Updated: Tokyo  2012/10/12 08:12  |  New York  2012/10/11 19:12  |  London  2012/10/12 00:12
 

アジア産魚介類、豚のふんで養殖も-輸入する米で危険性指摘

Share Google チェック

  10月11日(ブルームバーグ):9月のある暑い日、ベトナム南岸カマウにある魚介類輸出業者、ニョク・シン・シーフーズ・トレーディング・アンド・プロセシング・エクスポート・エンタープライズで作業員たちが汚れた床の上でエビを仕分けしている。床にはごみが散らかり、冷蔵されていない作業場に置かれた加工済みのエビの籠の上をハエが動き回っている。

カマウの別の作業所では、グエン・バン・ホアンさんが米国に輸出するエビを汚れたプラスチック製のおけに詰めていた。エビの上に水道水で作った氷を置く。ベトナム保健省は細菌汚染の危険性があるため水道水を飲む前には煮沸するよう指導している。ベトナムから米国に輸出されるエビは年間1億ポンド。米国で消費されるエビの約8%に相当する。

微生物学者のマンスール・サマドポア氏によると、ベトナムで水道水から作った氷を利用すると、エビが細菌に汚染される可能性があるため危険だ。ブルームバーグ・マーケッツ誌11月号が報じている。

サマドポア氏の企業IEHラボラトリーズ・アンド・コンサルティング・グループは貝類の養殖用水の検査を専門とする。同氏は「汚水で作った氷を利用したり、養殖場の近くに豚などの動物がいたりするのは容認し難い状況だ」と指摘する。

ニョク・シンの責任者、グエン・トラン・タン氏は、ジュネーブにある食品安全監査会社SGSから安全性の認定を受けていると主張する。

監査記録はなし

タン氏は「国際基準を満たすことを目指している」と説明。一方、SGSの広報担当者、ジェニファー・バックリー氏は、同社にはニョク・シンを監査した記録はないと語る。

香港に隣接する中国広東省にある陽江のティラピア養殖場では経営者のチェン・キアン氏が餌の一部として数百匹の豚やガチョウのふんを与えている。米ジョージア大学食品安全センターのディレクター、マイケル・ドイル氏は、このような慣行は米国の消費者にとって危険だとの見方を示す。

「中国人が魚の餌として利用する肥料はサルモネラ菌のような細菌に汚染されている場合が多い」。中国での食品媒介疾患について研究しているドイル氏はこう述べた。

米国で消費される魚介類の約27%が中国産。米食品医薬品局(FDA)によると、同局が検査する中国からの輸入魚介類は汚染されていることが多い。検査対象は輸入食品の約2.7%にすぎない。同局の記録によると、ベトナム産魚介類のうち検査で不適格となった貨物は2007年以降1380件で、このうちニョク・シン産は81件。中国産では07年以降820件で、汚染されたティラピア187件が含まれている。

原題:Asian Seafood Raised on Pig Feces Approved for U.S.Consumers(抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先:Beijing William Bi wbi@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Jonathan Neumann jneumann2@bloomberg.net

更新日時: 2012/10/11 14:16 JST

 
 
 
最新のマーケット情報を携帯でご覧いただけます。ぜひご利用ください。