「極度の飢餓状態にある人や糖尿病患者にとって、酢がかなり重要なようだ。
東京大先端科学技術研究センターの酒井寿郎教授(代謝学)らがマウスで明らかにした。
3日付米科学誌セル・メタボリズム(電子版)に掲載される。
体内では、代謝によってできるATP(アデノシン三リン酸)が、
体を動かしたり体温を維持したりするエネルギー源となっている。
ATPを生み出すには、瞬発系の運動ではブドウ糖を、
持久系の運動だと脂肪酸やケトン体を主に使うことが知られている。
チームはATPをつくる代謝経路に酢酸も関係していることに着目。
遺伝子操作し、ブドウ糖や脂肪酸は代謝できるが酢酸は代謝できないマウスをつくった。
このマウスと正常なマウスで、エサを与えた場合と48時間絶食させた場合を比較。
酢酸を代謝できないマウスだけが、絶食状態のときに著しく体温と持久力が低くなることがわかった。
酒井教授は「ブドウ糖の吸収、利用が極端に低い糖尿病患者に、
血糖値を上げないエネルギー源として酢が役立つかもしれない」としている。(2月4日 朝日新聞)」
コメント
現代の飽食時代にあっては、
肥満・メタボリック症候群が社会的にも問題になっています。
米国では近年、低インスリンダイエット
(低炭水化物ダイエット、いわゆるアトキンズダイエット)が、
低脂肪食にかわる効果的ダイエットとしてブームになっています。
さて、酢が糖尿病患者に効果があるか否か?
最終的には、多くの糖尿病患者さんを対象して、
酢を規則正しく摂取する患者さんとしない患者さんに分けて、
血糖値の程度(例えば、酢の摂取群では上昇しないか否か、
または、適正に下げることができるか)や、
生命予後はどちらが長いか等を長期間にわたり調べねばだめ。
まあ、多分、少々の効果はあるでしょうけど・・・。
あと、補足として、この実験結果からできる可能性がある薬として・・・
今回の酢酸を活性化する酵素を欠損したマウスでは、
低インスリンダイエットによって体重増加が更に抑えられることも
明らかとなったことから、このダイエット法においては酢酸を活性化する阻害剤が、今後、抗肥満薬として効果を上げる可能性が示唆されるでしょう。