ご存知のように、民主党は政権公約(マニフェスト)を発表した。
彼らが述べる今後4年間の「約束」とは・・・。
マニフェストに書かれたことと、書かれていないことを分析・把握することは非常に意味がある。
民主党マニフェストにおいては、政策は、「1.ムダづかい」「2.子育て・教育」「3.年金・医療」「4.地域主権」「5.雇用・経済」「6.消費者・人権」「7.外交」の7項目に整理されている。
そこで、科学技術にかかわってきそうな項目を抜き出していった時、
最大の特徴は、環境とエネルギー関連に多くの項目が割かれていることに気づく。
これは、上記の「5. 雇用・経済」の部分で集中的に項目が挙げられている。
あとは、「4の地域主権」で、「食の安全・安心を確保する」がある。
食品の安全と安心にかかわる研究が脚光を浴びることになるだろう。
現在の日本政府の総合科学技術会議は重点4分野として、
「ライフサイエンス」「情報通信」「環境」「ナノテクノロジー・材料」を掲げてきた。
ところが、民主党のマニフェストは、ほとんど環境で多くのスペースが割かれている。一方、ライフサイエンス、情報通信、ナノテクノロジー・材料については、なんと、ほとんど触れられていない。
オイオイ、特に後者の3分野を放置すれば、この国は、終わるぞ!
今、なんとか、この国を支えている産業を放置するらしい。
(なお、ライフサイエンスは、まあ「口だけ」の博打的要素が多いから、4分野の中では、日本経済を支えるといった意味では、一番弱い。)
一方、単なる「生命科学者」にとっては、大ピンチだな。
こりゃ、分野を変更しなければならないほどのインパクトだ。
唯一の例外は、iPS細胞研究のみだろう・・・。
そして、私の専門分野に大きく関わる「3. 年金・医療」を見てみよう。
「医療崩壊を食い止め、国民に質の高い医療サービスを提供する」、
「新型インフルエンザの万全の対応」、「がん・肝炎対策の拡充」などが重点的に記載されている。
・・・ということは・・・
これらの研究開発に携わる研究者などは恩恵を受けることになるだろう。
総じて・・・私にとっては「研究分野的」には「大変ありがとうございます」なのだが、手放しでは喜べない。(「財源問題」は、ひとまず、おいといて・・・)