政府レベルで、「僕(消費税増税)だけじゃなくて、隣の子(歳出カット)も遊んでいるし、あの子(成長戦略)もふざけているじゃないか。なんで僕だけがちゃんとしなくてはいけないんだ」という小学校レベルの議論がなされた結果、問題の先送りが続き、気づけば日本は世界最悪レベルの財政状況になったわけです。こうした「先送りの論理」は、もはや限界に達しています。
これから、やらなければならないことは3つ。消費税を中心に増税を行なうことに加えて、社会保障費を中心にムダな歳出をカットする、成長戦略を実効性のあるものにして経済を活性化させることが必要です。これら3つの改革を全て実現しないと、財政再建はできません。
しかし現実問題として、これら3つの政治課題を完全に同時に実現しないといけないと考えると、財政再建など永久にできるはずがありません。今回増税が決まったのですから、増税が実際に始まるまでの1年半ほどの間に、まず徹底的な社会保障費の合理化と歳出カット、成長戦略を実行に移し、その上で増税を迎えるという流れが理想です。
増税で本当に景気は悪くなる?
欧州危機を引き合いに出す前に
――危機的な財政状況を打開するためには、増税に加えて、社会保障制度の改革を中核に据えた歳出カット、成長戦略の3つが必要ということですね。それでは第一に、一体改革の柱となる消費税増税について、詳しく聞いていきたいと思います。世間で最もよく言われるのが、消費税増税で景気が悪くなるということです。これは本当でしょうか。
日本では、とかく「消費税引き上げが経済に壊滅的な打撃を与える」と言われがちです。もちろん、消費税増税にはメリットもデメリットもありますが、私が分析する限り、経済への悪影響は限定的です。
また、増税を行なったときの悪影響ばかりが論じられ、仮に増税しなかったときに生じ得る悪影響があまり論じられないのは、公平ではない。日本国債が暴落したときのリスクも視野に入れ、比較衡量をしていかないといけません。