2010-12-19 02:21:41 ihepの投稿

2010年 ブレイクスルー オブ ザ イヤー と新世紀10年のトップ10(Science誌)

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画期的な科学成果にiPS細胞など選出 米サイエンス誌
 米科学誌「サイエンス」は今年までの過去10年間で画期的な科学研究成果を17日付の同誌で発表した。京都大学の山中伸弥教授が作製した新型万能細胞(iPS細胞)など10テーマを選んだ。

 ほかには、米航空宇宙局(NASA)の惑星探査機が明らかにした火星の水の存在や、地球温暖化などの気候変動、太陽系外惑星の発見、がんやアルツハイマー病などと関連した炎症などが選ばれた。

2010年の最も重要な成果では、量子力学の法則に従う運動を実験で初めて再現した米カリフォルニア大学の研究を1位とした。また、今年の科学ニュースとして、日本の小惑星探査機「はやぶさ」の成功も選ばれた。
(日本経済新聞)

米科学誌:「10年の成果」にiPS細胞 「はやぶさ」も
 米科学誌サイエンスは16日付の最新号で、今世紀の10年間に科学的に大きな進展のあった10の分野を特集。山中伸弥京都大教授が作成に成功した、さまざまな細胞になる能力がある「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」に関する研究も選ばれた。

 今年の主な出来事を振り返る中では、小惑星探査機「はやぶさ」の帰還(6月)や、遺伝資源の利益配分ルールを定める名古屋議定書を採択した国連生物多様性条約第10回締約国会議(10月)にも触れた。

「細胞の初期化」という項目で研究成果が取り上げられた山中教授は2006年と07年、それぞれマウスとヒトでiPS細胞を作成することに成功。細胞により治療する再生医療や、薬の開発への応用が期待され、同誌は「発生生物学における展望を一変させた」と評価した。

 特集では今年の「10大成果」も発表。最も重要な科学的進歩として、米カリフォルニア大サンタバーバラ校の物理学者らがつくった「世界初の量子装置」を選んだ。装置は、原子レベルの微小な世界で起こる現象を説明する、量子力学の法則に従った動きを再現するという。

(毎日新聞)


コメント:


 今年も恒例のScience誌が選ぶ、(科学界の)ブレイクスルー オブ ザ イヤー。

昨年は、iPS細胞が、はずされた(昨年の今頃・・・確か2009年12月21日の、このブログ記事を参照してくだい)。しかし、今年は、復活!・・・ハーバード大学の「mRNA法によるヒトiPS細胞樹立」が、この「返り咲き」に貢献したようだ。


 一方、2000年からの過去10年間で画期的な科学研究成果という項目では、iPS細胞が選ばれた(のは当然)。


2011年からの10年間で、ヒトiPS細胞の臨床的価値が大きくなることを願う、2010年の暮れ。


 今後の5~10年の間に、少なくともヒトiPS細胞を用いた検討が今のように「前面」にではなく、さりげなく、当たり前のように、たとえば「ノックアウトマウスやPCR法」と同程度に論文に記載されなければならない状況になることが望ましい。


 そのために、なされなければならない課題はまだ多くある(細かいことを言えばきりがないけれど・・・)。


・・・で、こういう状況で、科学技術の意義にとてつもなく無理解な民主党政権にある日本は不幸である。


 以前、ここの記事で、中国が日本を見限る(=利用価値をなくす)のは、日本の科学技術の結晶かつ国民生活を支えてきた主な製品の特許が軒並み切れ、それらの国際シェアが20%をきる2015年くらいかなと書いた。

 これが、どうも「前倒し」になりつつある。昨今の「かの国」の無法ぶりから、わかるだろう。


 来年は、現在の「売国政権」(中国に利益のあることばっかりやってる)が倒れたら、超一流紙たるScience誌は、2011年の画期的な「政治科学成果」として、日本の科学革命を特集してほしい。・・・まあ、そういう状況にはならないのだろうな・・・。ちなみに、同格の超一流誌、Lancetは、2011年に、日本の医療特集をする。

2010-12-16 08:26:56 ihepの投稿

ヒトiPS細胞研究の行方・・・2010年の年の暮れの時点にて

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さまざまな種類の細胞に成長する能力を持つ人工多能性幹細胞(iPS細胞)。医療応用も期待されるが、研究の課題は何か。iPS細胞を発明した山中伸弥・京都大iPS細胞研究所長と、iPS細胞を使った動物実験などで成果を発表しているルドルフ・イエーニッシュ・マサチューセッツ工科大ホワイトヘッド研究所教授に聞いた。

 ◇がん化は数年で解決--山中伸弥氏
 ◆iPS細胞のがん化を克服するには、どのような課題があるか。

 遺伝子に傷が付かず腫瘍ができにくい細胞と、それを作る手法を決めるのが一つ目の課題。次に、目的の細胞になりきっていない「未分化細胞」が残ったまま移植すると腫瘍になるため、それを除去することも課題だ。いずれも研究が進んでおり、数年で解決できると考えている。それでも万一、移植後に腫瘍が判明する場合に備え、臨床試験の対象は細胞の変化を追跡しやすい病気や場所を選ぶことになるだろう。


 ◆iPS細胞を作るには時間がかかるため、治療用のiPS細胞を事前に用意する「バンク」を作る構想がある。どんな方法で作った細胞が対象になるのか。

 基にする細胞の候補はたくさんある。皮膚、末梢(まっしょう)血、親知らず、口腔(こうくう)粘膜などだが、この4年ではっきりさせたい。遺伝子の導入に使うウイルスは、センダイウイルスなどなら外から入れた遺伝子が細胞内に残らない。最近はたくさんの遺伝子を入れてもいいから質の良いiPS細胞を作ろうという考え方になっている。一番安全で効率の良い方法を公平に評価する基準を作るのも私たちの使命の一つだ。


 ◆細胞が初期化する仕組みは、どの程度分かってきたか。

 なかなか分からない。分かれば、1カ月かかるiPS細胞が1日で、1%しかできないものが100%作成できるようになるかもしれない。


 ◆iPS細胞の研究の倫理的な課題は。

 ES細胞(胚性幹細胞)と違い、受精卵を傷つける問題はないが、iPS細胞から精子や卵子ができるかもしれない。良い面としては、精子がほとんどできない男性がいた場合、(その人から作った)iPS細胞を使って精子を作れない理由を研究でき、原因が分かれば薬を開発できるかもしれない。一方、iPS細胞で生命を作ることは許されるだろうか。動物の体内でヒトの移植用臓器を作る可能性もある。大切な研究だが、ヒトのiPS細胞を動物の受精卵に入れることには反対もあるだろう。いずれも生命倫理上大切な問題で、研究の透明性を高め、十分議論することが必要だ。




 ◇厳格な基準作り肝要--ルドルフ・イエーニッシュ氏(米国MITの教授)


 ◆iPS細胞のがん化を防ぐ方法は開発されるか。

 がん化を防ぐには、遺伝子が変化しないiPS細胞を作る必要がある。基になる細胞の染色体に遺伝子を組み込まないウイルスや、遺伝子の代わりにたんぱく質などを使う方法が研究されている。今のところどれも理想的ではないが、比較的近い将来に解決できると確信している。患者の治療に使うには、未分化な細胞が残らないようにする必要もある。


 ◆安全で使いやすいiPS細胞の基準を作る上での課題は?

 ES細胞でも、あるものはうまく神経に分化するが血液にはならず、別のものはその逆というように異なる。iPS細胞も同じだ。(人工的に遺伝子などを組み込まない)ES細胞を参考にしながら、厳格な基準を確立することが大事だ。


 ◆細胞の初期化のメカニズムは?

 4遺伝子の役割は初期化のきっかけを作ることだ。初期化には複数の細胞分裂が必要で、その過程でさまざまな変化が起きる。そのステップを明確にすることが重要だ。皮膚の細胞と、そこからできたiPS細胞を比較するのは簡単だが、その間にはブラックボックスがある。


 ◆iPS細胞を治療に使ったり、薬の候補探しに活用できる見通しは。

 治療応用はかなり先だと思う。病気によっては早いかもしれないが、何年後か予測することには意味がない。細胞移植による治療を考えると、アルツハイマー病や筋ジストロフィーは難しい半面、骨髄はやりやすい。私たちはiPS細胞から骨髄細胞を作り、マウスの鎌状赤血球貧血症を治療する実験に取り組み、うまくいった。

 (iPS細胞利用の)焦点は、今は複雑な病気の研究だ。患者のiPS細胞を使い、試験管の中で病気を再現できれば、どんな物質が薬として使えるかの選別もできる。



 ◆倫理問題は解決されたか。

 iPS細胞から生殖細胞を作れるとなると、議論や規制が必要になるかもしれないが、まだうまくいかず、遠い先の話だ。どんな科学的発展にも、役立つ面と誤用の可能性の両方がある。


(毎日新聞)



コメント;


 日本・米国の両巨頭に対するインタビュー。

まあ、当たり障りのない、答えなのは、無理もない。


iPS細胞のがん化を防ぐ方法の開発「時期」は、両者、一致しているな。

私自身の研究成果も含め、厳密に検証するための「時間」が必要だから、数年内といってるわけで、まさに「時間の問題」ととってもらってかまわない。


 また、がんリスク回避のために4因子から減らして、4、3.2・・・とするのが、良いと思われてきたが、がんリスクを避け、そして質の良い細胞を創ろうとすれば、最低でも3因子の「再活性化」が必要なことが、わかっている。

(・・・って、こんなことは、もう書いていいだろうから、書いた。)



2010-12-12 17:32:56 ihepの投稿

やはり事前に名前が漏れた、今年のノーベル生理・医学賞受賞者

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 ヤマナカか? と尋ねたら、エドワーズだった——。ノーベル賞史上、初めての特ダネで、今年の医学生理学賞の受賞者を発表前にスウェーデンの新聞で 報じたフリーの女性記者インゲル・アッテルスタムさん(66)が朝日新聞の単独インタビューに応じ、情報を得た経緯などを語った。

 インゲルさんは25年以上、科学や医療の取材を続けている。医学生理学賞を選ぶカロリンスカ研究所に知り合いも多い。大手地元紙スベンスカ・ダグブラデット紙から受賞の予想を書くように依頼され、選考関係者に電話した。

 インゲルさんは、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を開発した京都大の山中伸弥教授ら幹細胞に関する研究者が受賞すると考えていた。取材相手に「iPSが取るの?」と話を向けたところ、返事は「いや、エドワーズが取るよ」。具体的な名前が飛び出して、仰天したという。

 英ケンブリッジ大のロバート・エドワーズ名誉教授は、世界初の体外受精児を誕生させた研究者だ。インゲルさんは急いで編集部に電子メールを送った。サブエディターのマリア・グラメールさんは「インゲルは間違ったことを言ったことがない。大特ダネだ」と判断した。

 インゲルさんと編集部は作戦を練った。記者発表の資料などを準備する時間を考えれば、発表の数時間前に記事が出ても受賞者を変える余裕はないはずだと判断。午前11時半からの発表当日の朝刊で報じ、報道の通りとなった。

 インゲルさんは「当日の朝刊なら大丈夫、と考えた。記事の通りでよかったけれど、情報をくれた人には、その後、連絡できずにいる」と気まずそうに笑った。〈朝日新聞)


コメント;


 このブログで10月6日にも書いたように、今年は発表前にノーベル生理・医学賞受賞者の氏名が漏れたことは確実になった。まあ、これで来年以降は漏れないだろうな・・・。

 
2010-12-10 21:15:43 ihepの投稿

12月10日は、ノーベル賞授賞式;シェフ45人、生花は2万3000本

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 ノーベル賞の授賞式と晩さん会が10日午後(日本時間11日未明)、
スウェーデンの首都ストックホルムで開かれる。
化学賞を受ける鈴木章・北海道大 名誉教授(80)と根岸英一・米パデュー大特別教授(75)もこの時を待つ。
世界中の注目を集める華やかな祝典の舞台裏をのぞいた。

 「金曜日に晩さん会がここで開かれます。飾り付け用の花も届いています」。

市庁舎見学ツアーのガイド、シャーロッタさん(35)が7日、

市庁舎1 階の祝賀室ブルーホール(青の広間)で説明した。

金づちの音が響き、ノーベル賞の創設者アルフレッド・ノーベルの飾りが付いた道具箱が

無造作に置かれてい る。意された生花は2万3000本。壁はレンガ色、床は淡い緑色の大理石。

設計時は、壁が青色だったが、レンガの色を生かし、名前だけが残ったという。

2階のゴールデンホール(黄金の広間)は金色を基調としたモザイクの壁が豪華だ。

 授賞式や晩さん会にはスウェーデンの王族や各国政府の閣僚らも出席する。

主催するノーベル財団のアニカ・ポンチキス広報担当マネジャーは「祝典の規模は当初の約10倍」と話す。

第1回の1901年には受賞者が泊まるホテルで晩さん会があり、出席者は男性113人だった。

 今では受賞者は14人までゲストを招くことができ、家族や親しい友人と祝典を楽しむ。

 今年の受賞者は平和賞(オスロで授賞)を除き10人。

晩さん会は約1350人が集う。厨房(ちゅうぼう)に立つシェフは45人。今年のメニューは 秘密だが、

市庁舎のレストランで09年の料理を特別に見た。

ロブスター風味のコンソメスープ、ウズラのトリュフ詰め、ムースとシャーベットの3品。

コースはわずか3品だが、各賞受賞者のスピーチや地元の学生たちによる余興、

プロのパフォーマンスなどが盛り込まれ、華やかな雰囲気の中、2時間以上続く。

デザートタイムには花火を掲げたウエーターやウエートレス約260人が一斉に客席に運ぶ。

レストランでは予約すれば、約1万8000円で過去の ノーベルディナーを味わえる。

 ノーベルウイーク中は多数の祝賀会や一流の演奏家によるコンサートも催され、
受賞者は最高級のもてなしを受ける。根岸さんは「一生に二度とないような週」と話す。(毎日新聞)
 

コメント;

このブログでは、6月7日あたりから、絵日記を書いてるから、ついでに、ご参考に。
まあ、どこやらの芸能界のスーパースターの「金満結婚式」ほどではないが、「格」は違うわな。
2010-11-26 06:00:48 ihepの投稿

ヒトiPS細胞の培養方法の改善ーーー安全性向上のための基盤技術

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 動物由来の材料を用いず、組成が明らかな材料だけを使って安全性が高い人工多能性幹細胞(iPS細胞)を培養、作製することに成功したと、東京大の浅島誠特任教授と長岡技術科学大、医薬基盤研究所のチームが24日、米科学誌プロスワンに発表した。

 培養にはマウスの細胞やウシの血清などを使うのが一般的だが、動物のウイルスなどが混入する恐れがあり、人間の治療や薬の毒性試験などiPS細胞の実用化に向けた課題の一つだった。

 研究チームは、bFGFという細胞増殖因子やヘパリンなど組成が明らかな物質を使い、ヒトの皮膚細胞からiPS細胞を作り、長期間安定して培養することに成功した。このiPS細胞を分析すると、移植した場合に拒絶反応の原因となる恐れがある動物由来のシアル酸も減少していた。

 従来は、培養皿でウシなどの血清を使ってマウスの胎児組織に由来する細胞を増やし、これを下敷きにしてiPS細胞を培養していた。

(47NEWS)



コメント;


 長らく、ブログ更新するのを忘れてました。

自分の仕事自体は順調なんだが、最近、非常に不愉快になることが多すぎたので。

(まあ、そちらの内容は、近いうちにアメンバー限定公開してあげよう。・・・テーマ:モンスター患者)


 さて、上記の記事。

 フィーダーフリーかつゼノフリーでのヒトiPS細胞・ES細胞の培養ということでは、同じような試みの論文・学会報告はあるが、動物由来のシアル酸も減少させたというのが、新しい点かな。


 実は、上記の情報は、新聞発表の数日前に聞いていました。

 私の持つ種々の技術と共同することで、上記よりも、高品質で安全性の高いヒトiPS細胞を、長期間にわたり安心・安全に培養できる可能性が非常に高いと思います。時期がきたら、発表します。

 ご期待くださいませ。

2010-10-26 16:18:18 ihepの投稿

なんですと!日本人のゲノム解析ですと!!

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 日本人のゲノム(全遺伝情報)を理化学研究所のチームが高精度に解読し、24日付 米科学誌「ネイチャー・ジェネティクス」(電子版)に発表した。  日本人の個人ゲノムの解読結果が発表されるのは初めて。患者の個性に合わせたオー ダーメード医療や日本人のための病気の研究につながると期待される。  理研チームは、超高速でDNAの塩基配列を読み解くことができる次世代シークエン サー(解析装置)を使って、典型的な日本人男性のゲノムを昨年1月から約5カ月かけ て解読。  2003年に国際プロジェクトで解読されたヒトゲノムの配列や欧米、アフリカ、中 国、韓国人のデータと比較した。  その結果、約30億対の塩基配列のうち、99%以上が国際プロジェクトのヒトゲノ ムの配列と一致したが、既存データにない約300万対の塩基配列が新たに見つかった。 また、従来知られていなかった塩基の個人差が約40万個あった。  ゲノムは究極の個人情報といわれ、近い将来、解読費用は10万円程度まで下がると 予想される。日本人のゲノム特性を見いだすには最低でも数十人分のデータが必要とい う。  角田達彦・理研ゲノム医科学研究センターチームリーダーは「病気のなりやすさを知 るには、研究が相当進まないといけない。情報保護の体制も未整備だ。興味本位で個人 のゲノムを解読しない方がよい」と話している。(産経新聞他)

 コメント;

重要な研究だ。
日本人「怪獣説」(笑)が、科学的にどこまで明らかにできることやら・・・。

まあ、日本人女性のもやってくれ。
日本人男性とも、また違った傾向がみれるだろう・・・。

理化学研究所のチームの皆様、ついでに、私の人生も「デコード」(解読)してくださいませ(笑)。
きっと、「興味深い」データが得れるでしょう。



2010-10-20 03:35:39 ihepの投稿

iPS細胞特許、再生医療目的で初の契約…フランス企業と

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 京都大の山中伸弥教授が開発したiPS細胞(新型万能細胞)の特許管理会社「iPSアカデミアジャパン」(京都市、社長=吉田修・京都大名誉教授)は18日、フランスのバイオ企業「セレクティス」に、再生医療の治療目的でiPS細胞の利用を認める初のライセンス契約を結んだと発表した。再生医療の実現に向けて研究が加速すると期待される。特許料や詳しい内容は企業秘密として非公表だが、iPSアカデミアジャパンによると、セレクティスは、再生医療に使う細胞を作るため、iPS細胞を体のいくつかの種類の細胞に変化させて製品化する予定だという。iPSアカデミアジャパンはこれまでに国内外の20社余りと契約を締結。ただし、その内容は、様々な病気に対する薬を開発するため、iPS細胞から作った細胞に、新薬の候補となる物質を投与して効果や副作用などを調べる「創薬」の分野に限られていた。iPSアカデミアジャパンは「iPS細胞技術を実際の医療に直接役立たせる新たな道を切り開くことができた」と評価している。

(読売新聞)

 iPS特許、治療向け初供与 京大系管理会社、仏社に
京都大学の山中伸弥教授が開発した新型万能細胞(iPS細胞)の特許を管理する専門会社のiPSアカデミアジャパン(京都市)は18日、フランスのバイオ企業にiPS細胞の特許をライセンス供与したと発表した。iPS細胞から作った細胞を創薬向けだけでなく、再生医療など治療向けの研究開発や製品にも使える契約を初めて結んだ。iPS細胞の早期医療応用を促しそうだ。

 供与するのはセレクティス社(パリ市)。フランスの代表的な研究機関であるパスツール研究所から分離独立した会社で、遺伝子操作技術などに強く、幹細胞の産業化を目指す子会社を持つ。セレクティス社はiPS細胞から分化した細胞を、新薬開発の基礎実験などに生かすほか、病気や事故で機能が失われた臓器の修復を目指す再生医療向けにも役立てたい考えだ。(日本経済新聞)



コメント:


  「iPS特許、治療向け初供与、仏社に」って、「仏(ホトケのように人類の幸福を願う)会社、あるいは仏壇会社」にではなく、フランスのバイオ営利企業に・・・ですから(笑)。


 ちなみに、ヒトiPS細胞利用して、私が開発したある疾患に対する新薬候補は、英語で書いた論文が、わざわざフランス語に訳されて、フランス大使館のHP(科学技術の情報提供HP)に載ってるよ。この調子なら、使うんでしょうから、私どもの特許管理者に、ご一報を(*^▽^*)


 そうだな、1回の使用につき、1945年ヴィンテージのChateau Mouton-Rothschild(シャトームートンロートシルト) 1本でいいや・・・って、言っといて、特許弁護士様。

2010-10-12 17:30:21 ihepの投稿

ヒトES細胞で再生医療、世界初の臨床試験

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 ES細胞で再生医療、世界初の臨床試験 米バイオVB 米バイオベンチャー企業のジェロンは11日、胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を使った世界初の臨床試験(治験)を開始したと発表した。同社は昨年、米食品医薬品局(FDA)から治験の認可を得ていた。 治験ではジョージア州アトランタの病院に入院している胸部脊髄(せきずい)損傷の患者に、ES細胞から作った神経の細胞を移植して運動機能を再生させる。ジェロンのトーマス・オカルマ最高経営責任者(CEO)は「今回の治験開始はES細胞を使った治療分野において画期的な出来事だ」とコメントした。 同社は今夏にも治験を開始する予定だったが、目的の細胞以外の不純物がごくまれにできることが判明。FDAから安全性を再確認するよう指示されたため、開始が遅れていた。 (日本経済新聞)

コメント:

ようやく始まるのか・・・。というのが、まず最初の感想。

ジェロンの株価は、どうなってるんだろう?
・・・というのが、第2の感想(笑)。・・・6%強値上がりした(ジェロン株はジャスダックに上場されている)。

 このヒトES細胞での臨床試験の帰趨が、ヒトiPS細胞利用の再生医療の臨床試験に今後、多大な影響を与えるだろうということは、前にも、このブログで指摘したが、今でも、その意見は変わらない。
付け加えておくと、ヒトiPS細胞利用の再生医療の臨床試験・・・特に「他家移植」(たとえば、他人の皮膚などからiPS細胞を創り、iPS細胞バンクに保存されたものを神経細胞にして、それを患者さんに細胞移植治療する)の場合・・・免疫的に拒絶反応が起こりうる。
(ちなみに自家移植・・・「My iPS細胞」を使った細胞移植治療・・・ならば、このリスクは無い。)

 ヒトES細胞では、確実に「免疫拒絶」が起こるが、どこまで、それを抑えられるか?
免疫抑制剤の使用は、どの程度必要になるのか?、そのリスクは?、患者さんは本当に癌にならないのか?
・・・今回のフェーズ1では、こうしたこともテストされるわけだが、こうしたことを含めて、ヒトiPS細胞利用の「他家細胞移植」治療法の臨床試験は、今回のヒトES細胞の試験方法に準じた進め方が要求される。
また、今回からの臨床試験で、どの程度の効果・安全性が示されれば、こうした治療の「臨床使用承認」となるのかが注目の的だ。

 ただ、対象患者さんが、車いすなしの生活をおくれるほどには、ならないだろう(特に今回のフェーズ1は、上記のような安全性評価が主目的だから、こういう劇的効果は、望みにくい)。フェーズ2、フェーズ3に順調に進んで、被験者の中で、杖をついてなら、歩けるようになったという結果を見たいが・・・。

 まあ、総じて、(日本期待の)ヒトiPS細胞利用の「他家細胞移植」治療法の臨床試験(今回対象の疾患に限らない)の帰趨を占うことになる「今回のヒトES細胞利用の臨床試験」だ。

 なお、今回の対象疾患よりは、心筋細胞移植とか、肝不全治療目的の肝細胞移植とかのほうが、「被験者の中で劇的効果を得たものがいる確率」は高くなると思いますが・・・。

いずれにせよ、結果を検証できる日が楽しみだ。

2010-10-12 17:23:05 ihepの投稿

2010年 ノーベル経済学賞

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経済学賞については、前の記事で予想しておいた通りでしょ。
この賞は、あの記事で書いたように決まるから、だいたいわかる。
失業率の減少こそが、世の中で望まれている時に、今回の授賞テーマじゃ、いろいろ文句いわれるだろうなあというニュアンスまでは、事前にお伝えしておいたわけです。

それにしても、マスコミの予想は私よりも、はずれるなあ(笑)。
ああ、それから、来年以降もiPS細胞関連は、授賞が決まってから、騒いでよね。

2010-10-10 00:32:54 ihepの投稿

2010年 ノーベル賞と日本の科学の行方

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今週はノーベル賞週間だった。


 まあ、化学賞の日本人お二人には、日本政府の科学技術政策批判を、12月の受賞日くらいまでやってもらいたい。たとえば、亡国政治家の「2番じゃだめなんですか?」のR嬢(民主党)を、これでもかとせめたてて、政界から追放するのが、皆様の役目です(笑)。


 さて、海外の研究機関に行かない若手研究者のケースが増加している問題を、上記の彼らも指摘しているし、この期にMediaも、とりあげている。でも、分析が甘い(笑)。


 海外から帰ってきたら職がなくなる恐れでいけない人が多いということを、もう少し、深く掘り下げて述べてほしい。決して、彼らのいうように「今の若者は、内向きだから」ということではない。


 上記のノーベル化学賞受賞者の時代と決定的に違うのは、今の若手研究者は、ほとんど「短期間の任期制」であるということ。今回受賞者の時代は、いったん、大学や研究機関に就職したら、よほどのことがない限り「くび」にはならず、ちょっと、研究の発展のためにということで、一定期間、海外に行きやすい環境にあった。今なら、いった瞬間に、ほぼ確実に日本での職を失うが、そんな「ストレス」が彼らの時代とくらべものにならない。


 今、研究者として海外に行くのは「ほとんど、博打」である。向こう(たとえば米国のハーバードあたり)が、三顧の礼できてくれとかいう「レアケース」や、向こうで私のようにポストが用意されれば、まあ、とてつもなくラッキーだ(こういうのは、もうすでに、それなりの国際的業績を有する研究者にしか、縁が無い話)。


 どこやらの「アジアの大国」(中国)なんて、それこそ「国家による膨大な補助」を優秀な研究者に与えて米国に「派遣」してくる。若手を甘やかしすぎるのも反対だが、中国のような「金銭的援助も、アフターケア」も十分あるわけではないのが日本の情況だから、海外にはいかず、日本で、できるだけのことをしようと考える若者は、むしろ「賢明」にすら思える。


 まあ、それでも、ノーベル賞を受賞するためには、海外で「実績」をあげ、国際的に評価の高い研究者(ノーベル賞受賞者とか)に顔と名前を「しっかり」覚えてもらう必要がある。

 その意味で、現在の日本の情況をみた場合、今の受賞有力候補層の受賞が一巡したら、あるいは、今、45歳未満の研究者からは、かなり受賞者が出にくくなるだろうな。。。

 日本政府が、どうしても、今後も、継続的にノーベル賞受賞者を出したいのなら(というか、日本の科学技術力を維持したいならば)、「海外有力研究機関」との共同研究を推進する競争的研究資金の枠を、もっと拡大し、そのグラントに当たったものは、国が終身雇用を確約するというグラントをつくればいい。

 その際、35歳までをA区分:200名、36歳ー45才をB区分:150名、46歳ー55歳をC区分:150名として応募区分を3つ用意することが重要。年齢で有利・不利にならないように。


 今の「最先端30」や「最先端300」なんて、即廃止して、上記グラント創設に資金をあてればいい。


 まあ、難しい話は、これくらいにして、10月11日は、ノーベル経済学賞の発表か。

まさに、この賞ほど、「海外、特に米国のトップ経済学者」と「どれだけ仲がいいか?」が重要になる賞はない。要は、米国が好む革新的な「○×経済理論」の信者をどれだけ、海外(特に米国)で増やせるかが鍵。今まで、手が届いた寸前で逃した日本人は2人いたが・・・。


 予想しとこうか?今年も無理だと思うよ。というか、この不況の最中で、もらいたくは無いでしょうね。

「経済学って、なんの役に立ってるんや~!」って、日本の一般からは、いわれそうだな(笑)

 まっ、日本人の今年の有力候補者がもらった場合、株価はどうなるのかな?って、想像してみたら?


 なお、それにしても「研究内容は、はっきりいって、ほとんどまったくわかりませんが、ノーベル賞受賞おめでとう」などと、テレビのワイドショー司会者が「あからさまに」よく言うが、受賞者は、よく「悲しくならないものだなあ」と感心している。

 医学で、これを言われたら、寝込むよね(笑)。山中先生(笑)。

身近な一般の人々に、自分のやってる仕事の価値をわかってもらえることのほうが、私はうれしいから。


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