お手伝いさんたちのブログ

中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

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科学と政治 森林はCO2を吸収するのか (10/6)




このシリーズは学校の先生まで政治家となってしまったので、科学的なことと政治のことを分けて音声で詳しくお話をします。そうしないと真面目に勉強をしている子供が可哀想ですから。)



森林はCO2を吸収するか?
   科学 :しない
   政治 :する



森林がCO2を吸収しないのは科学的には当然のことですが、多くの方が政治に惑わされて、なかなか理解が難しいようなので、ここで再度、ゆっくり解説をします。



ポイント(科学)
1)樹木はなにでできているか?

2)樹木の一生

3)今日生まれる樹木と枯れる樹木

4)石炭はなにでできたか?



ポイント(政治)

1)どうして奇妙な話がでてきたのか?

2)京都議定書との関係

3)科学技術総合会議議員の驚き

4)森林総合研究所のホームページ



科学的に間違っていても、子供を傷つけてもいいじゃない。お金が儲かるのだからという社会を変えて、子供を大切にする社会にと思います。


(平成24106日)




--------ここから音声内容--------




昔はですね、政治家も科学者を一応尊敬してくれましたしね、それから科学に反するものをあまり露骨にですね、政治の社会に持ち込むという事もしなかったんでありますが。まぁ最近ではやりたい放題、科学なんていうのは関係ないよということで、自分の都合の良いことをまことしやかに言う、と。それからまぁ、てなずけた学者にお金を配っといて、間違った科学を普及させるってことをしょっちゅう行っているわけですね。




その一つが、森林がCO2を吸収するかという問題で、まぁこれはもうこのブログにですね、おそらく10回以上は書いたんですけども、なかなか紙に書いたものを見ても分かりにくいって言う人がおられましてですね、一回音声でちゃんと説明してくれないかという話もありますので、ここで音声でですね、もう一回説明をしようと思います。





まず、まぁ結論はですね、科学では森林はCO2を吸収しませんが、政治では(吸収)するということになってるということなんですね。これしょうがないですね。で、森林がCO2を吸収しないっていうのは科学的にはもうハッキリしてるんですが、あまりにも洗脳されましたからね。新聞とかテレビがCO2を吸収する、吸収すると言う、と。そいから京都議定書の-6%のうち、-3%くらいは森林の吸収分ということになってますからね。ですからまぁ、そんな国がですね、嘘をつくはずがないということで、それを信じてる人も多いんですね。




で、一応ここでですね、科学と政治を分けてこの問題を整理しようと思います。まず科学の方は非常に簡単なんですが、木がこう生えましてね、段々体を作っていきますが、あの木は何でできてるかつったら、炭素なんですね。この炭素はですね、何から作られるかっていうと二酸化炭素CO2ですね。ですから、CO2つうのはCが炭素で、O2が酸素ですから。木ができる時にはですね、CO2をまず吸収して酸素を外に出して、そして炭素Cをですね、自分の体を作るんです、それで。




すると木がずーっと育っていきますね、大きな木になります。で、大きな木になったらその木はですね、やがて枯れるんですね。そうすっと、このCっていうのは非常に高い栄養を持ってるので、すぐそこにですね、微生物がバーッと来ましてですね、それで食べるんですよ。食べるっつうのは我々が食べるのと一緒ですが、我々がまぁ生協食堂に行って食べて、これは全部CO2になっちゃうんですね、またCO2になります。




つまり「木ができる時にCO2を吸収して、炭素Cを取り込み、O2を出す」。ま、そのO2をというわけじゃありませんが、「同じ量のO2をですね、微生物が取り入れて木の炭素を食べてエネルギーにしてですね、再びCO2にする」ってこれが自然の循環ですね。自然は循環するって言うけど、正にこれが“自然の循環”なんですね。




で、もちろんあの、木は生まれていく木もいるし、死んでいく木もあります。生まれて体が大きくなっていく時にCO2を吸収し、衰えて少しやせ細ったり、もしくは倒れて微生物に食べられたりすることによってですね、木の一生が終わるっていうことですね。だから木はある意味でCO2の溜まり場みたいなもんなんですね。




よくですね、「それじゃあ、森林を生やしとけば、生える時はCO2を固定するじゃないか」って言うんですけども、それはダメなんですよ。ええとですね、どうしてダメかって言いますとね、それは人間の都合の良い考え方で、人間を考えたって解るんですね。赤ちゃんが生まれて段々段々大きくなっていく、と。その代わりですね、生まれる赤ちゃんの分だけは大体はですね、ご老人が亡くなっていくんですね。




つまり今日一日をとりますと、人口が増えたり減ったりしないっていうことはですね、どういうことかって言いますと、今日生まれる赤ちゃんと今日死んでいくご老人が同じ数ということになりますからね。ですから一人の人の一生を考えちゃいけないんで、今日どうか?っていうことを考えますね。そうしますと、今日生えてくる木もあるし、今日死んでいく木もあるんですね。ですから、この自然っていうのはいつも同じ状態にありますから、CO2を今日吸収する分と、CO2を今日出す分が同じになると、まぁこういうことですね。




しかし、稀には一部は少し奇跡みたいな事起こるんですよ。これはまぁ1億年から3億年ぐらいの時間が要るんですけども、木がたまたま湖のところに生えていると、それがばたっと倒れたときに水の中に落ちてしまう。ま、こういう木が一万分の一とかもっと少ない量あるんですね、で、たまには木がですね、火山の爆発でそのまま灰に埋もれてしまったとかですね、洪水があってそのまま流されてしまった、そいで土の中に埋もれてしまった、っていうような場合があるんですね。そういう場合は酸素に接しませんから、微生物も分解することはできず木のままで溜まってしまう、これが石炭ですね。




ですから石炭の分は実はCO2は溜まってるんですね。これは昔、CO2が多かった分が少しずつ減ってきたのはそのためなんですね。ですからまぁ、長い目で見れば人間が石炭を焚きますとね、昔固定した炭素がまたCO2として出ますんで、地球環境を定常的に保つ・・・良い状態に保つっていうのは石炭を燃やした方が良いと、こういう風な感じですね。




ところがこれが政治になりますとね、がらっと変わってくるっつうのが、まぁ政治の困るとこなわけですね。政治的にはどういうのかって言うとですね、とにかく京都議定書でですね、私がいつも言うように実はこの1990年基準っていうトリックをドイツが掛けたわけですね。これによってヨーロッパが凄く有利になったんです。で、アメリカは批准しませんね、中国もやりません。そうするとですね、世界で日本だけが損することになったんですよ。




そこでですね、ヨーロッパ勢が“まぁ、このままじゃ日本政府も辛いだろう”というんでですね、科学的にあり得ないんだけれども森林吸収分っていうのを認めた、と。何で認めたかっていうとCO2を制限するっつうのは国の発展を損ないますからね、日本だけが世界に率先して犠牲になってるわけですから。こんなことをやる政府って何のための政府だか分かりませんけどね、ま、そうなんですね。




それから科学技術総合会議の議員が一度ですね、私の説明を聞いて驚きましてね、「武田先生、森林がCO2を吸収しないってほんとですか?」って言うんですよね。日本の科学技術の舵を切る科学技術総合会議の議員ですよ、だからまぁ、洗脳っていうのは凄いなぁと思いましたね。




それからまぁ、私これよく言うんですが、森林総合研究所のホームページに、今から10年以上前なんですけどもね、「森林がCO2を吸収する」と書いてありまして、私その当時そういうことを教えてたもんですから、学生に間違ったことを教えちゃいけないなと思って森林総合研究所に電話しましてね、「武田邦彦だが、ちょっとこういうことを聞きたいんで、よく分かる人をお願いします」と言ったらですね、“何とかかんとか室長”つうのが出てきました。








この森林総合研究所つうのは今ではどうか知りませんが、その当時は一番大きな研究所でしたね。で、その人が言うにはですね、「ええ、武田先生の言う通り、森林はCO2を吸収しません」と、まぁこう言うわけですね。私が「だけどホームページに『森林がCO2を吸収する』と書いてあるんですけども」って問いましたらね、「ええ、あのそう書かないと補助金が出ないんです」って。つまり、「科学的な嘘をついても良い」とこういうことですね。




もうお一人、岐阜のですね、大学の先生に「森林がCO2を吸収する」と書いたホームページがありまして、その先生のところに電話しましてね、「大変に失礼だけども、私はどうも森林はCO2を吸収しないと思うんですけども、先生のホームページに書いてあるんでちょっとご質問したいんだけど」って言ったらですね、その先生が「もちろんその、普通の木はCO2を吸収しません」と、「だけども、たまたま湖の中に植わってる木が枯れた時に水の中に落ちれば、それはあの吸収します」って、「ああ、そうですね」つって、「じゃ、まぁあの、それで結構であります」、まぁいうご返事をいたしました。




つまり、この森林がCO2を吸収するっていう話はですね、科学的に間違ってても良いよと、子供を傷付けても良いよと、お金が儲かりゃ良いじゃないかという社会の中で生まれたもんなんですね。何で子供が傷つくかって言いますとね、私も割合と理科が得意だったんですけども、理科の得意な子供っていうのはですね、子供でも結構解るんですよ。ですから光合成っていうのを学んだりですね、微生物による分解っていうのを学んだりしますとね、やっぱり優秀な子供っていうのはですね、森林がCO2を吸収しないということをですね、知るんですよ。




ところがですね、親も「吸収する」と言いですね、先生もそう言ってると、もう子供としてはどうしていいか判んないんですね。こんなことを続けてたらですね、理科の得意な子供いなくなっちゃうんですよね。みんなもう理科が得意になると裏切られると、こんな風になりますので、私はですね、まぁこの問題・・・樹木の体は何でできているの?と、簡単に言えばCO2でできているわけですね。それが死んだら元に戻る。今日生まれる木の数と今日死ぬ木の数は同じだ、と。




特に日本の場合は森林面積は増えてるわけじゃありません。ま、世界的にも森林面積は増えてるわけじゃないんですね。これ増やそうとしますとね、住宅地とか道路とかを削らなきゃいけないんでなかなかですね、難しいんですね。そういうことから言って、森林がCO2を吸収するというウソの話、これやっぱり子供のためにもやめた方がいいと、こういう風に思います。


(文字起こし by 緊急助っ人)





























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