに出場しているゼニトやスパルタクからの得点は確かなアピールにつながる。

CSKAで結果を残しているだけに、日本代表としての期待も高まる。

屈強な大型選手の多いロシアPLだが、西欧や南米の選手をCBに起用するチームは少なくない。強さや激しさだけでなく、精神的な駆け引きも求められる。リーグ戦という日常で磨かれるのは、コンタクトプレーの強さだけではないのだ。

主砲ドゥンビアが離脱中のCSKAは、ドリブラーのアーメド・ムサを最前線に置く。システム的には4-2-3-1でも、ゼロトップのようになる時間帯がある。ムサを追い越してゴール前へ飛び込んでいくのも、本田に求められるタスクだ。

日本代表での役割は、CSKAでのプレーをなぞるものだ。ザックのチームは守備の決まり事に細かいが、それにしても攻撃のパワーを削ぐものではない。ブラジルやフランスといった世界のトップクラス相手にどこまでできるのか──間違いなく彼は、本気で勝利をつかもうとしている。

TEXT BY 戸塚 啓

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J SPORTS 編集部