2009-05-07 13:52:28 ihepの投稿

少量のワイン摂取で寿命が延びる ?

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たまには、ワインの疫学の話でも、しましょう。

最近のNews(日経ネット)から。




1日にグラス半分のワインを継続的に飲んでいる男性は
寿命が5年長いことが、オランダの研究グループにより報告された。

また、種類にかかわらず少量(1日20g)の
アルコール飲料を長期間摂取している人は、
飲酒しない人に比べて寿命が2.5年長いこともわかったという。

 アルコールの同様な利益は多数の研究で示されているが、

今回の研究はさまざまなアルコール飲料を対象に

40年という長期にわたり定期的に追跡したという点で

注目に値するものだと、研究著者のオランダ、ワーゲニンゲンWageningen大学のMartinette Streppel氏は述べている。

この研究は、医学誌「Journal of Epidemiology and

Community Health(疫学・コミュニティーヘルス)」

4月号に掲載された。


 研究グループは、ズトフェン研究

(Zutphen Study、ズトフェンはオランダの工業都市)に

参加した男性1,373人を対象に、

1960年から2000年まで飲酒の習慣のほか,

体重、食事、喫煙、重篤な疾患の診断などの

データを追跡した。

期間中、1,130人が死亡(半数は心血管疾患が原因)。

アルコールを飲む男性の比率は1960年の45%から

2000年には86%とほぼ2倍となり、

ワインを飲む人の割合は2%から44%と大幅に増加した。


 このほか、以下のことが明らかにされた:


・少量のアルコールを長期間摂取すると、

飲酒しない人に比べて寿命が2.5年延長した。

1日20gを超えるアルコール摂取では、

2年近い寿命延長が認められた。


・1日に平均20g程度のワインを飲む人は、

50歳の時点の余命がビールまたは蒸留酒を飲む人に

比べて2.5年長く、飲酒しない人に比べると約5年長かった。


・適度な飲酒と死亡リスクの低さとの間には関連がみられ、

ワインの摂取と心疾患、脳卒中などによる死亡リスクの

低さとの間には強い関連がみられた。


Streppel氏は、今回の知見は女性には当てはまらないとしている。

しかし、ワイン、特に赤ワインに多く含まれる

ポリフェノール化合物が心臓によい影響を与えていると推察している。



 アルコールの健康効果を長年研究しているArthur Klatsky博士

(カイザーパーマネンテKaiser Permanente メディカルセンター、

カリフォルニア州)によると・・・


実際に関連しているのがワインを飲むことなのか、

それに関わる別の何かであるのか

(例えば、ワインを飲む人は運動や健康的な食事をする

比率が高いなど)については不明であるという。 

今回の研究で、アルコール総摂取量として

最も多かったのはビールやワインよりも

蒸留酒であったことも指摘し、


「わずかな量のワインが寿命延長の原因であるとは考えにくい」

と述べている。


 また、この知見は比較的高齢の人に当てはまるものであり、

飲酒による利益を得られる可能性が最も高いのは

50歳以上の人だという。

 「心疾患リスクを軽減するためには、禁煙、定期的な運動、

健康的な食生活および適正な体重の維持などがはるかに

重要である」とKlatsky氏は指摘している。


・・・のだそうです。

ちなみに私は、Arthur Klatsky博士の意見に同意です。

しっかりと、この研究の問題点に答えていらっしゃいますね。


なお、提示された少量では、ワインなんて楽しめませんよ(笑)。








2009-05-06 23:55:55 ihepの投稿

厚労相「診察拒否は医師法違反」 新型インフルで

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 舛添要一厚生労働相は6日、新型インフルエンザ発生国への渡航歴がないにもかかわらず、発熱などした人が病院で診察を断られたケースが相次いでいることについて「医師法違反だ。医者の社会的義務として対応してもらいたい」と、不快感を示した。新型インフルエンザ対策に関する厚生労働省内の会議で述べた。発熱などの症状を示した人への診察拒否については、東京都が5日までに92件を確認しており、厚労省も全国の実態把握に乗り出している。(以上、共同通信)


 さて・・・今日は、3つの論文のうちの1つを仕上げた。論文のスペルなどの間違い探しをするには、間をあけて見直すのが最適なんです。その時間を使って、こっちの記事を書いています(*^▽^*)

 なお、インフルエンザの治療薬の論文は、再三述べている「2の矢」で使うために、

もう1つ重要なデータをとってからにします。(大半は、できています。)


 では、前置きが長くなりました。以下で、上記記事のコメントです。


 拝啓 舛添要一厚生労働大臣 殿


 公然と大きな病院全体で診療拒否を標榜しているところがありますが、大臣のお言葉から察するに、そういう病院には重大な処罰があると考えていいわけですね?

 しかし、医療崩壊の最中、そういう病院を処罰すると、日本の医療に甚大な影響が出てしまい、更に医療崩壊が加速する可能性もありますが・・・。


 そのリスクを考慮しても、事実とともに病院名と問題点をマスコミに公表させていただいて、よろしいのでしょうか???


 

2009-05-06 16:33:08 ihepの投稿

発熱外来にはどうやって行くのか?

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 「発熱外来にはどうやって行くのか?」という主旨の疑問を読者の方が提示してくれました。回答が長くなるので、ここで紹介。


 ◆公共交通機関は使わない。家族や友人などの自家用車で送ってもらい、必ずマスクを付ける。救急車は呼ばないことが望ましい。通常の救急業務に支障が出たり、救急隊員が感染するのを防ぐため。

・・・と、いうように地方自治体のマニュアルにも、ありますが。。。


ここで、いつものように私見を・・・。


「家族や友人などの自家用車で送ってもらい・・・」だと?

住民のすべてが、このくらいはできると思ってるところが、馬鹿どもの発想である。

1人で、そんな人々のいない方々とかは、どうするの?


それに、マスクつけてて、他人に感染するなら、救急隊員はおろか、家族や、友人にも感染するじゃないか???


本当に、ため息が出ますね。


マスクをつけて、(事情を話して)救急車を呼んでください。
 それでも、こないことがありえます。実際、救急の現場は、医療崩壊の中心地帯だから。


 別に、タクシーでもいいんですよ。ちゃんとマスクをつけていれば。

2009-05-06 11:20:38 ihepの投稿

WHOに望むこと

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 【ジュネーブ5日共同】世界保健機関(WHO)の複数の関係筋によると、5日開催された各国の専門家による電話会議終了後、マーガレット・チャン事務局長が同日中にも新型インフルエンザの警戒水準を現行の「5」から、世界的大流行の認定を意味する「6」への引き上げを決定する公算が大きくなった。

 一方、WHOのフクダ事務局長補代理は5日、現時点では警戒水準を「6」に引き上げるべき兆候はないと指摘。「現時点では英国やスペインの地域社会レベルでの持続的感染はみられない」としながらも、引き続き両国保健当局と連携し情勢を注視する姿勢を示した。


いつも思うのだが、いい加減、重症度のカテゴリーを4段階くらい設定し、たとえば、

「フェーズ5、カテゴリー2」というように、「感染の拡大レベルと感染した場合の医学的な重症度」を同時に示せばいい。


 こうしないから、国際的に、様々な混乱や誤解も生む。

上記のような基準を設ければ、「フェーズをあげたからといって、世界の終わりを示すものではない」などという、わけのわからない発言をせずに済むし、余計な労力をかけずに済む。


WHOとしては、正確な情報を、迅速に出すことに集中すること。

今回は、政治的見解までも述べるような、WHO関係者が目立つが・・・特に、日本のT氏・・・。職分をわきまえたほうがいい。


あくまでも専門家として、客観的なデータを提示することに徹してもらいたい。





2009-05-05 18:48:38 ihepの投稿

発熱の診察拒否、都内で92件 新型感染の可能性低くても

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 新型インフルエンザの件で日本で、現時点で一番、恐れていたことが現実に・・・というニュース。

共同通信によれば・・・

 「新型インフルエンザ感染国への渡航歴がないなど感染の可能性が低いにもかかわらず、発熱などを訴える人が病院から診察を拒否されるケースが東京都内で相次いでいることが5日、都の調べで分かった。2日朝から5日正午までに92件に上り、大学病院が断ったケースもあった。

 都は「新型インフルの患者発生やほかの患者への感染を恐れているのかもしれないが、病院は冷静に対応してほしい」と呼び掛けている。

 都感染症対策課によると、都が設置した発熱相談センターへの相談電話で診察拒否が分かった。


 感染国への渡航歴がないのに、診察を拒否されたり発熱相談センターに相談するよう言われたりした人が大半で、中には「成田空港に勤務している」「友人に外国人がいる」などと話した結果、拒否された人もいた。発熱相談センターに電話し一般病院に行くよう勧められた人が、病院で拒否された例もあった。


 感染症対策課は、診察拒否は医師法に違反する可能性もあると指摘。「悪質な診察拒否をした病院には、何らかの対応を考えていきたい」としている。」


 こういう事態も起こりうることが、新聞社のインタビュー記事での「病院や診療所に患者が押し寄せれば、パニックに陥ってしまう」というベテラン医師の発言からも匂ってきたから、そこで指摘はしておいたけれどね(4月30日)。まさか本当に、ここまでやるとはね・・・。


 これが新型インフルエンザを引き合いに出し、堂々と診療拒否をするといった「医療崩壊」(という「流行語」は使いたくないけれど)が進行中の日本の現場。


 

2009-05-05 02:04:45 ihepの投稿

タミフル耐性ウイルスに強い懸念 新インフルでWHO医務官

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[ジュネーブ4日共同] WHOで新型インフルエンザ対策の技術部門を統括する進藤奈邦子医務官は3日、治療薬の中心である抗ウイルス薬タミフルに対し「耐性を持つ(新型インフルエンザ)ウイルスができてしまう可能性がある」と述べ、タミフルが効きにくくなる耐性ウイルスの発生に強い懸念を表明した。共同通信の取材に答えた。

 ワクチン開発が完了していない現時点では新型インフルエンザの治療はタミフルに大きく頼る。耐性ウイルスが発生すれば、一般的にインフルエンザに対する抵抗力が弱い乳幼児や高齢者、エイズ、糖尿病などの患者が大きな危険にさらされるため、WHOや各国政府は根本的な治療体制の見直しを迫られることになる。

 進藤医務官によると、新型インフルエンザと似たタイプで2007年から08年の冬に北米で流行した季節性のインフルエンザウイルス(H1N1型)の一部が、タミフルに強い耐性を持つようになった。「タミフルを通常の約400倍投与しないと効かない」とされるレベルで「事実上、治療に使えない」という。北米や中南米では現時点で、同タイプのウイルスのほとんどがタミフルに対する耐性を持っているという。


この WHOの「懸念」は、前から私も、ここで指摘しているとおりです。

 

 さらに、インドネシアの豚から病原性の強い鳥インフルエンザが検出されており、

豚の体内で、こいつが単独でヒト型に変異しつつあります。今回の新型が「第1の矢」とすれば、それは「第2の矢」であります。


 このあたりまでを射程においたグローバルな危機管理が望まれます。


 


 


 



2009-05-04 00:52:47 ihepの投稿

「辛い」と「幸せ」

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「辛い」と「幸せ」・・・たった棒1本の違いしかない。


医療・医学関係者ならば、この棒を患者さんに1つ加えることが仕事といえるのかもしれない。もちろん、口で言うほど容易くはないけれど・・・。


それにしても、たかが棒1本の違いゆえに、両者は非常に近いもののようだ。

私なんて、弱い人間なので、ちょっとした事で、一番上の棒が、はずれたり、ついたりする。難儀やな~(^▽^;)



2009-05-03 21:58:24 ihepの投稿

WHO「6」引き上げの公算 軽微大流行を宣言も

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 【ジュネーブ3日共同】世界保健機関(WHO)の当局者は3日、共同通信に対し、新型インフルエンザ感染拡大の6段階の警戒水準(フェーズ)について「感染の勢いが衰えていない。(引き上げは)ここ何日という問題だ」と述べ、現在の「5」から世界的大流行(パンデミック)を意味する「6」へ早期に引き上げる公算が大きいとの見方を示した。

 一方、WHOのライアン警戒対策部長は2日の定例記者会見で、引き上げるかどうかを「今後数日の事態の進展」で判断できる可能性があると述べる一方、「フェーズ6は症状の重さでなく地理的な感染拡大を示す」と強調。国境閉鎖や渡航制限の勧告を伴わない、事実上の「マイルド(軽微な症状の)パンデミック」宣言にとどまる可能性もある。

 WHOが引き上げをめぐる判断を迫られているのは、英国やドイツ、スペインなど欧州地域を中心に感染者の確認が増え続けていることに加え、発生源とみられるメキシコなどへの渡航歴のない人まで多数巻き込んだ「地域社会レベルの持続的感染」が確認される可能性があるためだ。

 同当局者によると、決め手となる「人-人-人」の3代にわたる感染報告が今月に入って欧州諸国から出始めている。

 WHOの警戒水準の定義を適用すると、北米以外で持続的な感染が確認されれば「6」への引き上げ条件が整う。感染が確認された国・地域は2日にアイルランドが加わり計18となった。

 各国政府や有識者の間には、WHOによるパンデミック認定には大きな社会的影響力があるため「簡単に上げるわけにはいかない」(国立感染症研究所の田代真人氏)などの意見も出ている。



 現時点での解析を総合すれば、大多数の人々にとっては適切な治療で「軽微」で済むと思いますが、ハイリスク集団の方々にとっては、やっかいな状況に至る可能性も依然として残っているわけです。引き続き、注意が必要です。

 

 





2009-05-02 14:12:09 ihepの投稿

新型インフル、米でも重症者増加

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【ジュネーブ2日共同】世界保健機関(WHO)緊急委員会のメンバーである国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長の田代真人氏は1日、ジュネーブで日本人記者団と会見し、米国の新型インフルエンザ感染者の容体について「(入院が必要な)重症者の比率が1-2割程度に上っている」と指摘。これまで極端に重症者が多いとされてきたメキシコと比べても、全体の症状はそれほど変わらないとの認識が関係者の間で強まっていることを明らかにした。

 田代氏によると、確認された感染者数が少なかった段階ではメキシコだけ死者や重症者が多いことが疑問だったが、米国でも確認感染者が増えるに従い、重い肺炎や消化器の障害を示す例が増加しているという。

 田代氏は、今回のウイルスは症状が比較的軽い「弱毒性」とみられるが、「かなり大きな健康被害をもたらす可能性はある」と話した。

 一方、WHOによる警戒水準の再々引き上げの可能性については「きょう、明日上がるという状況ではない」とした。


コメント:「ウイルス性肺炎、下痢が多い」が重症者の特徴のようだ。

 WHOの世界各国の協力機関担当者による電話会議では、メキシコの担当者から、重症例の臨床症状について発表が4月29日にあった。

 その会議では、まず全身感染ではなく、肺炎であること。そして、肺炎は、主にインフルエンザウイルスによる肺炎であるが、中には細菌による2次感染も見られること。さらに患者の25%程度に下痢の症状が見られたこと―などが特徴として報告された。


 さらに、メキシコでの死亡症例の解析(ウイルスの遺伝子解析も含めて)も、急いでもらいたい。会議では、米国の死亡例(男児)には、基礎疾患として免疫に問題があったことなどが報告されているが・・・。

2009-05-02 00:10:00 ihepの投稿

デシジョン・・・日本と欧米

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・WHOのチャン事務局長:「私が、新型インフルエンザの警戒レベルを『4』から『5』に引き上げる決定をしました」 。・・・典型的な西欧風のデシジョンの発表のしかたである。言葉に責任を持つ。


・日本でのデシジョン:合議で、空気で決める。決断まで、かなりの時間がかかる。

そして、誰も責任をとらない。


 おまけに、今回の新型インフルの件では・・・厚生労働大臣が横浜市の中田市長と連絡が出来ないと異様にカッカしていました。患者発生報道発表後に横浜市には電話が殺到して、つながらなくなったらしい。これは、政府と地方自治体のトップ同士での緊急用の電話線が無い、知らないということが露見されたわけです。

 なんとまあ、もの凄い「危機管理」体制だと思いました。。。


 

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