福岡県弁護士会に所属していた元弁護士が依頼者から4億円超をだまし取ったなどとされる事件で、詐欺と業務上横領の罪に問われた高橋浩文被告(51)に対し、福岡地裁は11日、懲役14年(求刑懲役15年)の判決を言い渡した。野島秀夫裁判官は「専門知識を悪用した狡猾(こうかつ)で巧妙な犯行で、弁護士への信頼を巧みに利用した」と述べた。
判決によると、高橋被告は2010年8月〜今年2月、民事事件の依頼を受けた4社や6人に対し、仮処分命令申し立てのために保証金が必要だ、などとうそを言って、現金計4億3920万円をだまし取った。08年9月には、依頼人の和解金3千万円を着服した。
野島裁判官は、高橋被告について、依頼者からの預かり金の管理がずさんだったと指摘。「金銭管理への厳しい姿勢が欠如し、それが原因で資金繰りに難渋し、犯行に至った。弁護士としての誠実さ、廉潔さ、倫理観が大きく欠ける」と厳しく批判した。