2011-05-18 21:55:48 ihepの投稿

<原発人災事故> ただちに「クビ」相当と思う「厚生労働副大臣」の発言

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【ジュネーブ時事】

 世界保健機関(WHO)年次総会に出席している大塚耕平厚生労働副大臣は17日、ジュネーブ市内で記者会見し、 福島第1原発の放射能漏れ事故による住民の健康への影響に関し、「長期間の追跡調査が必要だ」と述べた。具体的な方法は政府で準備を進めていると語った。

 副大臣は、特定日や場所の放射線量データは蓄積されつつあるとした上で、原発周辺地域などの住民の正確な所在時間と場所が把握できれば、「(データとして)将来的な疫学に寄与する」との認識を示した。調査人数や避難住民の所在追跡といった課題は今後詰める方向だ。


コメント;


 いったい、誰のための、何のための「疫学研究」を行うつもりなのか?


 今、上記の副大臣の言う「(データとして)将来的な疫学に寄与する」ための研究なんぞ、まったく無価値だと先日のブログでも書いた(適時参照してください)。

 

 上記の疫学研究で得られたデータは、また、今後、更なる原発大事故がおきたときに「役に立たせる」のか?・・・というか、あるいは「起こす」気でいるのかとさえ、思ってしまう?


 現地の方々は、「1部の疫学研究者」のモルモットではない!

こんな研究に付き合う必要は無い。

 ただちに避難していただく・・・特に、子供、妊婦・・・のが望ましい。


 まともな医学研究者なら、今までに得られた疫学研究(チェルノブイリや原発作業員の被爆研究など)から、現状で、できる限り精度の高い「リスク推定」を国民に提示する努力をしてください!

 また、今までに得られた上記の疫学研究で使われた(個々の被験者の)「生データ」を国際的に研究者が共有して「リスクの再評価」研究を行うことが望ましい。なお、その際、がんリスクのみならず、心血管病変のリスク評価もしてください。


・・・こうした手法で十分な「答え」が得られるのだ。



2011-05-15 21:47:47 ihepの投稿

<原発人災事故> 死亡者の死因は心筋梗塞!?

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今、明日からの会議のために神戸に着いたばかり。

さて、表題の情報が1部で報道されている。


「内部被爆」ではないだろうという「見解」が示されている。

それ、本当なのか???


ちなみに左胸(一般的に心臓のあるほう)への放射線照射(治療目的でいわゆる「低線量」)は、心筋梗塞の立派なリスクファクターになりますがね。


この科学的事実は、たとえば、「乳がん患者」のケースであるが、一流誌掲載のしっかりしたデザインの研究で確認されている。


今、「がん」と「放射線」の関係ばかりが、皆さんに伝えられている。

しかし、私は、「放射線」と「心血管障害(心筋梗塞など)」のリスクもきちんと報道すべきだと思う。







2011-05-13 21:27:56 ihepの投稿

<原発人災事故> 福島原発と大雨(台風)・・・想定される最悪の状況

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未だに、制御どころか、ますますひどくなる一方の「福島原発」。

事故直後の当日に私は「メルトダウン」と断定調で書いた。
ようやく、それが今頃になって「メルトダウンでした」と責任者達が認めたと今日報道されている・・・。
対策までも、書いたが・・・、ずいぶん時間がたってから、やってるくらいだから、
私ごときの意見は間違いではなかったようだ。
ただ、タイミング・時期を逃して実施されてるから、まさに焼け石に水となり、冒頭の状況になってしまっている。

もう、対処方法は1つなのだ。
敢えて、まだ書かない(週末から週明けに行われるヒトiPS細胞関連研究の大事な会議が終われば書く)。

まだ、Mediaでも報道されていない重要な事として、これから「梅雨」で大雨(もしくは、早くも「台風」)が、
被災地を襲うのは間違いない。
それまでには、被災者のフォローはもちろんのこと、原発事故を制御しなければ、さらに大規模な汚染などの
最悪の事態を招く。政府や東電は、そのあたりのことを考慮しているのだろうか?
(まず、していない・・・というより、したくないようですら思える。)

「浜岡原発」だけを止めている場合ではなく、今は、直近の間違いなく生じる危機を全ての人材・技術を投入して、
全力で避けるようにするほうが重要だろうと思った次第である。
あと、福島原発で、この時期、「テロ」が勃発しないよう、万全の防衛体制をお願いしたい。
ほぼ1ヵ月くらい前に、堂々と右翼が敷地内に入ったくらいだから、気が気ではないのだ。











2011-05-07 04:34:24 ihepの投稿

首相の浜岡原発停止の指示について・・・「予言者」かつ「権力亡者」の首相は退陣してください!

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 菅首相が、静岡県にある中部電力浜岡原子力発電所の全原子炉を停止するよう要請した。

浜岡原発は、30年以内に87%の確率で発生するとされる「東海地震」の想定震源域のほぼ中央にある。首相の要請は、この「特別な状況」を勘案した結果という。

 その上で政府は、大津波に備えた新たな防潮堤を設けるなど、中長期的な安全対策を確実に実施するよう求める方針だ。

 東日本大震災での教訓を生かそうということだろう。東京電力福島第一原発が、 想定外の大津波に襲われ、大事故を起こしたことを踏まえれば、やむを得ない。

浜岡原発では、五つの原子炉のうち1、2号機は廃炉が決まっている。3号機は定期点検のため停止しており、4、5号機だけが運転中だ。正常に運転している原子炉について政府が停止を求めるのは極めて異例だ。

だが、浜岡原発は首都圏まで直線で180キロ・メートルの近距離にある。日本の大動脈である東海道新幹線や東名高速道にも近い。

運転中に事故を起こし放射性物質が放出される事態になれば、日本全体がマヒしかねない。

静岡県や周辺自治体も、早急な安全性の向上を求めていた。中部電力は首相の要請を受け入れるべきだ。

すでに中部電力は、福島第一原発を襲った高さ15メートルの津波に耐える防潮堤を設けるなどの対応を自主的に決めている。従来は8メートルの津波しか想定していなかった。

原子炉冷却用の電源が失われた福島第一原発の深刻な事故を踏まえて、予備電源の追加配備にも着手している。しかし、それだけで十分なのだろうか。

東日本大震災では、三陸沖地震に加え、隣接する広い地域で地震が連動し大津波を発生させた。

東海地震でも、震源域が隣接している東南海、南海を合わせた三つの巨大地震が連動する可能性が指摘されている。その場合、想定をはるかに超える揺れと津波に襲われる可能性も否定できまい。

政府は、中部電力と協力して対策に万全を期すことが求められる。無論、巨大地震が想定されていない他の地域の原発についても、安全確認が必要だ。

政府と、電力各社の作業が遅れれば、浜岡原発に限らず各地で原発停止が広がるかもしれない。そうならないよう、政府と電力各社は、対応を急がねばならない。 (朝日新聞)



コメント:


 この首相の決断・指示を評価する論調が多い。

 しかし、連休の谷間に、いきなり決めて、この夏の電力需要をどうするのかも考えなし、さらに法的根拠もなしに首相の独裁で勝手に決められたことに対する「重大な意義」を考えない人が多いほうが、もっと怖いけどね・・・。

それと、今のところ下記のことは、なぜか誰も指摘していないけど。。。


 1.まず、 「浜岡原発は、30年以内に87%の確率で発生するとされる「東海地震」の想定震源域のほぼ中央にある。首相の要請は、この「特別な状況」を勘案した結果という。 」

・・・この箇所について、誰も何も感じないのか???


 要は、一国の首相が、あまりあてにはならない「予想(=予言)」(ほとんど「まあ当たると評判の占い」に近いレベルだな)をもとに、重大な政策判断を国内外に示したのだぜ!これは、近代史上初めてでないか?(笑)


 だいたい、今回の東日本大震災の予測は「想定外」とされていたんだろ?

さらに、直近の実際にあった「巨大余震」の予測でも、震度5強が起こる確率予測は50%くらいだったが頻繁に起こった。これくらいの精度なんですよね・・・地震予測の現状なんてのは。そんな「予測」をもとに、勝手に判断されるのだから・・・な。


 2.あるいは、「30年以内に87%の確率で「東海地震」が発生する」という「特別な状況」を、一国の首相自らが驚くべきことに「公式」に認めたことになるけどね。。。いや、これにはもう、言葉がありませんな。

 (私自身は「東海地震」は今回の大震災のせいで確実に前倒しされてしまった可能性が高いのでは?と考えますが)、これでは、たとえば今、30歳代の新婚さんなんて、都内および、その近郊に新居なんて建てられないではないか・・・?

 たとえば、30年ローンで家をたてて、ちょうどローン帰し終わった時に、おうちがなくなる情況が生じる。。。実際、現在、浦安(千葉)は、類似のような、あるいは、もっと悲惨な情況(建てた瞬間、家がだめになった)がある。

・・・ということで、首相の今回の「何気ない、思いつきの指示」は、更なる日本経済の沈滞を生むでしょう。


 なお、原発を停止するなら、浜岡だけというのは、あまり理屈に、あわない。

ほかにも、災害(天災)がおきれば危ないとことはある。福井県のとかね・・・。


 こういうことよりも、福島原発の暴走を、いい加減、くい止めろ!

・・・それが、目下の最優先事項だろうが。

ただし、もはや、やり方(真に暴走を止める方法)は1つだが。。。


3.今回の首相の行動で、彼らの政権維持戦略が見えてきたわ。

こっから先は「想像」ですがね・・・。


 民主党・自民党→ 真夏の暑い最中に・・・「原発は、順次減らして生きたいが、やっぱり今のところは必要でしょ?だって暑いもんね。だから「暫定的原発低減政策」をとります(・・・暫定的という言葉に注意)。もちろん更なる安全性対策は行います。で、被災地の復興のために、暫定的に消費税を7%として、2%分の上昇は「復興税」にあてます。皆さん、なるべく消費してくださいね。それが、日本経済を活性化し、被災地のためにもなるのですから・・・。民主党と自民党の1部は、これを「公約」として大連立します。応援してちょうだい(笑)」・・・というように言って、選挙もせずに大連立が形成され、やりたい放題がなされるのでしょうね。


 ・・・こういうことが「もし」平然と行われるなら日本人の大半の方々にとって、かなり「痛い」ことになると思いますが・・・。






2011-05-04 06:33:45 ihepの投稿

<原発人災事故>の健康被害に関する私見 

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 東京電力は3日、福島第一原子力発電所から15~20キロ離れた沿岸部の海底の土砂から、高濃度の放射性セシウムとヨウ素を検出したと発表した。

 検出場所は、同原発の南約20キロの岩沢海岸(広野町、楢葉町)と北約15キロの南相馬市小高区の沖合3キロの水深20~30メートルの海底で、4月29日に採取した。

 小高区沖では、土砂1キロ当たり、最大でセシウム137が1400ベクレル、セシウム134も1300ベクレルが検出され、いずれも通常の1000倍以上に達した。ヨウ素131も、通常の100倍以上の190ベクレルが検出された。東電は2地点の周辺も含め、魚介類の調査なども実施する方針だ。 (2011年5月3日21時26分 読売新聞)

<コメント>


上記の記事は、悪い予想どおりに、被害が拡大している1断面の報道。


 さて、今日は、マスコミにもよく登場され、ご活躍中の「山下俊一 福島県アドバイザー」(原子力安全委員会のメンバー、長崎大学大学院医歯薬学科薬学総合研究科長、世界保健機構緊急被ばく医療協力研究センター長、日本甲状腺学会理事長)の 2011/05/03 二本松での講演 」の内容に対する私(ごとき)のささやかな「意見」。


・各々→以下の文が、私の意見です。



・山下先生;「皆さんはここに住み続けなければならない。ここで生きていかなければならない。現実です、理論じゃない。長崎や広島がそうでした。」


→ いや、先生、もう、国が早急に避難場所を確保して、皆さんには「避難」していただいたほうが良いでしょう。また、長崎・広島をよく、引き合いに出されますが、今のFukushimaのケースと比較するのは科学的にはあまり適切ではないと考えています。


山下先生:・「これから、みなさんが病気になるのを調べるには福島県民みなさんの協力が必要です」

・「10年後の放射線による影響は福島県民全員の協力の上で、疫学調査をしなければなりません。だからここで影響にはついては言えない」


・「100mSv以下では放射能の影響は科学的に証明されておらず結果は何十年後にならなければわからない。だから自分は福島の人達に安心してもらうように心配ありませんと言い続けてきた」

→ やはり「中・長期の健康影響については、確たる科学的証拠もないし、まだ、わからない」わけで、わからないことをさも、わかったように「専門家」(のつもりの方々)が言ってるから、みんな混乱すると思うのですが・・・。


 だから私が繰り返し言うように、短期的にすぐには健康被害はでないけれども、中長期的には???なので「心配ありません」などと断言すべきでないと思います。


 山下先生が、以前、チェルノブイリの疫学調査で示された「子供の甲状腺がんの増加の知見」は、評価しています。ただ、彼が示された「数年間の死亡者増加後は、死亡者減少にいたる」データは、最新の精度の高い論文で否定され、今なお、死亡者は増していますよね。(比較的予後の良いとされる)甲状腺がんにかかるヒトが多いということでしたが、実際には6人に1人は、肺転移をきたす「たちの悪い」甲状腺がんですよね!


 こういうデータが、もうあるので、わざわざ、もう「疫学調査」なんて、「敢えていらない」と言わせてください。

たぶん、今までの「チェルノブイリの疫学調査」などと比べて、患者さんにとってHappyなデータは出ないでしょう。そんなことくらい、現時点の知見で推定できます。患者さんは学者の実験台では無いのですから・・・。


 ・・・ということで、私としては、原発被災地域の高齢者は避難しなくても良いですが、15歳未満の子供と妊婦は、なるべく避難されたほうが良いという立場です。私は、特に子供にとって、ある遺伝子変異によって放射線感受性が大きく異なり、ハイリスクのグループは即刻避難していただき、長期フォローアップとケアが必要だと考えています。


 なお、1人の癌治療研究者として、将来、皆さんが癌にかかろうが、それを治療できる方法を開発していきたいと思います。敢えて「疫学調査」よりも、新しい治療法の開発が必要・・・こういうことを言わねばならないほど、事態は甘くないと思っています。



 

2011-04-25 21:50:36 ihepの投稿

ドイツ気象局による放射性物質拡散シュミレーションからの1考察

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Wetterlage und Ausbreitungsbedingungen in Japan

コメント:


 前に示したアメリカ、フランスのシュミレーションと、今回のドイツのシュミレーションを見て、被災地の漁業従事者の「新しい」あるいは「当座」の「仕事場」の候補地を日本政府は確保すべきだ。


 非常に悲しいし、残念だが、「原発被災地」での漁業の復興は当面、非常に困難なのだから、彼らには「仮の仕事場」で仕事してもらうしかないではないか?

 もう「だめならだめ」という本音の情報を日本政府が提示することが重要だ。そこから、すべてが始まると思う。


 だいたい、「原発被災地産」を購入しようって掛け声だけは1部で盛んだが、やはり、残念ながら、悲しいけれど、一過性のようだしね・・・。


2011-04-21 23:57:17 ihepの投稿

母乳と放射線1

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 枝野官房長官は21日の会見で、福島第一原発周辺に住む母親の母乳に放射性物質が含まれていないか調査する方針を示した。厚生労働省が今後、具体的な方法を検討する。

 市民団体が20日、千葉県と茨城県に住む女性4人の母乳から放射性ヨウ素が検出されたと発表。最高値は3月29、30日に採取した千葉県柏市の女性の母乳で1キロ当たり36ベクレルだった。

 母乳について国の基準はなく、飲料水の乳児の基準では放射性ヨウ素は100ベクレル。枝野官房長官は「水の基準値を大きく下回っているので、過度な心配をしなくても大丈夫な状況と判断している。母親にとっては心配だと思うので念のため一定の調査を行う」と述べた。 (asahi新聞)


コメント;


 まず、本件の医学コメントは、次回にします。

気になるのは、枝野官房長官の「言葉と行動」の不一致。


たとえば、先日の被災地訪問でも、車から降りたのは、たったの5分。しかも防護服つけて。

しかし、相変わらず「安全」だという彼・・・。


こういうことから、私以上に、一般の方は、「やっぱり、危ないんだ」と普通に思うでしょうね。


2011-04-13 05:31:19 ihepの投稿

<レベル7の原発事故> 放射線による海洋汚染シュミレーションを見て・・・

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ニューヨーク・タイムズ紙に掲載された予想図(3月18日時点)
U.S. National Centers for Environmental Prediction (NCEP) Global Forecast System (GFS) というモデルによる予測


・フランスIRSNが公表した福島第一原発事故による海洋汚染影響予測図(4月4日時点)

「Simulation de la dispersion en mer des retombées atmosphériques à la date du 4 avril」とあるように、4月4日時点における大気中の放射性物質が海面に降下(フォールアウト)して分散する予測図。同じく単位は Bq/l(ベクレルパーリットル。1リットルあたりのベクレル値)。汚染水よりも濃度ははるかに低いが、より広範囲に拡散していることが確認できる。


コメント;


 これらのシュミレーションを参考にしながら、特に被災地の漁業関係者(プロ)は、今後、「どこの地域」で新たに生計をたてるか? そして、それを、政府はもちろん、国民は、どのようにバックアップするか? 早急に検討されるべきだ。

 だいたい、「私は、被災地産」を買うぞ!という方がおられる、ても、店頭に並んでもらわんと、どうしようもないし。

そればっかりの食生活では、たとえ、うまくても、飽きちゃう。

スーパーあたりで、「産地表示無し」とか「偽装表示」とか、やらかすところがでてくるだろうな。嫌な話だが。


 それから、事故のレベルを7とするって、だいたい、今は、人類が経験していない状況であり、レベル7どころではない。過去の基準設定が通用しないのだ。あらたに、基準(人々の行動基準も含む)を設定すべきと考えるのは私だけか?


2011-04-09 03:05:42 ihepの投稿

<科学ニュース> 天晴れ Japan !

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網膜組織:マウスES細胞から、立体構造で作成成功--理研
まざまな種類の細胞になる能力をもつマウスの胚性幹細胞(ES細胞)を使い、立体的な構造となっている目の網膜組織を作ることに、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)が成功した。これまで網膜を構成する個々の細胞組織は作れたが、それらが組み合わさった立体的(三次元的)組織が作成されたのは初めて。まだ治療法のない「網膜色素変性症」など、目が見えなくなる病気の再生治療につながる成果として注目される。
7日付の英科学誌「ネイチャー」に論文が掲載される。笹井芳樹グループディレクターらは、マウスのES細胞を特殊な培養液で増やす際、約3000個の細胞を直径約1センチのくぼみの中で集める(凝集する)方法を開発。網膜の元になるおわん形の「眼杯(がんぱい)」に似た組織(直径0・2ミリ)を作ることに成功した。さらに培養を続けると、光を受け取る「視細胞」や、情報を伝達する「神経節細胞」など数種の細胞が層状に規則正しく並ぶ網膜の立体構造が再現できた。笹井さんは「凝集する操作によって、細胞がもともと持っている組織形成のプログラムをうまく引き出せた」と話す。
理研では、高橋政代リーダーらによる別のチームが、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った網膜の一部「網膜色素上皮細胞」を、悪化すると失明する「加齢黄斑変性症」の目に移植して進行を遅らせる研究に取り組んでいる。今後約2年で患者への臨床研究を始める予定だが、この病気などによる失明そのものを治すには、ひとつの種類の細胞移植だけでは無理で、12~15年は研究が必要と考えられてきた。今回の成果を受け、高橋さんは「網膜の組織ができたことで、移植への難関が取り払われた。臨床研究まで6~7年に近づいたのでは」と話している。(毎日新聞)



マウスES細胞から網膜組織 理化学研究所
あらゆる器官に成長できるマウスのES細胞から立体的な網膜組織をつくることに、理化学研究所が世界で初めて成功しました。
 理化学研究所の笹井芳樹さんのグループによりますと、マウスのES細胞を試験管に入れ網膜に変化するのに最適な環境で培養したところ、5日後ぐらいに細胞の塊の中から網膜になる部分が飛び出し、その後、真ん中がくぼんでカップ状の「眼杯」になりました。
その際、くぼんだ組織の内部には、6種類の細胞からなり、感じた光を電気信号に変えて脳に映像として伝える 「神経網膜」が自然に形作られていたということです。マウスの立体的な網膜組織をES細胞からつくることに成功したのは世界で初めてです。
 「わたしたちが目指している視細胞移植の最後の難関。すべて取っ払う成果」(研究チーム高橋政代リーダー)
グループは数年後にはヒトの網膜組織の作成を目指していて、網膜色素変性症などで失明した人に移植すれば見えるようになる可能性があるということです。(毎日放送)



コメント:


こういうニュースこそが、今の日本に元気を与える。

研究の進展具合については、想定以上のスピード・成果だ。

 今後、ヒトES/iPS細胞からの成功は「時間の問題」だろう。


 ヒトでの臨床研究の際に予期せぬ事態が生じ、「想定」よりも時間を食うかもしれない。それでも、10年以内に、(どんな症例でも、うまくいくというのは、さすがに考えられないが)、移植治療を受けた患者さんで「大成功」したというニュースを目の当たりにすることができるだろう。


 比較的、辛口の私にして、こう言わせてもらいます(笑)。

2011-04-09 01:50:45 ihepの投稿

<原発関連「人災」事故> 日本の在宅医療は「メルトダウン」10秒前

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 宮城県で震度6強を観測した東日本大震災の余震で、酸素吸入器を使用して自宅治療していた山形県尾花沢市の女性(63)が死亡していたことが8日、確認された。県警などによると、女性の酸素吸入器は、地震による停電のために使えなくなっていたとみられる。「震災や計画停電などで医療機器トラブルや深刻な医療事故が起こらないか」。こうした危惧は以前から医療関係者から指摘され、警鐘が鳴らされていた。厚生労働省も詳しい実態調査に乗り出すなど、事態の重さを物語っているといえそうだ。(MSN)



コメント;


 3月15日あたりから、医療関係者の中で、想定されていた最悪の事態が、ついに表面化した「人災」である。

大きな病院は自家発電でなんとか対応可能だが、「医療依存度の高い患者」に対する在宅医療の弱点がさらけ出された。


 停電下でも対応可能な、「医療依存度の高い患者の家」って現実的にほとんど無いだろうという危機管理の観点から、私は、上記の記事内にある「医療関係者」らとは、「一歩」違って、「在宅から病院へ」と言ってきた。

 特に大震災が起こった場合には病院受け入れ体制の困難も予想されるから、緊急時の病院ー在宅の「中間医療施設」の充実を、かなり前から提案してきた。


 病院医療より「在宅医療」のほうが、患者さんのQOL(生活の質)があがり、医療費の「節約」につながるという

大嘘のもとに、こうした提案は、あまり日の目を見なかった。前者については、病院と自宅で、統計学的に大差ありません。さらに、個々の患者さんの「お家」の事情もあります。たとえば、ぶっちゃけ、(患者さんの)家族がかなり負担に思っている患者さんを家に帰しても、残念ながら患者さんは決して幸せではありません。そして、病院医療より在宅医療のほうが1人あたりの医療費が「高く」つきます。・・・こうした科学的事実をもとに、「必ずしも在宅医療は良いことばかりではない。少なくとも、上記の危機管理を考えたバックアップ体制の充実を考えましょう。」などと言ってたら、「看護学」の偉~い(らしい)先生様(女性の看護の「在宅看護・医療推進派のおばちゃん」先生らは、いろいろ怒ります。そして、その「おばちゃん」らの旦那は、国や地方自治体の事務系役人の大物(キャリア)です。

 ・・・で、この事態だ。どう、責任をとるつもりなのか?お前らの地位と職の安定のために医療は、存在しないのだ!・・・と言うのも虚しい。

 私がヒトiPS細胞研究に日米間で注力している間に、日本では医療崩壊が残念ながら加速し、今、「医療融解」の段階か。。。

 

 上記の記事には出てない「多くの2次被災者」を、もうこれ以上増やさないために・・・と、思う。

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