菅首相が、静岡県にある中部電力浜岡原子力発電所の全原子炉を停止するよう要請した。
浜岡原発は、30年以内に87%の確率で発生するとされる「東海地震」の想定震源域のほぼ中央にある。首相の要請は、この「特別な状況」を勘案した結果という。
その上で政府は、大津波に備えた新たな防潮堤を設けるなど、中長期的な安全対策を確実に実施するよう求める方針だ。
東日本大震災での教訓を生かそうということだろう。東京電力福島第一原発が、 想定外の大津波に襲われ、大事故を起こしたことを踏まえれば、やむを得ない。
浜岡原発では、五つの原子炉のうち1、2号機は廃炉が決まっている。3号機は定期点検のため停止しており、4、5号機だけが運転中だ。正常に運転している原子炉について政府が停止を求めるのは極めて異例だ。
だが、浜岡原発は首都圏まで直線で180キロ・メートルの近距離にある。日本の大動脈である東海道新幹線や東名高速道にも近い。
運転中に事故を起こし放射性物質が放出される事態になれば、日本全体がマヒしかねない。
静岡県や周辺自治体も、早急な安全性の向上を求めていた。中部電力は首相の要請を受け入れるべきだ。
すでに中部電力は、福島第一原発を襲った高さ15メートルの津波に耐える防潮堤を設けるなどの対応を自主的に決めている。従来は8メートルの津波しか想定していなかった。
原子炉冷却用の電源が失われた福島第一原発の深刻な事故を踏まえて、予備電源の追加配備にも着手している。しかし、それだけで十分なのだろうか。
東日本大震災では、三陸沖地震に加え、隣接する広い地域で地震が連動し大津波を発生させた。
東海地震でも、震源域が隣接している東南海、南海を合わせた三つの巨大地震が連動する可能性が指摘されている。その場合、想定をはるかに超える揺れと津波に襲われる可能性も否定できまい。
政府は、中部電力と協力して対策に万全を期すことが求められる。無論、巨大地震が想定されていない他の地域の原発についても、安全確認が必要だ。
政府と、電力各社の作業が遅れれば、浜岡原発に限らず各地で原発停止が広がるかもしれない。そうならないよう、政府と電力各社は、対応を急がねばならない。 (朝日新聞)
コメント:
この首相の決断・指示を評価する論調が多い。
しかし、連休の谷間に、いきなり決めて、この夏の電力需要をどうするのかも考えなし、さらに法的根拠もなしに首相の独裁で勝手に決められたことに対する「重大な意義」を考えない人が多いほうが、もっと怖いけどね・・・。
それと、今のところ下記のことは、なぜか誰も指摘していないけど。。。
1.まず、 「浜岡原発は、30年以内に87%の確率で発生するとされる「東海地震」の想定震源域のほぼ中央にある。首相の要請は、この「特別な状況」を勘案した結果という。 」
・・・この箇所について、誰も何も感じないのか???
要は、一国の首相が、あまりあてにはならない「予想(=予言)」(ほとんど「まあ当たると評判の占い」に近いレベルだな)をもとに、重大な政策判断を国内外に示したのだぜ!これは、近代史上初めてでないか?(笑)
だいたい、今回の東日本大震災の予測は「想定外」とされていたんだろ?
さらに、直近の実際にあった「巨大余震」の予測でも、震度5強が起こる確率予測は50%くらいだったが頻繁に起こった。これくらいの精度なんですよね・・・地震予測の現状なんてのは。そんな「予測」をもとに、勝手に判断されるのだから・・・な。
2.あるいは、「30年以内に87%の確率で「東海地震」が発生する」という「特別な状況」を、一国の首相自らが驚くべきことに「公式」に認めたことになるけどね。。。いや、これにはもう、言葉がありませんな。
(私自身は「東海地震」は今回の大震災のせいで確実に前倒しされてしまった可能性が高いのでは?と考えますが)、これでは、たとえば今、30歳代の新婚さんなんて、都内および、その近郊に新居なんて建てられないではないか・・・?
たとえば、30年ローンで家をたてて、ちょうどローン帰し終わった時に、おうちがなくなる情況が生じる。。。実際、現在、浦安(千葉)は、類似のような、あるいは、もっと悲惨な情況(建てた瞬間、家がだめになった)がある。
・・・ということで、首相の今回の「何気ない、思いつきの指示」は、更なる日本経済の沈滞を生むでしょう。
なお、原発を停止するなら、浜岡だけというのは、あまり理屈に、あわない。
ほかにも、災害(天災)がおきれば危ないとことはある。福井県のとかね・・・。
こういうことよりも、福島原発の暴走を、いい加減、くい止めろ!
・・・それが、目下の最優先事項だろうが。
ただし、もはや、やり方(真に暴走を止める方法)は1つだが。。。
3.今回の首相の行動で、彼らの政権維持戦略が見えてきたわ。
こっから先は「想像」ですがね・・・。
民主党・自民党→ 真夏の暑い最中に・・・「原発は、順次減らして生きたいが、やっぱり今のところは必要でしょ?だって暑いもんね。だから「暫定的原発低減政策」をとります(・・・暫定的という言葉に注意)。もちろん更なる安全性対策は行います。で、被災地の復興のために、暫定的に消費税を7%として、2%分の上昇は「復興税」にあてます。皆さん、なるべく消費してくださいね。それが、日本経済を活性化し、被災地のためにもなるのですから・・・。民主党と自民党の1部は、これを「公約」として大連立します。応援してちょうだい(笑)」・・・というように言って、選挙もせずに大連立が形成され、やりたい放題がなされるのでしょうね。
・・・こういうことが「もし」平然と行われるなら日本人の大半の方々にとって、かなり「痛い」ことになると思いますが・・・。