2009-05-11 13:30:00 ihepの投稿

新型インフルエンザ・・・「流行の深刻さ」を致死率で評価する意義

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 米国では、致死率をもとにパンデミックの被害規模を5段階で評価し、下記の図1のような「Pandemic Severity Index」という指標(カテゴリー)として提示することになっている。患者の自宅待機や学校の臨時休業、不要不急の集会などの自粛や企業の不要不急の業務縮小などの対策は、それぞれのカテゴリーに応じて対策が発動する。



人生…いきあたり、ばったり!-図1

図1 「流行の深刻さ」を示すPandemic Severity Index(CDC)から



 これはハリケーン対策を元にした考え方といわれているが、今回の新型インフルエンザがWHOによってフェーズ6の段階に至ったと判断されれば、米疾病対策センター(CDC)は、パンデミックの「流行の深刻さ」を評価し、どのカテゴリーに該当するのかを発表する。

 だから、WHOも、これに習って新たに重症度カテゴリーを創設し、今のフェーズ5(もう、ほとんど6)の段階で併記しろと、口すっぱく言っているわけです。

ちゃんと米国のようにやってくれる国とそうでない国があるから・・・。


 たとえば、米国では、学校の休業は、カテゴリー2~3で4週間以内、カテゴリー4~5では12週以内などとなっている。また、室内イベントの中止や劇場などの閉鎖は、カテゴリー2~3では状況に応じて実施し、カテゴリー4~5では実施を推奨するなどとなっている。職場の対策については、カテゴリー2~3では状況に応じて実施し、カテゴリー4~5では実施が推奨とされている。

 こうした被害の深刻さに応じた対策の実施は、合理的とする専門家は少なくない。

 実際、日本の企業の中にも、事業継続計画に「被害規模の想定」を盛り込み、それぞれの段階に応じた対策を立てているところも出ている。

 社会的あるいは経済的な活動を可能な限り維持しながら、パンデミックの被害の最小化を図る対策が、今、求められているのである。


 後でも、いつか述べるが、「希望のある社会」を実現するために、分野を問わずに日本政府がとるべき政策の基本姿勢とは「最悪を回避すること」なのだ。


2009-05-11 02:00:00 ihepの投稿

新型インフルエンザ・・・マスクの効果

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マスクについての質問があったので、まとめておきます。


 まず、 医療従事者が、ある一定期間、感染防御のために使用するにはマスクは有効です。その際、予防用手袋、ガウン等と併用するのが一般的でありますが。

 一般の方々がインフルエンザ感染予防用としてマスクを用いることは・・・

?なのです。ちなみに、アメリカでは、一般市民がインフルエンザ予防のためのマスク着用に関しては否定的です。


 では、非発病者の方々が感染予防目的にマスクを着用することの効果について、もう少し述べれば・・・。


マスク着用時間内だけ、呼吸器にウイルスが侵入することを防止することは可能と考えられるが、接触感染、空気感染を完全に防ぐことは不可能です。

 十分な手洗い、そしてマスク着脱の際、表面に付着している可能性あるウイルスに汚染しないように注意、そして十分な洗顔、洗髪等と併用して、初めて効果が発揮されると考えられるとされています。まあ、このように予防効果は万全ではないが、しないよりは、マシである。


 たたし、咳・くしゃみのしぶきが主な感染経路なので、感染者がマスク着用を徹底すれば、感染拡大を抑える効果は多少は期待できる。


 なお、大事なのは「せきエチケット」。マスクを着けずに咳をする時は、人のいない方を向き、ティッシュなどで口を覆うか、前腕部の袖口で口を押さえる。

 今回の新型インフルエンザのケースによって、個々人の日頃のマナー度・常識度も、あぶりだされることになった。

2009-05-10 19:00:00 ihepの投稿

待ちに待った新型インフルエンザに関する臨床研究データの公開

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 ようやく待ちに待った新型インフルエンザに関する臨床研究論文です。


 新型の豚インフルエンザの症状をめぐり、米疾病対策センター(CDC)の研究グループが全米の患者642人を分析し、論文にまとめた。慢性疾患のある人や幼児が重症化する傾向だったほか、通常のインフルエンザではあまりみられない下痢、嘔吐(おうと)が目立った。国内流行に備えるヒントになりそうだ。

 調べたのは4月15日から5月5日まで全米41州で新型インフル感染を確認した3カ月~81歳の患者で、18歳以下が6割を占めた。感染者全体のうち16%は学校で感染したと推定される。また渡航歴が確認できた381人のうち、発症の7日以前にメキシコを訪れていたのは18%だった。

 入院した患者で、医学的データが確認できた22人のうち、12人に慢性の病気があったり、5歳未満の子どもだったりして、ふつうの季節性インフルエンザでも症状が重くなりやすい人たちだった。

 死亡したのは2人。うち1人は生後22カ月の男児で、生まれつき筋無力症があり、心臓にも障害があった。もう1人は妊娠中の33歳の女性だが、ぜんそくや関節リウマチなどの病気を抱えていた。

 典型的な症状は発熱やせき、のどの痛みなど、季節性インフルでもよくみられるものと同じだが、38%で下痢ないし、嘔吐の症状があった。研究グループのファティマ・ダウッド博士は「まだはっきりしないが、ウイルスが感染者の便に混じって、そこから他の人にうつる可能性も考えたほうがいい」と話している。ただ、今回のウイルスは腸管には感染しないという報告もある。

 成果は論文にまとめ、米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン電子版に掲載した。(朝日新聞田村建二)


 ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)は、Lancetとともに世界最高峰の医学誌。

基礎研究限定ならば、Cell, Nature, Science。この5誌が、世界の医学・生命科学の流れをリードします。(私、このうちで、まだ4本掲載・・・さらにガンバルゾ)


 さて、内容としては、私もここの記事で指摘していたけれども、NEJM誌の記載データでも、通常のインフルエンザではあまりみられない下痢、嘔吐(おうと)が目立っています。

 我々が、主に「第2波」用のためにと準備している治療薬ですが、ここでもう論文投稿しようか否か、悩んでいます。それは、「第2波」用の最終ラインの薬となるでしょう。それで耐性ができちゃえば、後は、当分、手のうちようがなくなるから・・・。


 関係者と十分な協議の上、決めます。


 


2009-05-10 07:00:00 ihepの投稿

新型インフルエンザ・・・「マスク」の件

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わが国でも、新型インフルエンザが発生した。

厚生労働大臣が大変嬉しそうに見えるのは私だけか?


まあ、それはさておき「マスク」である。


代表的なのが、N95マスク。

ちなみに、産業用の使い捨て式防じんマスクには、わが国の国家検定が行われており、

DS2というクラスのものがN95と理論上では同様の効果があると考えられる。

もしN95マスクが底をついた時には、DS2の防じんマスクの使用も考慮する必要がある。

 N95の方は、米国労働安全衛生局が認定している。

ちなみにN95マスクの認定を受けているマスクは、何百種類もある。


 N95の認定にあたっては、機械的な捕集効率しか評価されていない。

そのため、どういう人の顔にもある一定の確率でフィットすることをN95マスクの認定の条件にすべきという議論が専門家の間では、起こっている。では実際のフィット率はどうなのよ?

 以下、知人からの紹介の実験研究だが・・・。


最近、1295人の医療従事者を対象にカナダの医療機関で定性的なフィットテストが行われた。

第1選択のマスクは様々のマスクのなかでもフィットする可能性が高いと言われているものが使用された。

 その結果、男性では93%程度、女性では80~88%が第1選択としたマスクにフィットした。

特徴的だったのは、女性の40歳未満の場合は、80%しかフィットしなかった点だ。

 また、3種類のマスクを準備した結果、ほぼ99%の人が自分にフィットしたマスクを見つけることができた。

ところが、6人は6種類のマスクに増やしても、そのどれもがフィットしないことが分かった。

6人はすべて40歳未満の女性であった。

 この結果から言えることは、最低3種類のN95マスクを準備することが必要である。

これはCDCの勧告とも一致している。

 医療機関にとっては1種類のマスクを大量に購入した方が価格が下がるためよいように思われるが、

これは間違っている。

 また、40歳未満の女性で20%が別のマスクを必要としたことは、重要な事実である。

つまりフィットテストをしないとどれがあうかは分からないということだ。

なぜあわなかったのかについては、おそらく顎のサイズの問題と考えられる。

 この調査対象はカナダの医療機関であるが、多くのアジア人やその他の人種の人が含まれていた。

日本人ではどうかということも検証する必要があるが、それほど大きなずれが生じる結果ではないと思われる。


 以上の話は、主に医療機関用の話だが、一般の方々も知っておいたほうがいい情報なので掲載しました。

 

2009-05-09 17:00:00 ihepの投稿

堂島ロール 2

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このごろ、医療界・政府への「怒り」・「苦言」をしたためることが多くなっています。

あんまり怒ってばかりで疲れたので、甘いものを補給します。


以下、堂島ロールです。


 最近、いろんなロールケーキが出回っていますが、これが、やはり一番人気のようですね。



人生…いきあたり、ばったり!-堂島ロール2



2009-05-09 06:00:00 ihepの投稿

発熱患者の医療機関での診察拒否(続報)

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 「発熱患者が医療機関で診察を拒否されるケースが相次ぎ、問題になっている。」ことは、私は、僭越ながら、再三、この記事でも述べて苦言を呈してきた。


今回は、以下に私の共同研究者の先生からのメールを紹介。


 「私も有熱患者の診察をしていますが、先生のお怒りはごもっともです。

有熱患者は病院の入り口でマスク装着、噴霧消毒液使用もしくは手洗いで済むことだと思いますね。」


 これが、まともな医師(彼も大学教授ですが)の本来の対応です。

まあ、タクシーなどに乗車する際には、マスクをしてあげるのが、より好ましいですが。


2009-05-09 00:04:31 ihepの投稿

「攻撃性」注意喚起を指示 抗うつ薬パキシルなど

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共同通信のNewsから。

 「抗うつ薬の「パキシル」など4種類のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)を服用した患者に、他人に暴力をふるうなど攻撃性が高まる症状が表れた問題で、厚生労働省は8日、メーカーに対し、攻撃性についての注意書きを盛り込むよう添付文書の改訂を指示した。

 対象はパキシル、ルボックス、デプロメール、ジェイゾロフトの4社4製品と、作用が似ているトレドミンの計5社5製品。医師や患者への注意喚起も行う。


 同省薬事・食品安全衛生審議会の部会で、家族へ暴力を振るったり、他人にけがをさせたりした症例35件を詳しく調査。服用との関係が否定できないケースが4件あったことなどから、注意喚起が必要と判断した。

 SSRIは、脳内の神経伝達物質セロトニンの濃度を調節して神経の活動を高める薬。3環系と呼ばれる従来の抗うつ薬より副作用が少なく、うつ病治療に広く使われ、国内でも100万人以上が使用しているとみられる。」


 欧米では、かなり前から。日本でも、私をふくめてSSRIの添付文書改訂を提言してたが、ようやくか・・・。




2009-05-08 23:52:00 ihepの投稿

感染拡大、現時点で強い証拠なし 警戒水準を維持

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【ジュネーブ7日共同】世界保健機関(WHO)のフクダ事務局長補代理は7日、新型インフルエンザの警戒水準(フェーズ)の「6」への引き上げについて「現時点では(焦点となっている英国などで)地域社会レベルでの感染拡大を示す強い証拠はない」と語り、同日時点では警戒水準を維持する考えを示した。

 フクダ氏は、過去に世界的大流行(パンデミック)となったインフルエンザの感染者が人口の3分の1に達したことを例に挙げ、現在の世界人口から「20億人が感染する可能性」もあると述べた。ただ、あくまで過去の事例を単純に当てはめただけで、WHOの推定ではないと強調した。

 フクダ氏はその上で、弱毒性とされる今回の新型インフルエンザが今後どのように変化し、どのような健康被害をもたらすかは分からないと語った。


 だから、フェーズをあげるあげないではなく、昨日書いたように、重症度カテゴリーを設定し、フェーズと併記しろと、あれだけ、言ってるのに・・・。

 非常に重要な見解だか・・・、今からはだと?


今やらんでどうするの?「第2波」がヤバイのですがね。

 




2009-05-08 09:00:00 ihepの投稿

欧州の感染者急増が認定の焦点 WHOのパンデミック

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まずは、共同通信記事から・・・。

 【ジュネーブ7日共同】感染拡大が続く新型インフルエンザについて世界保健機関(WHO)は7日も、世界的大流行(パンデミック)の正式認定となる警戒水準(フェーズ)の「6」への引き上げの是非をめぐり、各国・地域の感染状況の分析を精力的に続けた。焦点は感染者が急増している英国とスペイン。「引き上げは時間の問題」と話す関係者もおり、緊迫した状況が続いている。

 各国の保健当局がインフルエンザ対策に忙殺される中、WHOは同日、加盟国の代表による会合を開催。年に1度の最重要会議であるWHO総会の会期を当初予定の今月18-27日から18-22日に大幅短縮することで基本合意した。

 警戒水準についてWHO事務局内には「内部の評価としては既に『6』だ」との認識が出ているほか、警戒水準引き上げの是非を事務局長に勧告する緊急委員会のメンバーに対し、委員会開催に備えて待機要請が出されている。

 しかし一部のWHO関係者によると、感染疑いの人に対する米欧間の検査基準に違いがあるほか、英国とスペインが加盟する欧州連合(EU)内の調整が難航。パンデミック認定に予想以上の時間がかかっているもようだ。

 英国とスペインの感染確認数はそれぞれ34人と81人で、メキシコや米国、カナダに次ぐ感染数。欧州で、感染源の特定が不可能な地域社会レベルの感染拡大が確認されれば、パンデミックが認定される。

 英、スペイン両国で既に「人-人-人」の感染報告が出ているとの情報もあるが、WHOでインフルエンザ対策全般を統括するフクダ事務局長補代理は6日、一部記者団に対し、感染は学校内など閉鎖的な空間に限られており「感染源が特定できないような地域社会レベルの流行に至ったとの証拠はない」と警戒水準維持の理由を説明した。


 う~ん、確か、フェーズ6にあげるには、3次感染が焦点だとか言ってたよね・・・日本の代表さんは。要は、WHO内部でも、フェーズの上げ下げの判断については、いまだ統一的な基準ができていないわけだ。


 この際だから、前にも言ったように、重症度のカテゴリーを4段階くらい設定し、たとえば、「フェーズ5、カテゴリー2」というように、「感染の拡大レベルと感染した場合の医学的な重症度」を分別して、同時に示すようにしたほうがいい。

 これからは、こうした発表方法が最も、市民にとって好ましいのでは?

2009-05-07 22:40:08 ihepの投稿

根っこは同じ

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共同通信の2つのNewsから・・・

1) 6県1政令市でも“診察拒否” 発熱相談センターなどに申し出

 新型インフルエンザ感染の疑いが少ないのに、発熱などを訴える人が医療機関で診察を断られたとして「発熱相談センター」などに届け出たケースが、判明している東京都以外に少なくとも6県1政令市であることが7日、共同通信の調べで分かった。東京都では同日までに212件に上り、医療現場に新型インフルエンザをめぐる誤解や過剰な反応が広がっていることが浮き彫りになった。厚生労働省は6日、都道府県を通じて医療機関などに適切な対応を求める通知を出している。

 厚労省は医療機関に対し、患者が発熱などの症状に加え発生国への渡航歴などがある場合には、発熱相談センターに電話で相談し、紹介される医療機関で受診することを患者に勧めるよう、指導している。

 こうした条件に当てはまらないのに診察をしなかったり、センターへの電話を促された例があったのは、埼玉、千葉、滋賀、島根、岡山、高知の各県と神戸市で、東京以外はいずれも数件程度。

 「中学生の息子が発熱したのでかかりつけの病院に電話したら、海外に行っていないのにセンターに相談するよう言われた」(神戸)「渡航歴はないが、感染の可能性もあるので診察できないと拒否された」(埼玉)など明確な理由がないまま診察を拒む例が並ぶ。

2)医療事故調査委にずさんな例も 大学医学部側に改善勧告

全国医学部長病院長会議の医療事故対策委員会(委員長・嘉山孝正山形大医学部長)は7日、医療事故の原因究明のため大学病院が設置した調査委員会がずさんな報告書を作成している例があるとして、会議を構成する全国80大学の医学部長らに改善するよう勧告したと発表した。

 勧告では、大学病院の調査委が当事者の医師本人に聞き取り調査をしないまま、報告書を作成したケースがあったとし「(事実の)隠ぺいや改ざんに結び付き、犯罪となる可能性もある」と指摘。調査方法に不備があった場合には、患者や家族に謝罪するよう求めた。

 国は医療事故の原因究明と再発防止に向け、医療版事故調(仮称・医療安全調査委員会)の創設を目指しているが、医療界の反発などで議論は停滞。

 会議は、大学病院の調査委を活用するよう提案、受け皿としての機能を強化するため、勧告を行った。



上の記事と下記の記事の根っこは・・・同じヽ(`Д´)ノ

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