FCCJ元会長グループのfacebook「SOSFCCJ」アカウントに私を激励するメッセージが9日掲載された。格調高い英文で書かれているがそのまま紹介しよう。
遂に松島氏がFCCJ会員資格停止処分を受けた。理事会の紳士淑女諸君に拍手を送ろう。彼らは職業的倫理感に欠ける新しい規範を作りあげたのだ。下劣で少数の理事会を特徴づけるのは、智的で個人的な勇気に規制を加え罰則を与えようとすることだ。松島が資格停止になったのは自分のブログでF&B部門のアウトソーシングと従業員の馘首を取りあげて理事会の政策を批判したからである。その他の件について松島は作為または不作為に関する施策を現理事会が遂行するのは相応しく無いと述べている。(松島氏のブログのアクセスを紹介する)。松島の意見は(我々が応援しているので)孤立はしていない。彼は明らかに理事会に何度も引きずり出され自分たちに不愉快な個所をブログから削るよう強要されているし、更に理事会はIPプロバイダーに接触したものと思われる。この手の技術は警察がネットを規制するのに使われる。ブログについて云うなら松島は暴力や反逆や卑しむべき不品行を煽ったり説いたりしているのでは無い。しっかりと節度を守っている。憎悪に満ちた文章も無い。だから理事会としては「名誉棄損」の大義名分をでっちあげるのに大変な苦労をしていると思える。松島は誇りを持っているレギュラー会員たちや彼らに従うアソシエイト会員仲間に迷惑をかける男では無い。松島は現理事会の行為行動を批判しているのだ。神聖で侵すべからざる責任ある理事会がやっていることを正しいとか間違っていると批判することを禁じる報道の新倫理規定を作りあげるのか?今日のバウムガートナー会長がメッセージで語っている「勇気」の証しとするのは、松島を処分することなのか?現理事会はどの程度まで「悪行」と「卑劣さ」を行って良いか新しい基準を作ったのだ。恥を知れ!
大御所、山田洋二監督が小津安二郎監督に献辞をして「東京物語」のリメイク(と言うのは軽々しいが)「東京家族」を撮った。小津安二郎は来年生誕110年を迎える。黒沢明や溝口健二と並んで世界の映画作家に影響を与えた日本を代表する監督だ。僕は中学生の時にリアルタイムで「東京物語」を見ているし名画座やTV放映を含めれば視聴は10回を超える程好きな映画だ。原節子が美しく光り輝いていたし、笠智衆が若いのに老け役を見事にこなす。遺品分けと称して亡くなった母親の大島紬を初め大切にしていた着物を持って行く杉村春子が憎らしかった。
「東京家族」はあれから60年。時代も環境も社会も人間そのものも様変わりしているのだが、換骨奪胎しタイトルもマイナーチェンジをしているが横たわる「家族問題」、「親と子供たちの溝」などは少しも変わっていないと実感する。
驚くのは山田洋二指示のカメラワーク。ローアングル、パンも移動も無い固定したカメラ、切り返しで人物を真正面からの撮影など小津調カメラをそのまま継承している。特に最近はHDハンディカメラの普及で手持ちの撮影が流行っていて僕は大嫌いだ。被写体は立ちあがってフレームから消え、右側や左側からフレームに入って来る。固定カメラは観客に登場人物をじっくり見せる。少し気になったのはセリフ廻しまで小津トーン、笠の喋り方を橋爪功や西村雅彦が真似していることだ。ぶっきら棒で短い受け答えは笠智衆のお家芸だから活きるのだが橋爪や西村ではどうもね。
2012年5月、瀬戸内海の小島(大崎上島)から平山周吉(橋爪)と妻とみこ(吉行和子)が東京に移住した子供たちに会うために上京する。新幹線品川駅で降りたのに出迎えの筈の次男昌次(妻夫木聡)は東京駅で待っている。諦めた老父母はタクシーで郊外で開業医をしている長男、幸一(西村)の家に向かう。待ち構えているのは美容院を経営している口うるさい長女の滋子(中島朋子)と幸一の妻文子(夏川結衣)。孫たちや昌次も加え久しぶりの一家のリユニオンで、老父母を下に置かぬ歓迎振りに満足する二人。
しかし3日も経ち夫々の家を泊り歩くと子供たちは面倒くさくなる。お金を出し合って横浜のホテルに押しこむ。2〜3日居て貰う筈だが戻って来た両親に滋子は厳しい。仕方無く父は教師時代の友人宅に線香をあげ島からの友人と沼田(小林稔侍)と飲み泊めて貰おうとするが嫁に嫌われると拒否される。幸せだったのはフリーターの昌次の狭いアパートを訪ねた母とみこ。父に嫌われ会話が無い昌次は母だけが頼り。恋人の間宮紀子(蒼井優)を紹介し楽しい団らんの時間を過ごす。
ここで観客は原節子の演じた役を蒼井が任されたことを知る。二人の出会いは311の大災害のボランティア。1年余りの交際を経て結婚の約束をしているがフリーターの身の上では両親に報告出来ない。ともこは一目で紀子の優しさ思いやり性格の良さに感激し昌次を疎んずる父親の説得を引き受ける。
311を織り込みながら紀子と昌次と老両親との関係や絆が物語の主流になって行く。兄や姉たちは落ちこぼれ昌次カップルに較べ親不幸で不親切で無関心な金持ち組みと区分けされる。
2011年4月からクランクインの予定だったが311を経て改めて脚本に手を入れ時代を1年2か月後に舞台を再設定し震災をシナリオに加えたと言う。
最近の「母べえ」「おとうと」を遥かに超える感動的な作品。81歳のロートルでもう終わりかと思えた山田洋二は小津に救われて未だ未だ行ける。
来春1月19日より松竹系で全国公開される。
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