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国際
【iPS細胞移植】米総合病院が森口氏の治療全面否定「承認事実なし」 発表の展示物撤去
2012.10.12 12:02
【ニューヨーク=黒沢潤】あらゆる細胞に分化する能力があるiPS細胞(人工多能性幹細胞)から心筋の細胞を作り、重い心不全患者に移植する治療を、元東大特任助教授の森口尚史氏が米国で6人の患者に実施したと主張している件に関して、森口氏らが治療を実施したといわれる米マサチューセッツ総合病院側は11日、治験が行われたことはないと全面否定した。森口氏が同日、出席を予定していたニューヨークの国際会議の主催者も、研究内容に疑義があるとして発表の展示物を撤去。本人は会議場に姿を現さなかった。
iPS細胞をめぐっては、山中伸弥京都大教授がノーベル医学・生理学賞を受賞し、注目されているだけに、波紋が広がっている。
ニューヨークで10、11の両日に行われた幹細胞に関する国際会議では、森口氏が今年2月、iPS細胞から作った心筋細胞を米国人の男性患者(34)の心臓に移植したとされる事例がポスターで掲示されていた。
しかし、マサチューセッツ総合病院は11日に声明を発表し、「森口氏は1999~2000年まで病院に客員フェローとして在籍したが、その後は病院や(関連する)ハーバード大とは関係がない」とした上で、「大学や病院の内部審査委員会が治験を承認したとの事実はない」と強調した。
国際会議を主催した「ニューヨーク幹細胞財団」も同日午前、「ハーバード大から森口氏のポスターについて疑義が示された」とするソロモン最高経営責任者ら2人の声明を出した上で、ポスターを撤去した。
森口氏は10日、会議場に姿を見せたが、11日午前10時15分ごろから約30分間、ポスターの前で、自らの研究成果を研究者たちに説明する機会が与えられていたにもかかわらず、正午を過ぎても姿を見せなかった。
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