アメリカで暮らす限り、ついてまわるクレジット・スコア。知らず知らずのうちに、わたしたちのパーソナル・ファイナンス上の決断や行動が管理され成績がつけられいるのかと思うと、ちょっとぞっとしますね。クレジット・スコアはいわばわたしたちの信用度の成績表ですから、パーソナル・ファイナンスに対し責任を持った姿勢をとることで、よい成績を維持していきたいものです。しかしながら、クレジット・スコアは数的計算で算出されるものですから、「責任をもって行動していたはずなのに、クレジット・スコアにはネガティブな影響があった」というような状況を避けるために、あらかじめ算出に使われる要素を知っておくことも大切です。
クレジット・スコアを決定する要素は、支払い履歴(35%)、借り入れ残高(30%)、クレジット・ヒストリー(15%)、借り入れの種類(10%)、新規のクレジット・アカウント(10%)の5つに分かれます。第一回目は、支払い履歴と借り入れ残高についてお送りしました。第二回目は残りの3つ、クレジット・ヒストリー、借り入れの種類、新規のクレジット・アカウントについてお送りします。
クレジット・スコアにはいろいろな計算法がありますが、ここではFICOに焦点をあてています。わたしはクレジット・スコアについては専門家でも何でもありません。ここで書くことは、本やインターネットや人からリサーチしたことをベースにしています。正確さを100%保証するものではありませんのでご了承ください。
要素3:クレジット・ヒストリー(15%)
クレジット・スコアが計算されるためには、クレジット・ヒストリーが必要です。開いてから6ヶ月以上経っているアカウントをひとつは持っていることと、過去6ヶ月にアクティビティがあるアカウントがひとつはあることが最低限の条件です。そしてこのヒストリーはもちろん長ければ長いほど、クレジット・スコアには好影響です。クレジット・ヒストリーはクレジット・スコアの15%を決めるとされています。
何年も持っているクレジット・カードは宝
すべてのアカウントの平均保持年数と、もっとも長く持っているアカウントの年数との両方が考慮されます。何年ももっているカードは、平均保持年数も引き上げますし、その上最も長くもっているアカウントとしてもカウントされるわけですので宝です。新しいカードをつくったから、もう古いのはクローズしようと安易に考えることは要注意です。通常、古いアカウントはそれなりにクレジット限度額も多いでしょうから、古いアカウントを安易にクローズすると、保持年数が下がるうえに、限度額も下がり、結果的にクレジット利用比率が大幅に上がることにもなりかねず、ダブルパンチを食らう可能性があります。いったんクローズしてしまったアカウントを再度オープンすることが可能な場合もあるそうですので、該当する方はカード会社に連絡してみるとよいでしょう。
持っているだけでなく使うことも大事
アカウントの保持年数だけでなく、アカウントの利用の履歴も使われます。最近のカードのアクティビティがクレジット・スコアには好影響です。持っているカードを適度に使い続けることが、クレジット・ヒストリーを確かにします。
要素4:借り入れの種類(10%)
どのような借り入れの仕方をしているか、どういう会社から借り入れているかなど、クレジットや借金の種類の情報もクレジット・スコアの計算に使われます。時と場合によって適切な借金の仕方を選び、各種の借金を賢く使い分ける能力があるかを判断されます。この要素は、クレジット・スコアの10%を決めるとされています。
いろいろな種類の借金を持つ
一番いいのは、担保付の借金(家を担保にしたモーゲージや車を担保にしたオート・ローンなど)と担保なしの借金(クレジット・カードやリボ・アカウントなど)のどれもまんべんなく持つことです。クレジット・カードを数枚、モーゲージかオートローンの少なくともどちらかひとつを持つのが理想のようです。クレジット・スコアを上げたいのであれば、たとえ車を現金で買うことができてもあえてオート・ローンを組むなどということも得策でありえます。いろいろなタイプの借り入れをしているということは、適切な借り入れをする能力があること、適切な使い分けができることの証明なのです。
「よい」会社から借金をする
借金に種類だけでなく、どんな会社から借金をしているかということも考慮されます。優秀なクレジットを持っている人は、通常よい条件のローンやカードを得る資格がありますから、自ずと「よい」会社の「よい」プログラムから借り入れをします。クレジットが悪い人は、そのような「よい」プログラムを使う資格が与えられないので、自ずとあまり「よくない」会社のプログラムを使うことになります。こういうわけで、その人の選択した会社やプログラムも、その人のクレジットの成績を物語るわけです。
銀行の発行するクレジット・カードやローン、車を買う場合ならメーカーからのオート・ローンなどは「よい」会社のプログラムと判断されるようです。これに対し、ディーラー・ファイナンシングやストア・ファイナンシング(家電店や家具店などの)は、それに劣るものと判断されることが多いようです。たとえば、”6 month interest free”とか、“no payments for 12 months”などというようなキャッチで店頭で宣伝しているローンを見かけることがありますね。それらは、銀行や車メーカーが直接発行するローン(クレジット審査も厳しい)ではなくて、ディーラーやストアの発行するローンであることが多いようです。これらは、クレジット・スコアがある程度悪くても組めるものであり、また利子や手数料の高い条件の悪いものであることがしばしばです。これらの「あまりよくない」会社のプログラムを選ぶと、「よいプログラムを使うことができないから選択した」、あるいは「(たとえ「よい」プログラムを使うことができたとしても)借り入れに対して賢くない選択をした」と判断され、クレジット・スコアには悪影響があるそうです。
要素5:新規のクレジット・アカウント(10%)
新しいアカウントを開こうとすること、また実際開いたことの情報は、クレジット・スコアの計算に含まれ、10%を決めるとされています。
不要なインクワイアリを許さない
新しいクレジット・カード、ローンを申し込むと、申し込みを受けた会社は、あなたのクレジットの成績を確認するため、クレジット・レポート会社にインクワイアリをします。また思わぬ例では、レンタカーをデビット・カードで支払う場合なども、このインクワイアリをされることがあります。クレジット・カードで支払えば、すでにクレジット会社が信用調査をしてOKを出している人であるわけで、この事実を元に、レンタカー会社はある意味で「安心して」車を貸し出すことができます。ところが、デビット・カードは現金と同等であってクレジットは関係ありませんから、インクワイアリをして車を貸すに信用に足る人かどうかを確かめる必要があるということなのでしょう。
このインクワイアリ、一回で数ポイントから数十ポイント、クレジット・スコアを下げます。クレジット・ヒストリが長い人より短い人が、また支払い成績のよいアカウントをいくつも持っている人よりそうでない人のほうが、より大きなポイント低下を見るそうです。さらにいくつも重なってインクワイアリがされると、二回目は一回目よりもシビアに、三回目は二回目よりもシビアにスコアが下がるとのことです。
短期間の間に複数のインクワイアリがあることは、支払い困難者の確率が高い(借金の支払いを回し続けるため、新しいアカウントを開き続けるなど)とのことから、クレジット・スコアを大きく引き下げるようです。
こういうわけで、「購入価格から10%オフ」とのうたい文句(店頭でのストア・カードの売り込み)や、「You are pre-qualified!」の宣伝(ダイレクト・メールでの勧誘)などののせられて、安易に申し込まないこと。レンタカーの例など、思わぬところでインクワイアリをされる可能性もあるので、その可能性を良く知っておく(サインするとき、あるいは“I accept”をクリックするとき注意する)ことが必要です。
ソフトとハードの差を知る
インクワイアリにはソフト・インクワイアリ(soft pullとも呼ばれる)とハード・インクワイアリ( hard pullとも呼ばれる)があります。ソフト・インクワイアリは、クレジット・スコアには影響がないので、心配する必要がありません。ソフト・イクワイアリの例は:
- クレジットやローンへのpre-qualificationのためのインクワイアリ
- 家やアパートを借りる場合の大家さんによるインクワイアリ
- 保険会社によるインクワイアリ
- 雇用主によるインクワイアリ
- 借金回収のためのインクワイアリ
- クレジット・モニター・サービスによるインクワイアリや自分でするクレジット・レポート・チェック
何かお金や信用に関することでアクションをとる場合、インクワイアリをされる可能性があると思ったら、”Are you going to perform a soft pull or a hard pull?”と確認してみるとよいでしょう。”hard”という答えだったら、どうしても必要出ない限りやめてもらうか、絶対必要になるまで(たとえば、ローンなどを必ず組むと決めるまで)待ってもらうほうがいいでしょう。
インクワイアリは計画的に許す
ソフト・インクワイアリは心配する必要なし。ハード・インクワイアリは不要なものは、極力避けるのがいいわけですが、ただし必要なインクワイアリはしなければならないものです。必要なインクワイアリを許す場合は、できるだけクレジット・スコアに悪影響のないように計画的に許すことが必要です。
家を買うのでモーゲージの見積もりをとりたいとき、車を買うのでオート・ローンを探しているとき、インクワイリを恐れて一社にしかコンタクトをしないというのは絶対いけません。最適なローンを探し、一番よい条件のローンを選ぶことは、「借り入れの種類」のところにも書いたとおり重要なことです。クレジット・スコアの計算には、14日間にされた複数のインクワイアリはひとつのインクワイアリとしてカウントされるというしくみがあります。競合見積もりを取る場合は、14日以内にまとめて行うのが賢いやりかたです。また、クレジット・スコアがリクエストされた時点から溯って30日以内にされたインクワイアリは計算に入れられないそうです。つまり30日以内のインクワイアリは、クレジット・スコアを下げないとのことですから、必要な競合見積もり集めは安心して行うといいでしょう。
本当に必要なアカウントだけを開く
現在持っているクレジット・カードやローンのアカウントの数に比して、新しいアカウントの割合が高くなるほど、クレジット・スコアは下がります。複数のアカウントを持っていて、そのどれもが何年もたった古いアカウントであることが、クレジット・スコア上は有利です。要りもしないクレジット・カードを安易につくると、日の浅いアカウントがひとつ増えることになりますから、その分だけスコアが下がります。この影響は、たくさん古いアカウントを持っている人より全体的に日の浅いアカウントの多い人に対するほうがシビアだそうです。ただし、アカウントは開かねば履歴もできないしクレジット限度額も増えませんから、必要なアカウントはタイミングを見計らった上で恐れず開く必要があります。
以上、クレジット・スコアを決める要素についてご紹介しました。こう見てみると、5つの要素が相互に関係しあっているのが分かりますね。あんまり考えすぎると、いったいどうしたらいいのかわからなくなってしまうかもしれません。実際、クレジット・スコアを上げるのに躍起になって、生活のためのクレジット・スコアなのか、クレジット・スコアのための生活なのかわからなくなっているような人も見かけます。クレジット・スコアは単なるツールであって、目的ではないわけですから、することだけはするが、あとはとらわれすぎないという姿勢が大切なような気がします。自分に本当に必要なものを見極めること、必要な借金は自信を持ってすること、質のよい借金を選ぶこと、借りたものはきちんと約束どおり返すことを心がけて暮らしていれば、自ずと良いクレジット・スコアはついてくるはずではないでしょうか。
いろいろご存知の方、個人的な経験を持っていらっしゃる方、コメントください。いろいろ学ばせていただければと思います。クレジット・スコアにについてわかりやすく書かれたこんなやこんな記事もあります。
最後までお読みくださってありがとう!
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