ソフトバンク社長・孫正義のルーツを探る

【新刊】佐野真一著、チャン・ウンジュ訳『孫正義』(ラックスメディア)

■生まれながらの事業家気質

 事業家気質は、親譲りのものだった。小学校時代、父親が喫茶店を開いたときには「無料のコーヒーで客を集めれば、ほかのメニューも一緒に売れる」と言った。カリフォルニア大学バークレー校(UCB)経済学部時代には「音声機能付き電子翻訳機」を開発し、1億円を稼いだ。また孫社長は、東日本巨大地震を機に「反原発」を掲げ、自然再生エネルギーの旗手となった。

 このような孫社長を見て、著者は「われわれ(日本人)は、なぜ孫正義氏から目を離すことができないのか」と自問した。そして「日本人にはほとんど成し遂げられない物語を、孫氏の軌跡を通して見ることができるからだ」と自答した。

 著者の視線は、あたかも『レ・ミゼラブル』で主人公ジャン・バルジャンの跡を探っていくジャベール警部のようだ。韓国人の立場からすると、孫社長を語るに当たり、話者の視点、すなわち「成功した在日韓国人に対する日本人の視線」が気になる。「高齢化社会へ突き進むわれわれ日本人は、どのような状況でも逆境を克服して底辺からはい上がろうとし、そして実際にそれを実現した孫正義の旺盛なエネルギーに、結局のところ嫉妬している」と書かれている部分すら、自分たち韓国人への嫉妬のようにも聞こえる。

 著者は「スティーブ・ジョブス」の評伝に準じて執筆したとしているが、本書は「孫正義評伝」の完結版とは見なし難い。とはいえ、いつかきちんとした「孫正義評伝」が書かれる日、評伝の著者が参考にすべき「前史」を記した本であることは間違いないだろう。464ページ、1万5000ウォン(約1000円)。

全炳根(チョン・ビョングン)記者
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