2010-03-12 02:07:57 ihepの投稿

人間のiPS細胞、体外培養で遺伝子異常

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人間のiPS細胞(新型万能細胞)を体外で培養し続けると、遺伝子に異常が起きることを、

小川誠司・東京大特任准教授らが突き止めた。

体に移植すると拒絶反応やがんにつながる恐れもあり、

再生医療の実現に向けた新たな課題になりそうだ。


19日、広島市で開かれる日本再生医療学会で発表する。


iPS細胞の培養は通常、1~3日ごとにシャーレから一部の細胞を取り出して別のシャーレへ移す「植え継ぎ」を行う。小川准教授らは、京都大や東京大で別々に作製された計42株のiPS細胞の遺伝子を解析。平均20~30回、最短で5回植え継ぎをした12株で一部の遺伝子が増えたり、なくなったりする異常が起きていた。

人間の体には異常な細胞を取り除く仕組みがあるが、シャーレでは生き残り、増えてしまうらしい。小川准教授は「iPS細胞は何度も作り直したり、凍結保存したりできるので、データを積み重ねれば、より安全なものを選んで使えるようになる」と話している。(読売新聞)



コメント:


 大変重要な研究です。


 「日本」では、マウスiPS細胞由来の「腸管」作製で盛り上がっているようだ。

繰り返すが、そういう成果が臨床で使い物になるどころか、基礎研究のツールとしても有用なものになるためには、高品質なヒトiPS細胞の確立が絶対条件なのです。


 その意味で、上記の研究は重要な知見です。

今後、培養条件の最適化や高品質なヒトiPS細の凍結保存方法の更なる改善がますます重要です。


 







2010-03-11 05:13:33 ihepの投稿

「腸すげえ(笑)」のか?!・・・iPS細胞から腸管…奈良県立医大 マウスで成功

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 iPS細胞(新型万能細胞)から、実際の腸のようにぜん動運動をする腸管を作製することに、奈良県立医科大の中島祥介教授と植田剛医員らの研究グループがマウスの実験で成功した。iPS細胞から器官を作り出した例は初めてという。

 グループは、マウスの皮膚から作ったiPS細胞を球状に培養。粘膜やじゅう毛、筋肉、神経を伴った管状の組織(直径約2ミリ、長さ約5ミリ)ができた。物を絞り出すように運ぶぜん動運動を1分間に10回程度行っている様子が見られ、腸管の運動リズムを調節するペースメーカー役の細胞も確認された。

iPS細胞からは神経や筋肉など、様々な細胞を作れるが、立体構造を持つ器官にまで変化させるのは難しい。グループは、同じ万能性のある胚(はい)性幹細胞(ES細胞)で培った人工腸管作製技術を使い成功させた。

植田医員は、「今後は患者のiPS細胞から腸管を作り、クローン病などの原因不明の炎症性腸疾患や、先天的な腸の運動異常症の発症メカニズムの研究に役立てたい」としている。

成果は欧州の学術誌に掲載され、18日に広島市で始まる日本再生医療学会でも発表する。(読売新聞)


 コメント:


 これ、昨日は、結構、大きく報道されていたね。


 「腸すごい」(笑)と、消化器が本業の私としては、そんなシャレを軽くはいえない。

とても興味深く、面白い研究なんけどねえ・・・だからこそ、軽くはいえない。


 まあ、ヒトiPS細胞から、同様のことができたとしても、それを利用したクローン病などの疾患メカニズムの解明は、一筋縄では、いかないだろう。ましてや小腸移植はなあ・・・。いや、それほどまでに難しいのですよ「腸」は。腸難しい(笑)。

 その前に、癌化リスクが極限まで低い、高品質なヒトiPS細胞の樹立・確定が先決だけど・・・。そうでないと、基礎研究でも臨床でも、腸を扱うならば、バイアスがかかり過ぎる。


 ところで、クローン病患者さんは、喫煙者のほうが、禁煙者よりも多いのです。

他の病気・疾患とは、完全に真逆なのは、わかりますよね?


 この理由の1端をわれわれは解明してあるが、このリサーチツールを「うまく」工夫して使えば、もう1歩、面白いことができるかな・・・と期待してみる私。


 あっ、またここでも、「研究ネタ」を書いちゃった(笑)。

まっいいや( ´艸`)

2010-03-10 01:11:58 ihepの投稿

「最先端研究開発支援プログラム」の金額と格

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  30人の研究者に総額1000億円の研究資金を配分する「最先端研究開発支援プログラム」について、国の総合科学技術会議(議長・鳩山由紀夫首相)は9日、各研究者に配る金額を決定した。配分額は13年度末までの実質4年間で1課題につき18億~50億円と、研究者ごとに大きな差がついた。同プログラムは前政権が創設、当初は1研究者につき30億~150億円の予定だったが、政権交代を経て大幅な減額となった。

配分額が最も多いのは再生医療研究の山中伸弥・京都大教授と、高性能電子顕微鏡開発の外村彰・日立製作所フェローの50億円で、2人は申請通りの額が認められた。額が最も少ないのは、血管を収縮させ高血圧を起こすたんぱく質「エンドセリン」の発見者、柳沢正史・米テキサス大教授で18億円。40億円台は3課題、30億円台は17課題、20億円台は6課題、10億円台は2課題--だった。

配分額の差について内閣府の津村啓介政務官(科学技術担当)は「研究の優劣ではなく、特徴や経費の内容などを1件ずつ精査した結果だ」と説明した。

主な配分額は次の通り。横山直樹・富士通研究所フェロー(グリーン・ナノエレクトロニクス)45億円▽田中耕一・島津製作所フェロー(次世代質量分析システム開発など)34億円▽岡野栄之・慶応大教授(神経基盤の遺伝学的解析など)30億円▽審良静男・大阪大教授(免疫制御法研究など)25億円。(毎日新聞)



コメント:


 山中先生は、満額の50億円か。国策iPS細胞の面目躍如だが・・・。


 山中先生より、少し前の「若手研究者の憧れの1人」であり、ノーベル賞候補で、しかも、彼の発見を元にした薬(肺性高血圧症に対する薬)までできている「柳沢先生」には、18億円。

 さらに、山中先生と、ともに、日本在住でノーベル生理・医学賞候補の最有力者である「審良静男・大阪大教授」は25億円・・・。


 上記の結果は正直、見ていて、あまり気持ちのいいものではなかったな。


 まっ、われわれは「若手」なんで、これから始まる「最先端研究費・若手枠」などの研究費獲得レースのうち、1つでも当たればいいや♪


2010-03-09 01:25:12 ihepの投稿

薬害防止へ第三者組織に権限付与 厚労省、提言受け設置へ

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 薬害の再発防止と薬事行政の在り方を協議する厚生労働省の有識者検討会(座長・寺野彰独協医大学長)は8日、医薬品行政を監視する第三者組織に、行政機関に対し適切な措置を求めて勧告したり、資料提出を命じたりする権限を持たせることで合意した。

 検討会は今月末に最終提言をまとめ、長妻昭厚労相に提出する。厚労省は今後、第三者組織の早期設置に向け本格的な検討を進める。

 検討会によると、第三者組織は国家行政組織法に基づいて設置され、薬害の被害者や医師、薬剤師、法律家ら10人以下で構成。国の薬事行政全般のほか、個別の医薬品の安全性も監視する。

 具体的には(1)医薬品の製造承認や副作用について厚労省などから報告を受ける(2)安全性が疑わしい場合、厚労省や新薬の承認審査を担う独立行政法人に資料の提出を命じる権限を持つ(3)行政機関に依頼し、製造業者や医療機関が持つ情報を収集させることができる-としている。

 第三者組織から勧告や提言を受けた行政機関側は適切な措置を講じた上で、結果を通知するよう義務付けられる。

 第三者組織は厚労省内に設置される見込みだが「あらゆる方策を講じ、中立公正に監視評価機能を果たせるようにするべきだ」としている。(共同)



コメント:


 薬害オンブズマンなどのNPOが長年、このような趣旨で活動されておられるが、

こうした「第3者機関」を厚生労働省内に創るというのが腑に落ちない。


 結局、「自分で創った試験問題(模範解答つき)の解答を試験室で書き写す」ようなことになるではないか。


 まあ、天下りポスト(官僚・薬学系学者の)を合法的につくろうという試みと勘繰られても仕方ないぞ。



2010-03-08 01:42:43 ihepの投稿

RSウイルスは「元気」なようだ・・・

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 新型インフルは、1部の県を除いて減少の一途をたどり

(7県くらいはまだ、増加している)、

 季節インフルは、この時期ですら新型インフルに完全に押された形である。


 一方、RSウイルスは、依然流行中。


 特に乳幼児を育てているご家庭では、当分の間は、

要注意。乳幼児では肺炎を起こすなど重症化する危険性もあるから。

 

 なお、例年よりは、マシとされている「花粉症」だが、周りには多い。

「いつもに比べれば、症状も少しは楽に思える」らしいが・・・。

2010-03-07 13:29:59 ihepの投稿

慶応大教授ら心筋細胞増殖に成功 再生医療へ前進

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 新型万能細胞(iPS細胞)や胚性幹細胞(ES細胞)から作った心筋細胞に、顆粒球コロニー刺激因子(G―CSF)という物質を加えると、心筋細胞が非常によく増殖するとの研究結果を、慶応大の福田恵一教授と下地顕一郎助教らが5日付の米科学誌「セル・ステム・セル」電子版に発表した。

 心筋梗塞など重症心不全の患者に対する心筋細胞を使った再生医療の実現に向けて一歩前進としている。

 福田教授らは、ES細胞に特定のタンパク質を加えると心筋細胞に効率よく分化することを解明していたが、その際によく働いている遺伝子があることに注目。妊娠10日目のマウスの胎児を調べると、心臓でこの遺伝子がよく働き、G―CSFが多く分泌されていた。

 G―CSFが胎児期の心筋細胞増殖に深く関与していると考え、サルのES細胞やヒトのiPS細胞から心筋細胞を作る際にG―CSFを加えると、従来に比べ数十倍程度、心筋細胞を増やすことができた。

 G―CSFは、骨髄を刺激して白血球を多く作るようにする作用が知られ、抗がん剤治療で白血球が減少した場合などに使われている。(共同通信)



コメント:


 G-CSFが抗がん剤治療のブレイクスルーとしてもてはやされはじめたときって、それほど昔じゃないですけどね。そのときは、こんなことに使えるとは誰も思ってなかっただろう。でも、今や、私なんかですら思いつくのだから・・・時代だねえ。


 皮膚繊維芽細胞由来で、センダイウイルスで3因子で樹立したヒトiPS細胞から心筋細胞に分化誘導させる際にG-CSFをふりかけて心筋細胞を増やして、それらを細胞シートにのせて、重度の心臓疾患を誘発させた犬あるいは、もう、サルで実験してみたら?・・・日本の循環器・心臓血管外科の先生方?



2010-03-06 00:51:52 ihepの投稿

DJ先生…手術支援ロボットの「お値段」♪

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 DJ せんせいです♪


さて、コメントいただきました・・・めったにきませんが(笑)。


先日の「手術支援ロボ」のダビンチ君のお値段はいくらと?


 米国では、だいたい今のところ1台につき100万ドルから170万ドルまでが「相場」とされています。


 なんで、こんなに幅があるんだーーーと思われるでしょうが、自由主義市場下での「交渉」(病院ー業者間)により、生じるのです。私の知ったことではありません。


 日本では、おそらく1台、1億3千万円前後の攻防になるのではと予想されます。

(消費税は、各自で計算してください。)


 数十年前のCT導入の時以来、日本の「高額医療機器」の購買意欲は盛んです。今でも、CT・MRIの保有台数はダントツの世界一です。

 ・・・で、問題なのは、地方の病院では、これらが事実上、埃をかぶっていることです。医療経済的な観点から「適正配置」が望まれますって、10年前から言っていますが、なおりません。

 それと、医療機器全般にいえることですが、(日本と、諸先進国間での)内外価格差の問題は、複雑な日本の「流通経路」のお陰で、まだまだ、いかんともしがたいですね。

 

 まあ、今回も、この大不況の最中、なんだかんだいって、導入する「日本の大病院」は、あるでしょう。美味しい商売ですね・・・J・Jさん。


 それではーーー♪

2010-03-05 01:58:02 ihepの投稿

阪大、iPS細胞でラットの心筋梗塞改善

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 大阪大学の澤芳樹教授と三木健嗣研究員らは新型万能細胞(iPS細胞)を使って、心筋梗塞(こうそく)のラットの症状を改善させた。すでにマウスでも成功していたが、マウスより大きなラットでiPS細胞の効果を証明できたことで、将来の患者応用に一歩近づいた。18日から広島市で始まる日本再生医療学会で発表する。

 研究チームはマウスの細胞からiPS細胞を作り、これを心臓の筋肉に成長させた。さらに、できた心臓の筋肉をシート状の組織に加工して、心筋梗塞を起こしたラットの心臓に張り付けたところ、心臓の機能が大幅に改善した。(日本経済新聞)



コメント:


 このiPS細胞は、3ないし4因子で、ウイルス(レトロウイルス)を用いて樹立されたものと思われる(皮膚繊維芽細胞由来)。

 3因子(Oct3/4, Sox2、Klf4)と4因子(Oct3/4, Sox2、Klf4、C-Myc)の場合で治療効果及び安全性について違いは生じるのか?・・・このあたり・・・たぶん、発表されるのかな?


 まっ、ウイルスが、レトロウイルスではなく、センダイウイルスでならば、どうなるのか?(後者の方が、より安全性は高くなるのか?)・・・などなど、慎重に、しかし果敢に検証していっていただきたいなと。


 先生方、近いうちに、犬あたりで、センダイウイルス3因子でのiPS細胞で、いかがですかね?

2010-03-03 00:14:06 ihepの投稿

オリンピック、科学・技術と「国力」

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 冬季オリンピックは、大方の予想どおりの結果に終わった。

何が予想どおりかと、いうと、アジア(中国・韓国)勢の台頭だ。

同じ、アジアの中でも、メダル数からすれば、日本は、1歩も2歩も後退している。

夏季オリンピックでも、同様の傾向が見られるだろう。


 深刻なのは、メダル獲得者に続く次世代を担う「スター候補」が、夏季でも冬季でも、ほとんど見当たらないことだ。選手の個々の能力もさることながら、あからさまな日本不利の「ルール」の存在・・・。 同様のことが、今の「科学界」でも見受けられるが・・・。



 民主党さまの「戦略的売国」政策によって、この日本という国は、衰退を極めていくだろう。たとえば、非合理な国際ルールについては、クレームを日本政府として公式に出したらどうなのだ!(iPS細胞の)アイデア特許の件もそうだがな。



 もう「政党政治」はいらない・・・とまで、言ってヨカですか?

こういうと、民主主義とは何かをレクチャーしてくれる偉い先生がいるが、

今の政党政治のどこが「民主主義」なのだ?俺にもわかるように説明してくれ!


 すまんね・・・深夜にクダまいて。

2010-03-01 19:41:47 ihepの投稿

手術支援ロボを国内発売へ J&J、月内にも

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 医師の細かい手の動きを正確に手術器具に伝える先端医療機器が月内にも国内で初めて発売される。米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の日本法人が米ベンチャー企業製の手術支援ロボット「ダヴィンチ」について、厚生労働省から製造販売承認をこのほど取得した。

 ダヴィンチは米ナスダック上場の米イントゥイティブ・サージカル(カリフォルニア州)が製造している。ロボットの腕の先に内視鏡や電気メスなどを取り付けて使う。医師は離れたところで映像を確認しながら、専用の操作装置を使い制御する。(日経新聞)



コメント:


 ちょうど1年前に・・・♪、本件について書いたから、そっちの記事を御覧くださいませ(*^▽^*)


 2009年の3月27日の記事です。


あれから、1年、とうとう日本でも臨床で使われるわけだ・・・。

ある意味、感慨深いぜよ。

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