鹿島 2 - 1 鳥取 (19:00/カシマ/2,606人)
得点者:40' 増田誓志(鹿島)、75' 美尾敦(鳥取)、110' 興梠慎三(鹿島)
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30分間の延長戦が終わると、久保裕一はピッチを叩いて悔しがり、住田貴彦は大の字になって動けなかった。「選手は一生懸命やったと思います」と、鳥取の吉澤英生監督も賛辞を贈る。中二日でアウェイ2連戦を戦う過密日程だったが、選手たちは120分の間、持てる力を出し切った。
「試合を見た人にはわかると思うけど主導権を握られた。攻められるシーンがたくさんあった」
鹿島の興梠慎三がそうふり返るとおり、試合は決して鹿島のものではなかった。鳥取とすれば意外な気持ちだったことだろう。ボールを持てるのは自分たちの方であり、思った以上にやりたいことができる。時間とともに自信を深め、小気味よいパスまわしが見られるようになっていった。
しかし、鹿島が1回の決定機を活かす。40分、この日右SBに入った土居聖真から中央にいた本山雅志にパスが入ると、折り返しをもらうために土居が縦に走る。パスが少し前過ぎて土居は触れなかったが、土居の外側からペナルティエリアに侵入していた興梠にピタリ。完全に右サイドを崩すと、中央に折り返したところを増田誓志が落ち着いて決め、鹿島が待望の先制点をあげる。
後半、鹿島は週末のヤマザキナビスコカップで先発することが予想される本田拓也を下げて梅鉢貴秀を投入。さらに67分に遠藤康に代えてドゥトラを入れてゲームを終わらせようと試みた。しかし、ここからアクシデントが鹿島を襲う。71分、土居が足を攣らせてしまい、ジョルジーニョ監督は西大伍との交代を決断。すると直後のプレーで森英次郎が左ポスト直撃のミドルシュートを放つ。バイタルエリアにプレッシャーがかからなくなったところを突く、見事なシュートだった。しかし、ポストに弾かれ頭を抱える森。これは前触れでしかなかった。75分、鳥取の右SB尾崎瑛一郎が縦への突破を成功させると、そのバイタルエリアにぽっかりとスペースが空く。そこへ走り込んだ美尾敦がダイレクトでミドルを放つと、強烈なシュートが鹿島ゴールに突き刺さり、鳥取が同点に追い付いたのだった。
土曜日にナビスコカップを控えている鹿島は、延長戦だけは避けたいところだったが、中二日の鳥栖の方が運動量が多く、思うような試合に持ち込めない。逆に、後半アディショナルタイムには鳥栖に攻め込まれ、久保のシュートの跳ね返りが佐藤昭大の頭に当たり、なんとか延長戦に持ち込むという展開になった。
すでに交代枠を使い切り、さらには鈴木隆雅、増田が足を攣らせた鹿島は、延長戦を戦うことさえ至難の業。西・昌子・青木・梅鉢のバックラインの前に、小笠原・本山をボランチで並べ、2列目を増田・ドゥトラ・興梠、1トップに鈴木というスクランブル体制を敷くが、延長前半も鳥栖のペース。美尾の大きな展開からシュートまで持ち込まれただけでなく、その美尾に再度バイタルエリアからミドルシュートを放たれ、佐藤が間一髪で弾き出す場面をつくられた。
しかし110分に、先制点と同じように右サイドをパス交換で崩すと、増田の折り返しに興梠が飛び込み、満身創痍の鹿島がなんとか勝ち越し点を決める。試合終了間際、CKを得た鳥栖はGKの小針清允も参加する全員攻撃を見せ、久保がフリーでヘディングシュートを放つも、ボールは無情にもバーを超え、番狂わせを起こすことはできなかった。
「コンディションが厳しく難しい中で、アントラーズさんとやらせていただくことを非常にモチベーション高くやれたと思います」
試合後、敗れたとはいえ吉澤監督の表情には清々しさが溢れていた。決定的なチャンスはたったの2度。それをいずれも決められてしまったことは課題を残したが、J2残留に向けた厳しい戦いが続くなか、この試合が出来たことは自信になるだろう。
以上
2012.10.11 Reported by 田中滋