2010-03-23 01:46:22 ihepの投稿

アトピー患者の方・・・要注意:米でアトピー薬使用後にがん 5年間で子ども46人

テーマ:ブログ
 【ワシントン共同】日本でも販売されているアステラス製薬の「プロトピック」(一般名・タクロリムス水和物)など2種類のアトピー性皮膚炎治療薬を使った米国の子どもが、2004年1月~09年1月の5年間に計46人、白血病や皮膚がんなどを発症し、このうち4人が死亡したと米食品医薬品局(FDA)に報告されていることが21日分かった。

 適応対象外の子どもに使ったり、長期間使い続けたりするなど、使用法が守られていないケースが多いという。因果関係は明確ではないが、発がんと関連する恐れがあるとして、FDAは近く専門家会議を開き、薬の添付文書改訂を検討する。

 もう一つの薬はノバルティス社(スイス)の「エリデル」(日本未発売)。いずれも塗り薬で免疫抑制作用がある。

 FDAによると、0~16歳でプロトピックを使った15人、エリデルを使った27人、両方を使った4人の計46人が皮膚がんやリンパ腫、白血病を発症した。(共同通信)



コメント:


 このブログの読者には、アトピー性皮膚炎でお困りの方・・・女性ばっかりだが・・・が、数人おられる。


 どうしても、上記のクスリを使うなら、長期の使用には、主治医と相談しながら、くれぐれも注意をと、いってたのだが・・・。懸念が、表面化してきたようだ。。。


 日本の厚生労働省でも、早急な対応(ドクターレターを出すなど)が望まれる。

2010-03-22 15:40:27 ihepの投稿

DJ せんせい♪・・・「手術支援ロボ」のダビンチ君の日本でのお値段から学べる事

テーマ:ブログ

 都内では本日、桜の開花宣言♪

皆様、いかがお過ごしでしょうか?


 DJ せんせいです


さて、先日(3月6日)に「手術支援ロボ」のダビンチ君のお値段を紹介しました。


 「米国では、だいたい今のところ1台につき100万ドルから170万ドルまでが「相場」とされています。」と。


 そして・・・「たぶん、日本では、おそらく1台、1億3千万円前後の攻防になるのではと予想されます。(消費税は、各自で計算してください。)」と書きました。


 ただ、私は、その記事の後半では、「医療機器の(日本と、諸先進国間での)内外価格差の問題は、(「特許問題」だけではなく)、複雑な日本の「流通経路」のお陰で、まだまだ、いかんともしがたいですね。」とも書いてました。

 ・・・というのは、上記の「表向きの価格予想」とは反して、まさかとは思うが、ご多分にもれず、今回でも「この内外価格差」がとんでもないことになる可能性もあったので、用心して、そう書いたんです・・・。


・・・で、今日(22日)の朝日新聞朝刊の「付録」誌(グローブ)をツラツラ見てたら・・・。



 なんと、「ダビンチ」の日本での価格は、1台 3億円・・・。

消耗品代だけでも1回で数十万円かかる・・・とのこと。


・・・言葉を失いました・・・。


 オイオイ、これじゃあ、米国の2から3倍じゃねえか!

ものすごい、内外価格差だこと。そりゃ循環器で使う「カテーテル」とかでも、まだ2から3倍くらい違いますけどね。そんなもんと、そもそも「単価」が違うわ・・・。


<お相手の女性 S.I>

それにしても、DJ せんせいの予想は、いっつも、悪いほうに当たりますね(笑)。


<DJ せんせい>

・・・ウルサイわい!


 まあ、それは、さておき・・・。

今、日本には6台。韓国ではすでに26台、導入されたそうだ。

今後、日本では欧米の10年遅れですが、30台から50台導入の見込みだそうで。


 それで、この「ダビンチ」をあらためて、簡単に紹介しておくと。

今は、前立腺ガンのOpeなどによく利用されてますが、

今、日本では、まだ保険がきかないので、患者負担分は、60万円から70万円ほど「追加」でかかりますよ。従来に比べて、術後回復の早さと傷が目立たないという「利点」はありますが・・・。


 なお、この「ダビンチ」君の主要部品は「日本製」なんですけど・・・。


 まあ、今回は(複雑な日本の「流通経路」のせいというよりも)特に、欧米の戦略的な「特許」のせいで、日本の患者さんには、またまた大きなツケが回って気ましたね・・・。儲かるのは、J・J(ジョンソン アンド ジョンソン)社さん、ばかりなり。


 なお、私は、「日本のiPS細胞産業」の行く末を、今回とダブらせております。



<お相手の女性 S.I>


DJ せんせい、なんとかしてくださいよ!


<DJ せんせい>


 おまえが、私のアメリカでのヒトiPS細胞研究を後押ししたんじゃないか(笑)。

まあ、なんとか特許のほうは、日米、5分、5分で、いけるようにしたから、上記の例のようにはならんよ。フッ、フッ、フッ。


 あっ、それから、これからの医学・生命系の優れた研究発表は、それらが臨床応用される価値が高い成果であるほど、国民・患者さんのことを考えれば、(学者のオナニーの)研究論文よりも、特許の確保(特に米国)を優先しないと、いかんなあ。・・・で、最近は、そのモデルケースを示しているわけだが。(かと、いって、個人の学界での栄達だけを考えれば論文・海外の一流学会報告>特許だけどな・・・。)


<お相手の女性 S.I>


 日本のためとか、患者さんのためとかだけじゃなくて、

それは十分わかるけど、私はどうなるのよ!

 だいたいねえ・・・。


<DJ せんせい>



・・・。(このあと、修羅場)


 それではーーー♪

2010-03-20 12:15:09 ihepの投稿

早急に国際協調下での大規模比較研究を!・・・なぜか短命、がん化危険ないiPS細胞マウス

テーマ:ブログ

  がん化の危険のない安全な方法で作ったiPS細胞(新型万能細胞)から生まれたマウスを
1年以上飼育すると、寿命より早く死ぬものが増えることが京都大学の山中伸弥教授らの研究でわかった。


 死亡率が高くなる理由は不明で、山中教授は

「現時点ではiPS細胞の臨床応用には慎重な検討が必要」としている。
19日広島市で開かれた日本再生医療学会で発表した。

 iPS細胞は、皮膚細胞にレトロウイルスで3~4種類の遺伝子を導入して作る方法が一般的。
ただ、染色体が傷つくなどして、がん化しやすいのが欠点だった。
山中教授らは、染色体に入らずに働くリング状遺伝子(プラスミド)に着目。
これに4遺伝子を載せ、細胞に入れてマウスiPS細胞を作製。
導入遺伝子が消え、安全だと考えられていた。

 ところが、このiPS細胞から生まれたマウスを飼育すると、
70週目までに約30%が死んだ。通常のマウスの死亡率は20%程度で、
明らかに寿命は短くなった。

 山中教授は「iPS細胞は性質がばらつく。
このばらつきの原因をつかみ、今後4年間で安全な細胞を作る方法を突き止めたい」と話す。 (読売新聞)



コメント:


 この結果は、C-Mycが、影響しているのだろうか・・・。

C-Mycを除く、3因子(Oct3/4, Sox2, Klf4)で、プラスミド利用、あるいはセンダイウイルスで樹立されたマウスiPS細胞から生まれたマウスなら、今回の発表分と比べてどうなのか?


 いやいや、もう、それ以外にもある、「ガン化リスクの少ない」と「思われる」様々な方法で樹立されたマウスiPS細胞から生まれたマウスでは、どうなるのか?


 様々な方法でつくられたマウスiPS細胞から生まれたマウスの長期予後データ(70週超)を、国内外を問わず、それぞれの研究グループが公開し、詳細に比較検討することが問題解決への最短距離になるだろうし、それしかない。


 もう、いい加減、マウスiPS細胞の場合でいいから、そういう「国際共同研究」をやらないと、答えは出ないし、臨床応用どころか、基礎研究自体、先に進めない。


 一方、そうした研究から「ガン化」と「老化」のメカニズムに、また1つ「大きく」迫れる成果が出てくると思われる。


 ここは、山中さんが、上記研究の音頭をとって、貰うしかないのだが・・・。まあ、外国の研究者は、なかなか「マウスの長期予後」データを出してくれないしな・・・。

データは蓄積されているのにな・・・。


 まっ、とりあえず、冒頭で書いた比較研究くらいなら、日本の中だけで可能だろうから、データを示してもらえればありがたい。

2010-03-20 01:08:47 ihepの投稿

クロマグロ禁輸否決、流通・外食ひとまず安堵

テーマ:ブログ
 ワシントン条約締約国会議の委員会で、大西洋・地中海産のクロマグロの国際取引を禁止する提案が当初予想を覆して否決されたことを受け、飲食店や流通業者からはひとまず安堵(あんど)の声が上がった。

 クロマグロは「本マグロ」とも呼ばれる高級品。2008年の大西洋産クロマグロの日本への供給量は約2万トンで、日本で出回る同種の量の半分を占める。同海域のマグロ資源を管理する国際機関、大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)は昨年、2010年の漁獲枠を前年比4割削減すると決定。過去最大の削減幅で飲食店も対応を急ぐ。(日経)



コメント:


 このネタで、大学前にある深夜居酒屋の店主が相当気をもんでいた。


 まあ、われわれは、クロマグロを、従来方法よりも、はるかに鮮度高く凍結保存できる技術を開発しており、その技術をヒトの臓器・細胞の凍結保存に利用できないかを研究しているところなので、あんまり「他人事」でもない。


・・・「クロマグロのほう」で儲けたお金を、医学・医療応用研究に使おうと算盤を弾いているもので・・・。


 「医食連携」研究の一環としてだが。

2010-03-18 12:34:07 ihepの投稿

市民救命で社会復帰2倍超 AED普及の有効性実証

テーマ:ブログ
 病院外で心停止した人に、気付いた市民が公共の自動体外式除細動器(AED)を使うと、救急隊員が到着後に使ったときに比べ、社会復帰できた割合が2倍以上になるとの調査結果を京都大の石見拓助教(救急医学)らのチームがまとめた。

 18日付の米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに発表、石見助教は「AED普及の有効性を初めて実証できた」とした。

 チームは、消防庁の2005~07年の全国データをもとに、病院外で心停止し、心臓に電気ショックを与え蘇生させるAEDを受けた約1万2千人を調査。

 脳への障害がなかったり少なかったりして1カ月後に社会復帰できた率は、近くにいた市民から受けた約460人では約32%だったが、駆け付けた救急隊員が最初にショックを与えた約1万1700人では約14%で、実施までの時間が短い方が有効だった。

 また、人が住んでいる(可住)面積1平方キロ当たりのAED設置が4台以上の地域は、1台未満の所よりも社会復帰率が4倍近くに増加した。(47News)


コメント:


 大変、社会的インパクト・意義のある臨床研究だと思う。

研究デザインも、しっかりしている。

 だから、NEJM誌というトップジャーナルに載る。

これと、Lancet誌については、日本の医学研究者の論文掲載は年間を通して稀。

・・・なので、これらに1つでも論文が載れば、まあ、大抵の日本の医学部医学科で、良いポストに恵まれる・・・と「経験者」は語る(笑)。


 まあ、今回の論文の社会へのインプリケーションとしては、緊急予算措置を行い、AED設置の最適配分を早急に行うこと!・・・ちゃんとみてる?民主党幹事長の小沢さん。心疾患の既往歴がある、あなた個人にとっても非常に重要なことだと思うが・・・。


 追加・・・あっ、それから、このブログを見てるマスコミの皆さんへ。

こういう研究をこそ、1面でとは言わないが、社会面・総合面で大きな扱いで載せれば?正直、今、開催されている日本再生医療学会発表の「くだらない」基礎研究記事ばっかりをこれでもかと載せるよりは・・・。一般のおっちゃん、おばちゃん、お兄ちゃん、お姉さんは、そういうのは興味ないし、わからないよ。よっぽど、臨床に近いすごい発見とかでない限りはね・・・。


そして、上記のような「コメント」(特に上記の2段落目)を書けばいいのにねえ(笑)。


2010-03-18 08:23:17 ihepの投稿

子ども手当の家計への影響、年収多い層で恩恵大 大和総研試算

テーマ:ブログ

 子ども手当の支給が始まると家計の収入はどう変化するのか。サラリーマンと専業主婦、3歳以上小学生までの子ども2人という4人家族をモデルケースに、4つの年収層に分けて試算したところ、収入が高いほど恩恵があるという結果になった。

 試算は大和総研がまとめた。2010年は児童手当の廃止と子ども手当の半額支給により、児童手当の支給を受けない年収1000万円の世帯は09年に比べ23万4000円の収入増となる。年収300万~700万円の世帯は子ども手当から児童手当を差し引いた分(14万4000円)が増える。(日経新聞)



コメント;



 前から言ってるように、やはり、低所得層に厳しく、高所得層に甘いな・・・。

これが民主党クオリテ

 

 こうした「格差」は、今後、ますます「ひろがっていく」だろう。


 これ1つをとって、目くじらをたてる差でないというヒトもいるだろうが、この「目玉政策」の随所に、民主党の「基本理念」が垣間見れると言いたいのさ。


 医学的なことは、さておき、そもそも「子供を持てる」ヒトと「(経済的理由で)子供を持てそうに無い」ヒトという格差も気になるな・・・。


 今、早急に経済政策上やらねばならないのは、こうした安易な「マネーサプライ」ではない。安心・安全な社会(雇用の安定など)の確立に邁進することにつきる。

そうでないと、このくらいのお金なら、将来を考えて預金されればマダましで、子育てと称する遊興費に消えるのが関の山だ。

 

 そして「チャレンジ融資」をつくり、(過去はあまり問わず)アイデア勝負で、夢をみれる助成金の創設・・・公募で10万件選ぶ。このような「戦略的」マネーサプライなら、必要だが。そのための財源・・・子供手当て(笑)、議員の給料・・・。


2010-03-17 01:11:14 ihepの投稿

子宮頸がん ワクチンで予防実現 高額費用…公費助成求める声

テーマ:ブログ
 子宮頸(けい)がんを予防するワクチンが昨年末、日本でも接種できるようになった。
10歳以上の女性なら誰でも接種できるが、5万円前後の費用がかかるのが課題。そのため医療関係者らを中心に、特にワクチンの効果が高いとされる中学生相当を対象とした公費助成を求める声が高まっている。(佐藤好美、津川綾子:産経新聞)

 「ワクチンは女性への神様からの贈り物。子宮頸がんは、女性にとって一生大きな傷を残す。1人でも多く接種して」

 今月2日、国立がんセンター中央病院(東京都中央区)で開かれた子宮頸がんに関した会見の場で、
かつてこの病に苦しんだ女優の仁科亜季子さんが強く訴えた。
子宮頸がん対策は最近、大きく前進した。厚生労働省は昨年、「子宮頸がんワクチン」を初めて承認。同12月から全国で接種が始まり、がんで唯一、予防が可能になった。

 子宮頸がんは年間1万人以上が新たに罹患(りかん)し、毎年約3500人が命を落としているといわれる。子宮頸部にヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が続くと、一部ががん化するが、ワクチンはHPV感染を防ぐことで、がん発生をもとから断つ。現在、接種できるのは英系製薬会社、グラクソ・スミスクライン社の「サーバリックス」。子宮頸がんの原因の7割前後を占めるとされる2種類のHPVに免疫がつき、半年間に3回の接種が必要。免疫は20年以上続くと推定される。

 どんな人が、どこでワクチンを接種すればよいのか。HPVは性行為によって感染が広がるが、「性行為を始める前の女性への接種で7割、成人の場合も6割ががんを予防できる」と自治医科大学付属さいたま医療センターの今野良教授。日本小児科学会など3学会は11~14歳の中学生相当の女子を中心に、45歳までの女性への接種を勧めている。成人にも有効で、現在、全国約9千カ所の医療機関で接種できる。

 課題は3回の接種で5万円程度といわれる高額な費用だ。東京都杉並区や埼玉県志木市など自治体ごとに、22年度から小学6年生や中学生の接種費用を公費でまかない無料にする動きがある。しかし、「そこに住んでいない人はどうなるのか。命の値段に差があっていいのか」「愛媛がんサポートおれんじの会」の松本陽子さん)などの声が高い。今月2日、国立がんセンター中央病院の土屋了介病院長らが、11~14歳を対象に国による公費助成法案化を実現しようと、署名の受け付けをウェブサイト(hpv.umin.jp)やファクス(03・6850・0005)で始めた。

 「個人の負担を軽減し、ワクチンギャップを解消するには政府の公費助成が必要」と土屋病院長。土屋病院長らは今月3日、大妻嵐山中学校(埼玉県嵐山町)を訪れ、ワクチン接種を呼びかけるなど今後も女子中学生らへの啓発活動も行う予定だ。


コメント:

 ここでも、よく述べているように、ドブに捨てるような「新型インフルワクチン」に比べて、この「子宮頸がんワクチン」は、なんと素晴らしいものか。。。

 相変わらず、戦略的な医療政策を立案できないのが、この国のクオリテ
政権交代してから、余計にひどくなっている。
2010-03-16 07:25:16 ihepの投稿

iPS細胞の現状解説記事に関する「コメント」

テーマ:ブログ

 先週は新型万能細胞(iPS細胞)を巡る関西発の報道が目立った。奈良県立医科大学はマウスのiPS細胞から腸管を作り出し、京都大学では耳の神経を成長させること成功した。京大の山中伸弥教授が作り出したiPS細胞は再生医療の切り札となる可能性を秘める。今後の成長が期待できる分野だけに、iPS細胞を巡る研究開発競争は世界的に激しくなっている。

 18日から広島市で始まる日本再生医療学会を前に、関西でのiPS細胞研究の成果が相次いで報道されている。10日には奈良県立医大の中島祥介教授らがマウスのiPS細胞から腸管を作ることに成功したと発表した。臓器を作ったのは世界で初めてという。実験には山中教授と同じ手法で作ったマウスのiPS細胞を使った。通常のシャーレで培養し、腸に特徴的な「ぜん動運動」が起きているのも確かめた。炎症性腸疾患など発症原因の解明などに役立つほか、将来、臨床応用できれば、小腸移植などが実現できる可能性もある。8日には京都大学の伊藤寿一教授らがiPS細胞から神経のもとになる細胞を作ってマウスに移植し、耳で働く聴神経の細胞に成長させることに成功したことも報じられた。
 iPS細胞は、皮膚細胞などに数種の遺伝子またはたんぱく質などを入れて培養して作り出す。体内のあらゆる組織や細胞に成長する能力を持つことで、臓器を再生して移植することが可能となるほか、体内から取り出すのが難しい組織を実験室で再生することでこれまで発症メカニズムが分かっていなかった病気の解明や新薬の開発などにも役立つと期待されている。2006年に山中教授らのグループが4種類の遺伝子を入れて世界で初めてマウス細胞を使って作製に成功し、07年にはヒト細胞でも成功した。従来、万能細胞と呼ばれている胚(はい)性幹細胞(ES細胞)は生命の芽生えである受精卵を基に作るため、生命を操作するという倫理的な問題があったが、iPS細胞はこの問題を解消できる。ただ遺伝子そのものや遺伝子を運ぶために使うウイルスががんを引き起こす可能性があり、安全性を高める研究は内外でし烈を極めている。

 山中教授らもすでに3つの遺伝子だけでiPS細胞を作ることに成功しているが、欧米でも相次ぎ同様の成果が挙がっており、今年1月には米ベンチャー企業のアイピアーイエン(カリフォルニア州)が、3つの遺伝子を使う作製法の特許が英国で成立したと発表している。同様の特許は京大も出願しているが成立したのは国内だけ。企業のiPS細胞の応用戦略に影響を及ぼす可能性もある。また遺伝子を使わず、より安全性が高いとみられる作製手法も開発が進む。09年4月にマウスのレベルで、米国の研究所が遺伝子の代わりのたんぱく質を細胞に入れてiPS細胞を作製したと発表。先月になって米ハーバード大学がヒトの細胞に化学物質だけを入れることでiPS細胞を作ることに成功した、と発表した。化学物質だけで作る方法を公表したのは世界で初めてだ。

 世界との激しい競争に、以前、山中教授は「日本は1勝10敗」と評した。国の支援や研究者間の連携が取れていないことを嘆いたものだ。せっかく日本が先鞭を付けた分野での苦戦に、政府もようやく支援を強めはじめた。文部科学省は08年度に45億円、09年度には145億円をiPS細胞研究に投じ、早ければ5年以内に神経や目、心筋などの分野でiPS細胞を使った臨床研究を始めると表明した。この9日には09年度補正予算に盛り込んだ1000億円の科学者個人を対象にした先端研究助成基金のうち、山中教授には1件当たり最高額の5年間で50億円を配分することも決まった。

 研究拠点も整備が進む。京大は4月1日に「iPS細胞研究所」を吉田キャンパス(京都市左京区)内に開設する。新たに完成した研究棟は日本のiPS細胞研究の中核施設となるもので、地上5階、地下1階、延べ床面積は1万1943平方メートル。建設費は46億8000万円で、うち43億円は文科省が出した。主任研究員17人を中心に約120人のスタッフでスタートする。2年前にできた「iPS細胞研究センター」を研究所に格上げしたものだが、オープンラボ形式にすることで内部の人材だけでなく他の機関の研究者との交流を促す。関西に集まる再生医療の人材を広く活用する狙いがある。所長に就任する予定の山中教授は「iPS細胞研究の世界最高の拠点にしたい」と世界との競争を視野に意気込んでいる。

 関西が地域として、今後の成長分野にと期待するバイオ産業。その中でもiPS細胞を中心とした再生医療は有望な分野だ。研究面で国際競争を勝ち抜き、いち早く産業化できればその恩恵は計り知れない。地域を挙げての体制がようやく整った今こそ産学官がいっそうの力を合わせる時ではないだろうか。(日本経済新聞)


コメント:


 iPS細胞研究がらみのネタは、関西と関東では、扱いが若干違う。

全国紙とはいえ、新聞各紙の記事内容にも、温度差がある。

研究発表報道でも、かなり違うことが、ままある。

だから、私はネットでまとめて、眺めるようにはしている・・・。


 さて、上記の記事。

関西、あるいは日本の浮上の鍵を握ると言われて久しい「バイオ産業」。

21世紀初頭から、ずっと言われている。

バイオの成果に関するネタ(シーズ)は、結構でているが・・・。


 でも、それで経済や社会が「浮上」したのか?・・・特に関西。

ますます、沈滞しているようにしか見えないけれど・・・。


 日本の誇る「クルマ」産業が、トヨタを筆頭に「あんな調子」だから次は、バイオ産業が日本を引っ張る・・・というのは、いささか現実的ではないように思う。たとえ、iPS細胞をもってしてもだ。。

それから「産官学が今こそいっそうの力をあわせて」・・・って、まあ、そのように記事を総括するしかないのだろうが、この「産官学」が「力をあわせる」と、ロクなことはなかったな(笑)。一般の生活者にまで、恩恵が及ぶことが「あまりなかった」という意味で。


 むしろ、「人々の英知を結集して・・・」のほうが、いいと思いますがね。


 総じて私は、バイオ産業は、日本社会を経済的に引っ張るというよりは、むしろ「支える力」の1つになれるようなら、大成功だと見ている。


 ところで、関西、いや日本のご期待の「iPS細胞」・・・。

ちなみに、上記記事中のハーバードのヒトは、バリバリの「関西人」だよ(笑)。

そりゃ、現在の棲家は、東京ーボストンだけど。

 えっ、なんで知ってるの?・・・さあ、なんでやろ?(笑)。

2010-03-14 19:35:30 ihepの投稿

ドブに捨てられる国民の血税;輸入ワクチン行き場なく 新型インフル一段落、期限切れも

テーマ:ブログ

国内での新型インフルエンザ流行が一段落する中、政府がスイスのノバルティス社と英国のグラクソ・スミスクライン(GSK)社から計1126億円で買い付けた輸入ワクチン9900万回分が行き場を失っている。

 昨年10月の売買契約締結の発表時には2回必要とされていた接種は、その後、1回で効果ありとして回数が変更された。この時点で国産の5400万回分と合わせると全国民分を超える量が確保され、ワクチンが余ることが確実になった。厚生労働省は現在も、メーカーと余剰分の解約に向けた交渉を続けている。

 有効期間が製造から6カ月とされるノバルティス社製のうち、2月3日に出荷予定だった234万回分は、引き合いのないまま今月末に使用期限を迎える。これまでに出荷されたのは、山形など4都県から発注のあった136回分のみだ。

 GSK社のワクチンは有効期間が18カ月と長いが、販売単位が1箱50回分と大きいため「一度に使い切れない」と医療機関から敬遠され、今シーズン中の出荷のめどは立っていない。

 厚労省のまとめでは、1月末までに国産ワクチン接種を受けた人は約1800万人。国産の需要も急減している。



コメント:


 まさに、一気に、1126億円も、国民の税金がドブに捨てられたわけだ!

私は、科学的根拠に基づいて、ちゃんと公にも、ここでも提言してましたけどね・・・。


次のやつでも、また同様のことを繰り返すんだろうな・・・。



2010-03-12 12:46:35 ihepの投稿

死亡補償金は(たったの)最大3300万円=新型インフルワクチンの副作用救済-厚労省

テーマ:ブログ
 新型インフルエンザワクチンによる副作用で健康被害が出た場合の救済について、死亡時の補償金を最大約3300万円に増額する方針を厚生労働省が固めたことが11日、分かった。同省は新型ワクチンの接種を円滑に進めるため、予防接種法を改正し、補償額を増やすとしていた。
 政府は12日にも予防接種法改正案を閣議決定し、近く今国会に提出する。(時事通信)


コメント:

 このブログで再三指摘してきたように、何の良い結果をもたらすどころか、健康な人を死に至らしめたケースもある「新型インフルエンザワクチン」。

 リスクベネフィットを考えても、あまりこのワクチンは推奨すべきでないと言ってきた私の発言は、現時点で、いかが評価されますでしょうか?

 それにしても、この場合で、落とさずとも良かった命の値段が、3300万円か・・・。

一連の評価は、あなた方にまかせるわ。

 まっ、ちゃんと最前線の臨床に携わり、研究(基礎・臨床)を生業としている者の意見は、貴重でしょ?
 

 なお、そろそろ、次の「ハイブリット」が来そうだ。
本件については、また改めて書くことにしよう。

Amebaおすすめキーワード

    アメーバID登録して、ブログをつくろう! powered by Ameba (アメーバ)|ブログを中心とした登録無料サイト