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日本はもう大国ではない、今度は中韓が大国の苦しみを背負う番だ

宮島理

2012年10月10日 16:00

 日韓通貨スワップが縮小されることが決まった。日本は国際金融秩序に責任を負うが、もはや二国間で支援を行うほどの大国ではない。そろそろ中韓こそ、大国としての苦しみを背負うべきだろう。

 李明博大統領の行動がきっかけだったとは言え、日韓通貨スワップの縮小は当たり前の決定だったと言える。できればこのまま通貨スワップそのものをなくしてしまった方がいい。

 ところが、韓国のマスメディアは「日本は経済大国にあるまじき態度」Link と、非難しているという。相変わらずの甘えた態度だ。

 アジア通貨危機でも、日本は韓国に対して二国間の金融支援を行ってきた。しかし、韓国側でそれを評価する声は少ない。それどころか、日本は韓国を全面的に支援して、IMFの介入を防ぐべきだったと言わんばかりの主張Link がなされている。

 韓国からしてみれば、「カネは出すがクチは出さない」という日本が全面的に支援してくれれば、確かに都合が良い。しかも、後から日本の支援は忘れて、「わが国は自力で復活した」と韓国が自賛したとしても、日本という大国は大目に見てくれる。

 ただ、そんな都合の良い大国は、もう存在しないのである。今や日本は東アジアにおいて、その他大勢の国の1つに過ぎない。もちろん、日本は今後も国際金融秩序に責任を負うが、それは二国間ではなく、IMFなどの国際機関を通じて行うのがスジだろう。

 たとえ日韓通貨スワップがなくなっても、日本はこれまで通りIMFを積極的に支援し続ける。もし韓国が再び金融危機に陥れば、その時はまたIMFの厄介になればいいのである。「日本は経済大国にあるまじき態度」などと非難される覚えはない。日本は周辺国はもちろんのこと、全世界の金融秩序に対して責任を果たしているのだから。

 韓国だけでなく中国もそうだが、彼らは都合の良い時だけ自分たちを小国、途上国と規定し、大国である日本に甘えてきた。大国というと、何でも思い通りにできる傍若無人な国家と思われがちだが、実際にはそうではない。大国は周辺国に対して責任を負うので、極力、自分たちの言い分を抑え、小国のワガママを聞き入れたり、ユスリ・タカリにも似た要求にも応じなければならない。

 日本の外交が「弱腰」とされてきたのも、憲法上の制約があったこと以上に、周辺国との国力の差がありすぎたという点が大きい。小国は責任がないので、自分たちの言い分だけを主張する。しかし、責任を負う大国は、小国の言い分をいちいち聞いて、秩序を維持していかなければならない。日本は大国として「弱腰」戦略を採ってきたのである。

 しかし、今や韓国は先進国となり、中国も急成長を遂げた。秩序維持に関する責任を、公平に分担する時が来ている。中韓は、「何だかんだ言っても最後は日本が折れてくれるだろう」という甘えを捨てなければならない。一方、日本は「わが国は大国なのだから譲らなければならない」という分不相応な意識を捨てる必要が出てきている。

 日本と中韓が責任を公平に分担する世界では、それぞれの国が自分たちの主張をして、国際機関あるいは多国間で調整していくことが当たり前となっていくだろう。もちろん、アメリカという超大国が依然として存在するので、日本としてはアメリカとの関係を最大限に利用するべきである。アメリカは今後ますます、東アジアの小国たちに翻弄されるだろうから、ご苦労なことだと思う。

 やがては、さらに力関係が逆転して、中韓に対して日本がワガママを言ったり、ユスリ・タカリをする場面も出てくるかもしれない。その時ようやく、中韓は大国の「しんどさ」を痛感するはずだ。もっとも、日韓通貨スワップ縮小に対する韓国側の反応や、IMF世銀総会で中央銀行総裁を欠席させる中国を見ていると、彼らがその「しんどさ」を引き受けることは当分なさそうだが。

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