国交正常化:日韓交渉の文書開示を命令 東京地裁が初判断
毎日新聞 2012年10月11日 13時08分(最終更新 10月11日 13時44分)
1951〜65年に行われた日韓国交正常化交渉を巡る外交文書を外務省が一部不開示としたのは違法だとして、日本の歴史研究者や戦後補償を求める韓国人らが全面開示を求めた訴訟の判決が11日、東京地裁であった。川神裕裁判長は不開示となった部分のうち7割以上の開示を命じた。この中には、竹島(韓国名・独島)に関する交渉記録も含まれており、開示されれば日韓関係にも影響を与える可能性がある。
原告側は06年に開示を請求。外務省は348点に及ぶ文書について、「日朝国交正常化交渉に影響する恐れ」や「竹島問題などに関する韓国との交渉上不利益になる恐れ」などを理由に全部または一部の文書を不開示としていた。
判決は、外務省が開示しなかった文書全体の約7割強にあたるものについて開示を義務付けた。外務省の規則上、30年以上が経過した文書を不開示とするには「国の安全確保などに影響があると、法的保護に値するほどの蓋然(がいぜん)性をもって立証する必要がある」と指摘し、外務省は証明できていないと判断した。
同種の訴訟では09年の東京地裁判決は開示請求をほぼ全面的に退け、昨年5月に最高裁もこれを支持している。原告側弁護団の東澤靖弁護士は「画期的な初の勝訴判決。交渉で何が議論されたのかを知ることが今後の日韓関係の土台になる」と話した。
外務省は「判決の内容を精査し、関係省庁間で検討した上で、今後の対応を決めたい」としている。【鈴木一生】