貴志祐介「新世界より」のネタバレ解説・前編
このネタバレ記事はハードカバー版を底本にしています。
この本はかなりのボリュームがある超大作であり、
あらすじを書くだけでも大変なので、解説を前編・中編・後編に分けます
(このブログで初めての前中後編の解説ですよ!)。
ハードカバー版の上巻、「Ⅰ若葉の季節」「Ⅱ夏闇」までを
前編でネタバレ解説します。
さて、まず初めに言っておかなければいけないと思うのですが――
この本の序盤は非常に読みにくいです。
その理由としては、
①時系列がバラバラである。
②専門用語が非常に多い。
③主人公が過去を回想して綴った手記という体裁をとっている
(思わせぶりな描写が多くてイライラする)。
④主人公が一筋縄ではいかない癖のある性格をしている。
⑤人類が「呪力」と呼ばれる超能力を使えるようになった、
現代から約1000年後の関東地方が舞台の話なのだが、
本文でそういった説明があるのが遅い
(これは手記という形式の小説なので仕方ありませんが)。
などが挙げられます。
①の時系列がバラバラというのは、要するに、
回想の中で回想をしている、ということです。
②に関しては、序盤は世界観の説明をしないといけないので仕方ありませんが、
①についてはもう少し工夫してほしかったです。
ちなみに、原作ですら時系列の違う話が入り乱れていて分かりにくいのに、
アニメ版ではそれをさらに細かくシャッフルするという暴挙に出ました。
③に関しては、読み返すと「ああ、なるほど」と思うのですが、
序盤の時点では意味不明な描写が多いです。
そのときどきに主人公が思い出したことを羅列していくため、
時系列がバラバラになっている原因になっています。
また、この形式だとどうしても「結局主人公は助かる」ということが
最初から読者に明かされているため、緊迫感がなくなります。
④については、主人公が1000年後の人類という設定のため、
現代人にとっては共感しにくい性格をしていることが、
読みにくさに拍車をかけています。
正直、しまうましたも、発売当時、
前作「硝子のハンマー」から4年も待たされていなければ、
序盤で挫折していたかもしれません。
でも、その読みにくい序盤を我慢して夏季キャンプのシーンまで読み進めれば
面白くなるので頑張ってください。
さて、前置きが長くなりましたが、いつものようにあらすじを書きます。
「Ⅰ若葉の季節」
まず、主人公の渡辺早季が、この手記を書くに至った経緯を説明します。
この手記を書いている時点で、主人公は約35歳です。
210年12月10日、神栖66町生まれなのですが、
この「210年」というのは西暦ではありません。
主人公の自己紹介の後、
「もし、秋月真理亜がこの世に生まれてこなかったとしたら、
結果的にあれほど大勢の人が命を落とすこともなかったはずだから……。」
という文章があります。
これは③と関連している思わせぶりな文章の一つなのですが、
「普通に読めば真理亜が大量殺人の引き金を引くように読めます。
しかしこれは一種の叙述トリックと言うか、ミスリードです。
この文章のせいで、真理亜に対して偏見を持ったまま
読み進めてしまった人が多いでしょう。」
神栖66町に関する説明があります。
神栖66町は、八丁標(はっちょうじめ)と呼ばれる注連縄で囲まれた、
周囲50キロメートルほどの地域に点在する七つの郷からなっています。
次に、「悪鬼」と「業魔」に関する、説明という名の前振りがありますが、
この時点では意味不明なので飛ばします。
夕暮れ時に早季、真理亜、朝比奈覚(さとる)、青沼瞬、良、麗子などが、
陣取り合戦をしていて、その終わりに早季がミノシロを見ているという描写があります。
ミノシロというのは、たくさんの触手をもつ陸生の生き物です。
また、覚が、ネコダマシという非常に大きな猫を中庭で見た人がいる、という話をします。
ここからしばらくの間、早季が小学校のような存在の「和貴園」から、
中学・高校のような存在の全人学級に進学するまでのエピソードがあります。
「祝霊」が来ないと和貴園を卒業することはできません。
祝霊というのは、超能力を使えるようになることです。
早季はこの祝霊が来るのが遅いため、なかなか和貴園を卒業することができず、
悩んでいました。
和貴園を卒業できなかったらネコダマシが迎えに来る、という噂があるのですが、
早季はそのネコダマシを目撃してしまい、母親に悩みを打ち明けます。
その夜、早季は両親の会話を盗み聞きします。
早季の母親は、
「私、もう、子供を亡くすのは嫌よ!」とか、
「だって、早季は、不浄猫を見たって言ったのよ!」などと、
深刻そうな会話をしていました。
しかしその直後、早季にもようやく祝霊が訪れたのでした。
早季は屋形船に乗せられ、八丁標の外のお寺、清浄寺へ連れて行かれます。
そこで無瞋上人という白髪の僧侶から、早季はテストを受けます。
そのテストの内容は、無瞋上人(むしんしょうにん)が自分の腕を小刀で
切り付けている振りをして、早季がその痛みを感じることができるか、というものです。
早季は胸が苦しくなり、倒れてしまいます。
アニメではこのシーンがカットされていました。
確かに危険な新興宗教っぽい内容なのでカットされるのも分かりますが、
実はこれは早季に「愧死機構」が備わっているかをテストしていたという
重要な伏線になっているシーンでした。
その後、早季は何人もの僧侶の前で炎を見るように言われ、その炎を呪力で動かします。
次に、人形を動かされ、その人形に呪力を封印されたと宣言されます。
しかしその直後、真言(マントラ)という呪文を授けられ、
以降はその真言がないと呪力を使えない身体になってしまいます。
そしてようやく全人学級に進学することができた早季は、
覚、瞬、真理亜と再会します。
ちなみに、この時点で早季たちは12歳くらいです。
覚は、早季に祝霊が来るのがビリだったと言いますが、
「ビリ? そんなはずないわ。だって、わたしの後にまだ」
と早季は言いかけ、やめました。
実はこれは「早季たちの会話や思考が大人たちによってコントロールされていたのです」。
その後、早季は、この全人学級の雰囲気が農場に似ている、と意味深なことを言いました。
実はこれは、早季たちが「家畜のように管理されている」ことを例えていたのだと思います。
そして、早季は覚、瞬、真理亜、守、麗子と同じ班に入れられます。
そのうち瞬はクラスの中でトップの成績でしたが、
麗子は殆どまともに呪力を使うことができず、
砂絵を描き伝言ゲームをするという課題や、
呪力でトランプタワーを作るという課題に失敗し、班の中で足を引っ張り続けました。
やがて麗子はひっそりと姿を消してしまいますが、
早季たちは「思考をコントロールされているため」そのことに気付きませんでした。
その日の放課後、早季、覚、瞬、真理亜、守の5人は、
町の中で溺れかけていた『木蠹蛾(ぼくとうが)』というコロニーのバケネズミを助けました。
バケネズミというのは、人間の次に知能が高い、人間よりも少し小柄な醜い動物であり、
蟻や蜂のように女王をトップとしたコロニーを形成している生き物です。
バケネズミは後々この話の中で重要になってくる存在です。
その数日後、早季たちは搬球トーナメントに参加しました。
簡単に説明すると、粘土を焼いて作った土器を呪力で操り、
十キロ以上ある球を押して、相手の陣地にある穴に入れれば勝ち、というゲームです。
防御側と攻撃側に分かれて交互に試合をし、穴に球を入れるまでのタイムを競います。
早季たちはエースの瞬の活躍や、
粘土でゴールの穴を隠すという早季のアイデアで優勝しかけますが、
学という敵対チームの男子が反則をしたせいで引き分けになってしまいます。
早季たちは納得できませんが、太陽王と呼ばれる担任教師に逆らうことはできませんでした。
しかし、麗子同様、いつの間にか学の姿が全人学級から消えてしまいました。
そして、夏季キャンプが始まり、ここから一気に物語が加速し、面白くなります。
早季、覚、瞬、真理亜、守の5人だけでキャンプをするのですが、
利根川をカヌーで遡っているときに、早季たちは「偽卵」をゲットします。
この偽卵は、卵を丸呑みする習性がある生き物を狙ったもので、呑み込むと死に至ります。
覚はそれを何気なくナップザックに入れました。
キャンプ一日目の夜、早季と瞬はナイトカヌーをしました。
二日目の朝、早季たちは霞ケ浦を突っ切り、上陸することになりました。
カヌーに乗っているとき、早季は目の疲れを感じたため、サングラスをかけて目を保護しました。
そして、筑波山神社跡で、早季はミノシロモドキを発見します。
ミノシロモドキは催眠術をかけて早季たちを惑わせましたが、
早季はサングラスをかけていたため催眠術にかかりませんでした。
その後、トラバサミという大きな蟹を鵜飼の鵜にして、
早季たちはミノシロモドキを捕まえました。
すると、ミノシロモドキが突然喋り始め、自分は図書館だと言い出します。
実はミノシロモドキは人造生物のサイボーグのようなものであり、
その中には膨大な数の本がインプットされているのでした。
瞬は、悪鬼と業魔についてミノシロモドキに尋ねます。
すると、ミノシロモドキは血塗られた人類史について語り始めたのでした。
2011年に超能力を持つ人類が同時多発的に生まれ、
一部の少年たちは超能力を使って大量殺戮を始めました。
こうして、超能力を使えない人類と、超能力者の新人類による戦争が始まったのです。
先史文明――つまり、しまうました達がいるこの世界はリセットされ、
500年も続く暗黒時代が始まります。
超能力者が超能力のない人類を奴隷にした奴隷王朝などが生まれますが、
やがて旧人類は滅亡し、超能力者たちだけが生き残り、
新しい平和な社会を作ることになりました。
ミノシロモドキが作られたのはこの頃です。
しかし、1人の超能力者が暴走しただけで、新人類も滅亡してしまう可能性があります。
そこで、幼い頃から洗脳的な宗教教育を施し、
利己的で危険な性格の持ち主は幼い頃に排除し(間引き)、
同性間も含めたフリー・セックスを推奨することでストレスを軽減し、
暴走しないようにしたのでした。
さらに、遺伝子レベルの改変も行い、全人類に「愧死機構」を付与しました。
愧死機構というのは、簡単に説明すると、人間を攻撃し殺してしまうと、
攻撃した人間も死んでしまう、というシステムです。
瞬はさらに詳しい説明をミノシロモドキに求めますが、突然、
ミノシロモドキは燃え上がり死んでしまいました。
その際、ミノシロモドキは母子の映像を出現させ、
攻撃者に愧死機構を発現させようとしますが、手遅れでした。
ミノシロモドキを殺したのは、離塵という清浄寺の僧侶でした。
倫理規定に違反してミノシロモドキと接触してしまったため、
早季たち5人の呪力は凍結されることになってしまいました。
真言を与えられたときと同じように、呪力で人形を立たされ、
その人形を燃やされ、早季たちは真言を思い出すことができなくなってしまったのです。
「Ⅱ夏闇」
早季たちは歩いて寺を目指しますが、呪力を使えなくなったせいで、
その歩みは非常に遅いものになってしまいました。
一方、離塵は空中浮遊をしていますが、ミノシロモドキの死の間際の呪いのせいで
愧死機構が発動してしまい、苦しそうでした。
そんな中、早季たちはバケネズミと遭遇します。
神栖66町の周辺の、人間に忠実なコロニーのバケネズミではなく、
呪力の存在も知らない、外来種の『土蜘蛛』コロニーのバケネズミでした。
離塵はそのバケネズミを殺してしまいます。
守を囮にして浮かばせ、しばらく進んだところで、守が何かを発見します。
離塵はその一帯を土石流で埋めてしまいました。
早季たちの進行方向とバケネズミのコロニーの位置が被っていたため、
とうとう戦闘が始まってしまいます。
離塵はカマイタチを起こしてバケネズミを退治しますが、ますます苦しそうになりました。
そして早季たちは風船犬を発見しました。
風船犬が爆発し、離塵は死んでしまいました。
こうして、誰も呪力を使えない子ども5人が、
町から離れた場所でバケネズミに狙われるという恐ろしい状況が生まれてしまったのです。
バケネズミは早季たちにも呪力があるかどうかを疑っているらしく、
しばらくは攻撃してきませんでした。
早季たちはバケネズミを刺激しないように、ゆっくりと歩いて逃げ出します。
しかし、丘を下り、森に逃げ込む前に、とうとうバケネズミが矢を放ちました。
5人は急いで森に駆け込み、逃げまどいます。
やがて、早季と覚の2人だけがバケネズミに包囲されてしまいました。
バケネズミに槍で小突かれ、早季と覚はコロニーの近くの、
ノイバラの蔓が絡んだ鳥籠に入れられました。
無理に出ようとすると棘で怪我をしてしまいます。
バケネズミが1匹だけ見張りで残された後、
早季と覚はストレス解消のためにセックスを始めます。
これは誤植ではありません。本当にセックスをやろうとしました。
が、見張りのバケネズミに見られているのを早季が気にしていると、
覚は偽卵を見張りに渡しました。
見張りはその偽卵を呑み込み、死んでしまいます。
2人は見張りの死体の槍を奪い、それで少しだけノイバラを切断し、
その隙間から逃げ出しました。
そして、敵対する『土蜘蛛』コロニーの兵士ではなく、
人間に忠実な『塩屋虻(しおやあぶ)』コロニーの兵士と遭遇しました。
『塩屋虻』コロニーの前線に案内された早季と覚は、スクィーラという、
日本語を理解するバケネズミと出会いました。
実はこのとき既に、『塩屋虻』と『土蜘蛛』は戦闘状態にありました。
ここからスクィーラの、バケネズミの戦争の歴史に関する解説があります。
その後、早季たちは、蟻の巣のような『塩屋虻』のコロニーの
女王のところへ案内され、挨拶をします。
このとき、スクィーラがうっかり、
巨大な芋虫のような醜い女王の姿を松明で照らしてしまったため、
スクィーラは女王に殺されそうになりますが、
早季がそれを止めました。
スクィーラは、バケネズミ同士の戦闘は籠城のような戦法で行われるため、
決着に時間がかかるというようなことを言っていたのですが、
実際には『土蜘蛛』は外来種であるため、
そのような戦法はとっていませんでした。
少し寝てからそのことに気付いた早季と覚は、
照明代わりの光る幼虫を槍の先端に括り付け、逃げ出します。
ところが、早季たちが寝ていた間にバケネズミがさらに穴を掘っていたため、
道に迷ってしまいました。
とうとう早季は気が変になり、幻聴を聞き始めます。
さらに、『土蜘蛛』が毒ガスの煙をコロニーの中に放ちました。
煙は空気よりも重いため、早季たちは道を上り始めました。
やがて、また道が下りになったため、そこでしばらく待つことにします。
とうとうガスがその地点まで到達したため、覚は天井を槍で突き崩し、
道を塞ぐことでガスがやってこないようにしました。
そして早季は、自分の真言は思い出すことができませんが、
覚の真言なら思い出せるということに気付き、覚に催眠術をかけて、
真言を取り戻させました。
再び呪力を使えるようになった覚は竜巻を発生させ、空気を入れ替えます。
その竜巻でできた穴から2人は脱出しました。
そのままさっさと逃げ出せばいいものを、
覚は『土蜘蛛』を全滅させると言い張ります。
呪力を使えるようになった覚は頼もしく、
あっさりと『土蜘蛛』の小隊をやっつけてしまいます。
スクィーラと合流し、本格的に『土蜘蛛』と戦うことになりましたが、
道には大量の伏兵が潜んでおり、
『土蜘蛛』のコロニーに辿り着くだけでも一苦労でした。
最初は好調だった覚もどんどん疲れていきます。
ようやくコロニーに辿り着いたものの、敵は3000匹はおり、
一方、覚にはもうあまり呪力を使う余裕はありません。
スクィーラたちはさっさと逃げ出してしまいます。
早季が機転を利かし、全然違う場所を護るかのように呪力を使わせ、
自分たちが隠れている位置を『土蜘蛛』に誤認させました。
そして、少数の敵に捕らえられているスクィーラを発見し、
早季はあっさりとスクィーラを見捨てようとするのですが、
スクィーラが敵に早季たちの位置を知らせたため、
スクィーラを助けざるを得ませんでした。
このあたりは狐と狸の化かし合いという感じです。
スクィーラは、早季や覚がもう呪力を使えないのではないか、
と気付きますが、そのとき、別のコロニーがやってきました。
奇狼丸が率いる『大雀蜂』コロニーの部隊です。
『大雀蜂』は強く、あっさりと『土蜘蛛』をやっつけてしまいました。
『大雀蜂』は、奴隷にするために『土蜘蛛』の幼獣を奪い、
『塩屋虻』にも1割を分けてあげました。
その後、『土蜘蛛』の総大将が降伏すると見せかけて、
風船犬を爆発させました。
奇狼丸や早季たちはピンチでしたが、何とか覚の呪力が間に合いました。
変異個体の女王を発見した後、
早季たちは『大雀蜂』コロニーの野営地に案内されました。
しばらく眠り、粗末な食事をとった早季と覚でしたが、
ミノシロモドキと会い、知ってはいけないことを知ったのがバレたら、
麗子や学のように、倫理委員会に処分される可能性があると気付きます。
それを免れるためには、まだ呪力が使えるふりをしなければなりませんが、
既に奇狼丸が伝書鳩で町に知らせているはずなので、時間がありません。
早季と覚は再び逃げ出します。
途中、スクィーラと会い疑われますが、何とか誤魔化して野営地を出ます。
ところが、実はスクィーラはこっそりと後をつけていました。
こうなったら仕方がないと、
カヌーを停めてある霞ケ浦までスクィーラに案内させることにしました。
そして霞ケ浦の少し手前で、早季と覚はようやく、
瞬と真理亜と守の3人と再会することができました。
カヌーを見つけ、スクィーラに別れを告げて川を下っていきます。
その際、早季は自分のお守り袋の中の『無垢の面』が歪んでいることに気付き、
それを川に捨ててしまいました。
その後、早季たちは奇狼丸に追いつかれてしまいました。
しかし、覚が風船犬から奇狼丸の命を救っていたおかげか、
奇狼丸たちの船に乗せてもらうことができました。
そのとき、早季はお守り袋の中の『無垢の面』について覚に相談し、
覚もお守り袋ごと川に捨てました。
スクィーラや奇狼丸と別れた後、
早季と真理亜は緊張が緩んだせいか大泣きしてしまいました。
その夜、真言さえ思い出すことができれば早季の催眠術で呪力を取り戻せる、
という話を聞いた瞬は、語呂合わせで思い出した真言を早季に教えます。
早季と真理亜と守も、家に帰れば、
書き留めてある真言を見て思い出すことができます。
早季の稚拙な催眠術で何とか瞬が真言を思い出したところで、
「Ⅱ夏闇」は終わります。
そして、この記事は「『新世界より』のネタバレ解説・中編」に続きます。