婚活OLの気ままなブログ

僕は美容外科の杉田玄白

2011.03.05

手術が大量生産化してくると、患者に不満は出ませんか?例えば、高須先生に手術して欲しいと思ってやって来た患者が、全然違う先生に手術されてしまうとか。「でもさ、アルマーニの服と言ったって、1着ずつアルマーニが作っているわけじゃないでしょ。黒川紀章のビルって言ったって、彼がセメントをこねるわけじゃないでしょ。僕の方式、ノウハウを教育したドクターたちが僕の指導のもとに手術をしたら、僕がやっているのと変わらない。ドクターをランクづけしているのよ。君はホクロをとるだけ、君はそろそろシワ取りをやってもいいよ、ってね。複合的な手術やデザインは僕がやりますよ」。しかし診療所が全国にわたっていると、それは不可能では?「できますよ。でもたいへんだから、この夏からNTTの電話会議システムを入れようと思っているの。僕のいる所に電話回線で患者の画像と音声を送ってもらって、あなたは二重が合わないからおよしなさい、とかやるつもり」。取材を申し込んだ時、「東京のクリニックに高須がいるのは木曜日」とマネージャーらしき女性に言われた。つまり、その他にもたくさんの医者が雇われ手分けして診察したり手術をしたりしている、ということだろう。高須はこの情報化社会にふさわしい武器で武装をして、時代のスピードにあわせて走ろうとするかのように、私の批判的な質問に対して迷いを一切見せず、ハイな調子でしゃべりきった。「これはビジネス的な問題なんだけれど、うちみたいに流行っていると、逆にこっちで患者さんをセレクトできるわけ。リスクの大きい患者はやらないで帰す、ということが可能になってくるの。宮本武蔵と同じで、200勝よ。負けがわかっている勝負はしなくていいの。だから苦情も減るというわけ。美容外科は安全に確実にきれいになれる、というのは、流行っていて腕のいい医者に関して言えることなの」。そこで一息、冷えたコーヒーをゴクリ。「大学は権威主義。対外的には開業医で技術を習うのが格好悪いんでしょうね。最近、美容外科を持つ大学病院も出てきたけれど、医者が余ってる。だから僕のところに来てアルバイトするんですよ。だいたい大学に美容外科ができる前から美容整形は存在していたんですからね。民間から出てきた医療なの、だからもともと統制からははずれているのよ。元日本医師会会長の武見先生だって保険制度に批判的で、自ら自由診療やってた人でしょ、十仁の初代梅澤院長と意気投合して、日本美容外科学会をバックアップしてくれたのよ」。1978年、美容外科が正式な標榜科目になる過程では故武見太郎が積極的に動いたという。そして現在、日本には「日本美容外科学会」と称される同名の団体が二つ存在していることは前に書いた。実は高須は形成外科を基礎とした方の「日本美容外科学会」から、もう一つの学会へと移籍している。派手な広告、テレビ出演、ビデオ販売などが問題になり、会員から批判を浴びた結果だとある医者は言った。そして今、高須は後者の学会で専門医の認定作業にあたっている。「だいたい、いまの医療制度っていうのは狂っているの。医療はタダだと国民に教育してしまった。医者はかばいあって、どんな下手な医者でも食えるシステムを作ってしまった。ほんとうなら全部、自由診療にしてしまえばいいの。美容外科は保険がきかないからね、一番フェアーですよ。患者は手術の方法はわからなくたって美人になったかどうかはわかるからね。こっちもそのかわりに、これだけはいただきますよと。値ごろ感というのがあるでしょ。マーケティングでは当たり前なのね。払う方もこれだけやってもらったなら妥当な金額だ、と。患者は本当に自分のためになるから、高い価格もがまんできるのよ。美容外科っていまだにいかがわしい商売だと言われているけれど、自由経済の世の中から見ればこんな正直な商売はない。弱肉強食のまま、だめな医者は隠れてこそこそやればいい。僕、そういう世の中がすごく好き」と、ものすごい早口でまくしたてる。商売、商売と言っている点、正直ではある。おどけた表情の裏の、時代をつかむ鋭さはまさに「事業家」のものだ。高須は最後に、「僕は美容外科の杉田玄白よ」と言いはなった。「自分の体からコラーゲンを取る『オートコラーゲン法』だって、僕が最初に考案したのよ。常にトップを走っている。外科や内科は層が厚いけれど、美容外科は僕の前に走っている人はいない。誰も追随するものはいない」。そして出演の時間になったと、せわしなくスタジオへ消えて行った。1990年11月27日、朝日新聞にこんな記事が載った。「美容整形の大手高須クリニック脱税容疑で経営者起訴 美容整形の大手チェーン『高須クリニック』(本拠地・名古屋市中村区)の経営者で愛知県幡豆郡一色町赤羽上郷中、高須克弥医師(45)と、母親で同所の高須登代子医師(69)の2人が、1985年から3年間に所得税8億9千万円余を脱税していたとして、名古屋地検は26日、所得税法違反の罪で名古屋地裁に在宅起訴した。起訴状によると、同クリニックの経理をしていた登代子医師は3年間に、克弥医師の所得が実際には16億8千万円余ありながら、4億円余と偽って申告したとされる…」。その後、名古屋地裁は罰金2億円と母親の登代子被告に懲役3年、執行猶予4年を言い渡したが、名古屋高裁は「執行猶予付きは軽すぎる」と実刑を言い渡し、両被告は不服として上告した。そして1997年7月。「最高裁第二小法廷(大西勝也裁判長)は11日までに二審の有罪判決を支持し、両被告の上告を棄却する決定を出した。高須被告の罰金2億円と、登代子被告の懲役1年8月の実刑が確定」(毎日新聞1997年7月12日)

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