復興予算:使途調査へ…衆院委 「被災地外」に批判
毎日新聞 2012年10月04日 02時30分(最終更新 10月04日 09時47分)
東日本大震災の復興予算が、被災地以外で震災対策などとして支出されている問題で、衆院決算行政監視委員会(新藤義孝委員長)の理事らは3日、財務省などから説明を受けた。同委は「うやむやにできる問題ではない」として、来週にも行政監視小委員会で閉会中審査を行う検討に入った。復興予算の主な財源には復興増税が充てられており、平野達男復興相も調査に入っている。
この日の説明は、同委理事を対象に非公開で行われた。出席者によると、やり玉に挙がったのは▽反捕鯨団体「シー・シェパード」の妨害活動に対する安全対策強化の「鯨類捕獲調査安定化推進対策」(農水省)▽沖縄国道整備事業(国土交通省)−−など8事業。
鯨類捕獲調査安定化推進対策では、農水省は「捕鯨基地がある宮城県石巻市の復興のためにも必要」などと説明。国交省は沖縄国道整備事業について、復興予算に含まれる「全国防災事業」を適用しており問題ないと主張した。
これに対し、委員からは「国民感情とずれがある。閉会中でも審議を行うことが国会の責務だ」との声が出た。別の委員は「あの手この手で紛れ込ませようとしたのではないか」と指摘した。
国内立地推進事業費補助金(経済産業省)は、被災地でない岐阜県のコンタクトレンズ工場を支援したと批判を受けた。経産省は「工場が福島県や茨城県から原料を調達していることを重視した」と説明した。
毎日新聞の取材では8事業以外でも、文部科学省が「日本原子力研究開発機構」の核融合研究開発費として42億円を計上していた。青森、茨城両県に核融合に関する研究開発拠点を建設するためだが、同省は「復興基本方針で、被災地域の産業の知見を活用し、技術革新の拠点機能を形成すると定めている」と説明、問題はないとしている。
被災地以外で復興予算が使われるのは、政府が昨年7月に策定した復興基本方針で、全国各地の防災対策費の計上が認められたため。震災後、地方から被災地以外の防災対策も強化するよう要望が寄せられ、「5年で19兆円」と見積もった復興費のうち、1兆円程度を被災地以外でも使う方針が決まった。財源には、全国の自治体が集める住民税の増税分などがあてられる。
また、復興基本方針では、震災の影響を受けた製造業の海外移転などを防ぐための事業に復興予算を使うことも盛り込まれた。