2009-02-24 22:46:05 ihepの投稿

大学の先生の日常(2)

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 このあいだのバレンタインデーには、Natureに論文を投稿した。まあ、Natureは、いわずと知れた、科学界のトップ誌である。

 ちなみに、Nature、Science、Cell、N Engl J Med、Lancetが、医学・生命科学系研究者ならば、世界中の誰もが目標にする雑誌である。(前3つは、基礎系、後ろ2つは臨床系・・・このうち、3つ載ってます。後ろ2つのほうが、即、臨床だから、患者さんや一般の方々にとっては、より身近。)



 このあたりの科学誌・医学誌は非常に権威があり、受かるには、かなり厳しい審査を通過しなければならない。だから、科学者(医学者)の皆さんは、首尾よく掲載されれば、かなり自慢する。場合によっては、TVや新聞に載るし、多額の研究費獲得が俄然、有利になる。


 あの日にNatureに論文投稿したのは、Nature→ ネイチャー →ねえちゃん(お姉さん)ということで、逆チョコを贈るには最適な日だったからである。


 そしたら、なんか好意的な返事が予想外の前代未聞のスピードで返ってきて、対応中。。。


・・・で、今日は、また、新たに論文をCellに投稿しました(笑)。
まあ、Cellに画期的なデータを「Sell」するわけですね。


 ホワイトデーあたりに、審判がくだるでしょう。


このごろ、なんでも恋愛系のネタに結び付けたがる先生でしたとさ。



2009-02-23 21:54:59 ihepの投稿

首相の会員制バーの使用頻度の変遷

テーマ:ブログ

 かねてから、注目してきた首相の会員制バー(都内高級ホテル)への「ご出勤」回数(笑)。就任時は、月10回だったのが、今は月4回に減ったそうだ。


 いよいよ、首相は、支持率調査からしてもバーで寛げる状況ではなくなったわけだ。1月中旬に、引越しした「首相公邸」で、やけ酒か・・・。


 まあ、私のように、バーなり「居酒屋」で寛げるどころか、逆に、かなりのストレスを抱える珍しい人間も、この世にはいますけど。




 


 



 


 



2009-02-22 06:18:47 ihepの投稿

他人の不幸は蜜の味

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 他人の成功や長所を妬(ねた)んだり、他人の不幸を喜んだりする感情にかかわる脳内のメカニズムが、

放射線医学総合研究所や東京医科歯科大、日本医科大、慶応大の共同研究でわかった。

 妬ましい人物に不幸が訪れると、報酬を受けたときの心地よさにかかわる脳の部位が働くという。

13日付の米科学誌「サイエンス」に発表した。

 研究チームは、健康な大学生の男女19人にシナリオを渡して平凡な主人公になりきってもらい、

ほかの登場人物に対する脳の反応を磁気共鳴画像装置(fMRI)で調べた。

 主人公は志望企業に就職できず、賃貸アパートに住みながら中古の自動車を所有するという設定。

大企業に就職し、高級外車を乗り回す「妬ましい」人物が登場すると、

身体の痛みにかかわるの「前部帯状回」という脳の部位が活発化した。

 自分と同じく平凡な人生を歩んでいる登場人物には、この活発化が見られなかった。

 次に「妬ましい」人物を襲った「会社の経営危機」や「自動車のトラブル」などの不幸を示したところ、

報酬を受け取ったときの心地よさにかかわる「線条体」が強く反応。

 この反応は、平凡な友人の不幸では見られなかった。

 また、妬みの感情が強いほど、不幸が訪れたときの反応が活発だった。

 放医研の高橋英彦主任研究員は「線条体はおいしいものを食べたときにも働くことが知られる。

他人の不幸は文字通り“みつの味”のようだ」と話している。(MSN 科学)





人をねたむ感情と人の不幸を喜ぶ感情をつかさどる脳の場所がそれぞれ特定され、

二つの感情は密接に関係していた――。

物語を読ませて被験者の感情を引き起こし、機能的磁気共鳴断層撮影(fMRI)で調べた。

放射線医学総合研究所などのグループが、13日付の米科学誌サイエンスに発表する。

 高橋英彦主任研究員らは、大学4年の男女19人に感情を引き起こす物語を読んでもらった。

物語には、被験者に加え、ABCという3人の学生が登場する。

被験者と同性のAは、進路や人生の目標がほぼ一緒のライバルだが、成績優秀で裕福、異性にもてる。

Bは異性で優秀だが、進路や目標は重なっていない。Cは異性で普通の成績で進路は関係ないという設定だ。

 物語を読んだ後に、学生ABCに対するねたみの感情を6段階で答えてもらい、脳の血流の変化をみた。

ねたみの感情はA、B、Cの順に高く、身体的な痛みや葛藤(かっとう)などを処理する脳の前部帯状回が働いていることがわかった。

 次に、最もねたましいAとねたましくないCに、不幸が起こる続編を提示。

Cには起きなかったうれしい気持ちがAには中程度示された。

このとき、脳の線条体が活発に動いた。この領域は、社会的、金銭的な報酬を得たときに活動することがわかっている。

 また、ねたみにかかわる脳の領域の活動が高い人ほど、他人の不幸を喜ぶ領域で反応が強く出た。

 柿木隆介・生理学研究所教授は「ねたみと他人の不幸に対する自己満足は、深い関係があることを示した興味深い結果だ」と話している。(朝日新聞 佐藤久恵)


コメント


最近、fMRIを用いた、この種の報告が、見受けられる。

去年は、PNAS誌掲載の「ワインねた」だったな。


まっ、fMRIの悪用の仕方が、いろいろ考案できますね(笑)。



2009-02-20 08:14:28 ihepの投稿

脳の働きを英語で、しかも5語で説明する

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 今日は、知人に教えて貰ったネタを1つ。


 科学者は、一般の方々に対して、各自の専門分野を、なるべくわかりやすく、できるだけ短く、”しかし”本質を捉えた”説明を要求されることがあります。


 ハーバード大学のステーブン教授(心理学)はColbert Reportという番組で司会者から、次のように質問されました。


 ・・・「あなたの専門は脳の機能らしいけど、難しそうなトピックだよね~。でもさ、私にもわかるように、脳がどのように働くのかについて、5語以下で説明してくれないかな?」


 教授は、次のように答えました。

 Brain cells fire in patterns.


なるほど!でも、これだけでは、さすがに全員にはわからないでしょう。


 そこで、司会者は「じゃ、あなたのいう、そのパターンとやらが人間の行動なんかを決めているんですよね?」とフォローをしました。


 そしたら、教授は、次のようにいいました。

A pattern corresponds to a thought.



このように、10語あれば完全に概念が伝えられますね。


 最初の5語で、まず本質を捉えつつ「パターンって何だろう?」という人々の好奇心を喚起させる。そして、次の5語で更に核心に迫っていくというわけです。


 ふむふむ、勉強になりました!

2009-02-19 11:52:58 ihepの投稿

「別れ」に見る女性と男性の考え方の違いとは?・・・に関する医学的解析!

テーマ:ブログ

 今日の早朝に、Nature誌から私の「ヒトiPS細胞研究」論文に関して「掲載に前向きな返事」がきた(こういうのは、「京都人」さんなら興味あるかもな)。

それで、共同研究をしているハーバード大学医学部の准教授と電話・メールで打ち合わせ後、ちょっと一息いれようとしたら、あらあら、もう昼やんけ(笑)。

 今日は、教育も臨床もなくて、よかったわ・・・。


 ・・・で、生協で弁当を買ってきて(昨日から、なにも腹に入れてない)、このブログを書いてます。


 以下、「別れ」に見る女性と男性の考え方の違いとは?・・・ 


まず、記事は以下を参照。


http://news.ameba.jp/cobs/2009/02/33947.html



そして、その記事に関する女性記者のコメント

 「男性の皆さん。女性が昔のことを引っ張り出してきたときは、「しつこいな」とか思わないで欲しいものです。だって、女性はそういう脳の作りなんです。しかもそんな脳の構造にプラスして、結婚を意識している女性は彼氏の行動ひとつひとつを単発では捉えず、そこから「結婚後の生活」を連想している人も多いと思うんですもの。

女の私からのものすごーく一方的な要望としては、
みなさんに対しての彼女からの小さな文句(これは「あなたとの結婚生活に憧れを持たせて!」というSOSかも)を、できれば笑顔で受け止めてあげて欲しいものです。

(桜まゆみ/プレスラボ) 」(2月17日)



・・・で、私のコメント:


 さすがは、女性。

いいこと言うねえ~。


・・・で、このあたりの医学的解析については、なんか前に書いたような・・・。

あった!・・・2月6日の私の記事。


「なぜ女性は突然怒り出すのか?・・・医学的解析!」(2月6日)。


 なお、関連リンク】 脳のお勉強会 には・・・
男女の脳の違いについて、まあ適当なことが書かれてあります。

参考には、なるでしょう。

 しかし、上記の2月6日の私の記事では・・・

いちおう私は、これでも現役の国立大学法人の医学部医学科教官ですので・・・

「より詳細かもしれないがなるべく、わかりやすく」(を心がけ)、書いたつもりです。

 

 是非、お時間のあるときにでも、上記のニュース(及び上記の女性記者のコメント)、とをあわせて、読んでみてください。


 ニュースの編集部コメントも見ましたが、一連の事々をあわせていえることは、どうやら医学的にも実際でも「女性のほうが過去のこと・・・特に嫌な事・・・については、しっかり覚えて、蓄積していく」という結論のようですね。




2009-02-18 00:36:14 ihepの投稿

大学の先生の日常(1)

テーマ:ブログ

理系の大学の先生って、お金持ちなの?
以下を読めば、とても、それどころではない現状が理解できるかと。
下記の舞台は、米国です。
しかし日本でも、こうした凄惨な状況は、かなり似てきています。

研究者は、生活費込みの研究費(「グラント」といいます)をNIHなどの機関から競争で獲得して仕事をしています。そのグラントは、日本円に直すと、だいたい年間で2000万円~3000万円くらい。期間は3年~5年。この中で、自らおよびスタッフの人件費がまかなわれています。これが獲得できなきければ、早い話、失職します。

最近のNature誌では、現在進行中の経済危機の中でグラント獲得に苦しむ研究者の生の姿が取り上げられています。

10年以上にわたり、研究室を運営してきた2人の優れた研究者Jill Rafael-Fortney教授とDarcy Kelley教授が、再三の再投稿にも関わらず、グラントを更新できずに研究室縮小を余儀なくされ、閉鎖寸前にまで追い込まれていくストーリーがドキュメンタリーとして描かれています。
Research funding: Closing arguments; Nature 457, 650-655 (2009)
Nature-closing-Feb09


このタイトルのClosingは研究室を閉鎖することです。

写真では、研究者たちのClothig(この場合、白衣)が掛けられてある風景が掲載されており、シャレにならない物凄いウルトラクラスの駄洒落のように思えました。

とても人ごとではなくて、身につまされる記事でした。
「努力が報われる」とはかきらないのは、どの職業でも同じです。
ただ、米国に比べて、日本では公正かつ透明な研究者評価がなされていないですから、余計にひどく感じます(昔よりは、幾分ましには、なりましたが・・・)。

 特に、これから医学・生命系科学者を志す人には、「医師か薬剤師、看護師」の免許を持っておいたほうがいいと思います。
 
 

2009-02-16 15:40:49 ihepの投稿

「お帰りなさいませ、献血ルームへ」―メイドさん効果で献血者数が1.5倍に

テーマ:ブログ

 このところ献血者数が減っていて、血液需要を満たすのが大変です。 

ただし、2月3日付読売新聞によれば、

JR秋葉原駅近くにある「アキバ献血ルーム」が、

開所以来の3年間で、献血者数を1.5倍に伸ばす勢いだそうです。

 2005年6月にオープンしたこの献血ルームでは、

2006年3月の1カ月間、宣伝のため、

近くのフットケアサロンの女性たちに来てもらい、

献血者にメイド姿でハンドマッサージを行ったそうです。

期間限定のサービスでしたが、いまだに「メイドさんはいますか?」と

尋ねる来訪者がいるそうです。 


コメント


 このアイデアには日赤本社でも「品がない」という議論があったそうです。

そらそうよ(笑)


 しかし、献血のようなボランティア活動も、

もはや単に人々の善意に訴えかけるだけでなく、

このようなアイデアを成績に結びつける工夫も

必要な時代になったとはいえるのかもしれませんね・・・。



2009-02-15 09:51:10 ihepの投稿

進行癌に対する抗癌剤の追加併用で状態が悪化・・・NEJM誌 2月5日号から

テーマ:医療・健康情報

 進行した結腸直腸(大腸)癌患者に対する標準的な3剤併用治療に、

4種類目の抗癌剤をさらに追加すると、

状態が悪化することがオランダの研究で明らかにされ、

世界最高峰の医学誌「New England Journal of Medicine」2月5日号に掲載された。


 4月以降の大学院講義ネタで使用予定だけど、メモ書き程度にブログに保存(笑)。興味のある方は、読んでください。

 今回の研究は、直腸結腸癌が転移した患者755人を対象としたものである。

ベバシズマブ(商品名:アバスチン)、オキサリプラチン(日本での商品名:エルプラット)、

カペシタビン(ゼローダ)の標準的な3剤併用治療にセツキシマブ(アービタックス)

追加すると有益な効果が得られることが、

動物実験のほか2件の小規模ヒト試験で認められたことから実施された。


 それぞれの薬剤は作用が異なり、カペシタビンとオキサリプラチンは

癌細胞を直接死滅させるのに対し、

ベバシズマブには細胞分裂を促進する血管内皮増殖因子を阻害する作用がある。

 試験の結果、4剤併用治療を受けた患者の平均生存期間は9.4カ月であったのに対して、

3剤治療群の生存期間は10.7カ月であった。

また、4剤治療群では副作用が高頻度でみられた。


このような結果が出た理由は不明だが「抗体間に生じる未知の攻撃性によると考えられる」と、

報告を行ったオランダ、ラドバウドRadboud大学教授のCornelis J.A. Punt博士は述べている。

動物実験で副作用が少なかったことも手がかりになり、

実験動物で毒性が少ないということは、生物学的効果も少ないのだという。


 この知見から得られる教訓は、癌だけでなく、エイズ、結核など

他の疾患の新しい治療にも当てはまると、

ハーバード大学医学部教授のRobert J. Mayer博士はいう。


 「作用の異なる薬剤を追加することは有益であるとの考えが定着しているが、

細胞の構成成分間に混乱を生じる可能性もあり、

副作用の重複がなくても総合的な作用が必ずしも有益であるとは限らない」

と同氏は指摘している。


 生きた細胞は複雑な機械のようなものであり、

癌治療に新たな薬剤を追加する場合、何が起こるかを予測するのは不可能であるという。

「大規模な、多額の費用をかけた臨床試験を行う必要がある。

簡単に実施できることではないが、

これらの薬剤が利益をもたらすはずだという熱意と期待を持っている」とMayer氏は述べている。


コメント:


 ヒトiPS細胞を利用して、ここで書かれた「限界」をある程度突破しつつあります。

ご期待くださいな!


 




2009-02-14 07:43:07 ihepの投稿

iPS細胞で心筋梗塞改善;マウス使った実験で確認-阪大

テーマ:医療・健康情報

新たな万能細胞と期待される人工多能性幹(iPS)細胞を使い、

マウスの心筋梗塞(こうそく)の病状を改善することに大阪大医学系研究科の

澤芳樹教授と三木健嗣研究員らが世界で初めて成功した。

3月5日から東京で開催される日本再生医療学会総会で発表する。
澤教授らは京都大の山中伸弥教授が開発した手法でマウスのiPS細胞を作成。

従来の手法では心臓の筋肉になる細胞を特殊なマークを付けてより分けていたが、

澤教授は心臓の筋肉だけを残す独自の培養法を開発、

心筋のシートを作って心筋梗塞のマウスの心臓に張り付けた。
その結果、シートを移植した8匹のうち半数で血液を送り出すポンプ機能が改善した。

ただ、残り半数は移植した細胞が腫瘍(しゅよう)化した。
培養した細胞の99パーセントが心筋に分化したが、

残る1パーセントの未分化細胞が腫瘍になったとみられる。

今後の研究で純度を上げることができれば、新たな心臓病治療に応用できる可能性もある。(時事ドットコム)


コメント


 バレンタイン日ですが、気になったので、書置きしておこうと。


1. このiPS細胞は、そもそも、いくつの因子で樹立されたのか?

C-Mycをふくめた「元祖、4因子」なのか?それとも、それをはずした3因子なのか?どちらかといえば、発癌率からして4因子のもののような気がするけれど、3因子でもやってるのかな。


2.このiPS細胞は、どこ由来のものなのか?

マウス皮膚繊維芽細胞由来なのか、あるいはマウス肝細胞由来なのか?

後者のほうが、癌化を防ぐ点では、望ましいけど、たぶん、前者でだろうな。


3.iPS細胞から心筋細胞への分化誘導時に、不完全な分化しかしなかった未分化細胞が腫瘍になった・・・というのは、慶応の岡野先生らの神経幹細胞への分化研究と同じだな。要は、「中途半端な、フラフラした不良」細胞が、ヤバイということ。

「不良」と「まともなもの」を完全に分ける技術の開発が重要。

ヒトiPS細胞の腫瘍化マーカーなり、腫瘍化の発現パターンなんかが同定できれば素晴らしい。


4.3月5日の学会には行くから、1~2については、どういう答えをされるか聞いてくるわ。

 

 しかし、それにしても、またまた「世界初」といわれるほどの研究が、なんで、まだまだ論文にならんのだ。特に日本からのは。

 ハーバードやMITは流石だが、中国からは、凄く変な論文でも出るが(笑)。


 速攻で審査が受かっても、おかしくないはずだが、一体、何が問題になっているのかを、もう、緊急討論したほうがいいんじゃないか?

 特に、先に新聞報道してしまった、このような例をネタにして。

 








2009-02-13 09:57:37 ihepの投稿

手術の合併症がWHO作製のチェックリストで、なんと36%も減少!

テーマ:医療・健康情報

 今日は、完全に研究日なんで授業ネタを探していたら

・・・次のような素晴らしいネタを見つけました!


 外科手術による合併症は患者に苦痛をもたらし、医療費上昇を招く。

そこで、米国ハーバード大学のAlex B. Haynes氏らは、

国連のWHO(世界保健機構)が作製したSurgical Safety Checklistを

世界8カ国の病院で調査し、この新規のチェックリスト導入することで合併症が36%減少し、

死亡も有意に少なくなることを明らかにした。(NEJM誌2009年1月29日号)


 全世界で、1年間に約2億3400万件の手術が行われている。

合併症は少なからず見られるが、約半数は予防可能といわれる。

 手術の合併症は世界的な公衆衛生の観点からも問題だと考えたWHOは、

2008年に、手術を受ける患者の安全を確保するためのガイドラインを発表した。

その中核となるのが、この「Surgical Safety Checklist」である。

 19項目からなるこのチェックリストは、

「治療に関わる医療従事者間のコミュニケーションを改善し

、ケアの一貫性を高めれば合併症は減る」という前提の下に、

世界の様々な地域で適用可能という条件を満たすべく作製されたもの。

 論文の著者らは今回、このチェックリストを用いることで実際に合併症を減らせるかどうかを、

様々な環境下にある病院で検証する研究を行った。

 なお、チェックリストは下記の項目からなる(
こちら から入手できる)。

WHOは、それぞれの国、施設ごとに修飾を加えて、より適したリストを作製するよう促している。


 コメント


 再生医療だ、iPS細胞だ、エピゲノム創薬だ、などと騒ぐ前に、本当の臨床現場では、まず、やらなければならないことがあるということです。


 上記の様々な、今後の革新的な医療技術「候補」は、まず、上に述べられた「改善」がなされた上で、それよりもどのくらい患者さんが良くなるのか、あるいは、彼らのQOLが向上するかが焦点になります。

 少なくとも、私は、こういう考え方を基本にして研究、臨床実践をしています。



 


 




 

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