県は十二日、本年度一般会計を約四十四億円増額する九月補正予算案を発表した。原子力発電所の事故時の防災対策として、敦賀市など四カ所にあるオフサイトセンター(OFC)の機能強化のほか、原発停止の影響が続く嶺南地域の原発関連業者への経営支援策を打ち出した。
OFCの機能強化では、放射性物質の流入を防ぐための換気フィルターを設け、窓や扉の気密性を高めるためなど、調査・設計費七千五百六十万円を計上した。国からの交付金を充てる。経済産業省原子力安全・保安院の意見聴取会が八月に示したOFCの整備指針案に沿う対応で、来年度中の完工を目指す。
嶺南地域の原発関連の事業者への経営支援としては、約二百九十万円を盛り込んだ。県や商工会議所などの職員でつくる特別支援チームを新たに編成。土木工事や民宿など約百の業者に出向き、経営改善や新しい事業展開の相談に乗る「出前コンサルタント」の形で、県の中小企業向け融資制度も紹介する。
離職者の再就職支援には約四百二十万円を計上。従業員約七百人のルネサス関西セミコンダクタ福井工場(坂井市)で十月末に予定される人員整理や、原発停止による嶺南地域の雇用減を受け、緊急就職面接会を十一月中に、嶺北と嶺南で二カ所ずつ開く。
住宅用の太陽光発電設置促進事業は、八月中に当初予算分の約七百三十世帯の交付が決まったため、四百世帯分、計三千六百六十五万円分を追加した。
(山内悠記子)
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