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集団移住拠点、仮の名は 双葉・浪江・大熊・富岡 四町四様
福島第1原発事故で全町避難の続く福島県双葉、富岡、浪江、大熊4町の町長が、住民が集団移住する生活拠点の呼び名に独自性を出している。「仮の町」「町外コミュニティー」「サテライト」とさまざま。呼称には各町長の思い描く移住後の町の将来像が反映されている。
「仮の町」は井戸川克隆双葉町長が名付けた。避難区域の再編で町が5年以上帰れない帰還困難区域に指定される見通しになり、昨年12月、政府との会合で「現実的な対応として仮の町を求める」と発言した。 初のネーミングでメディアに頻繁に取り上げられ、集団移住拠点の代名詞になった。 仮の町は町民が町に帰還するまでほかの市町村に「仮住まい」するイメージ。井戸川町長は「町民が1カ所にまとまって一定期間暮らす拠点」を想定している。 「町外コミュニティー」と呼ぶのは馬場有浪江町長と渡辺利綱大熊町長だ。馬場町長は「町外に町民の集合体がある概念」と説明する。住宅のほか、行政、商業、教育、医療機関を整備する。初めは「リトル浪江」と呼んだ。「別の自治体の中に浪江町をつくる構想だったが、二重行政の問題があって実現できなくなり、実情に合わなくなった」として変えた。 渡辺町長は「県が町外コミュニティーと言っているので合わせた」と話す。高齢者に分かりにくいとの声があり、「町外拠点」と併用している。 仮の町という呼び名については、馬場、渡辺両町長とも否定的だ。 「町の主体性がなくなる」(馬場町長)、「落ち着いて生活できない印象がある」(渡辺町長)という。有力受け入れ先のいわき市が「仮の町は避難者が将来地元に戻ったら廃虚が残る負のイメージがある」と抵抗感を示していることへの配慮も働いているようだ。 「サテライト」は遠藤勝也富岡町長が命名した。生活拠点はいわき市のほか、郡山市に置く考えで、「本体はあくまで富岡町で町外拠点は『衛星』として位置付ける」と由来を語る。
2012年10月11日木曜日
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