減税日本:河村市長苦境 政党化遅れ 維新と連携不調
毎日新聞 2012年10月11日 01時30分(最終更新 10月11日 01時43分)
河村たかし名古屋市長が代表を務める地域政党「減税日本」の勢いにブレーキがかかっている。次の衆院選をにらんだ国政政党化は、目標にしていた10日の発表も見送られ、当初予定から1カ月以上たっても実現していない。橋下徹・大阪市長率いる新党「日本維新の会」には連携を否定され、減税日本内部からは「戦略の練り直しが必要」との声が出始めている。
「政党化のめどは(今月上旬で)変えていないが、いろいろ話をさせてもらっていて……。ギブ・ミー・ア・モーメント(時間をください)」。河村市長は9日の記者会見で政党化の難航を認め、厳しい表情を浮かべた。
政党化には国会議員5人以上が必要。減税日本は当初、9月7日に政党化する予定だったが、現時点でも国会議員は3人にとどまっている。全国的に見ると知名度が低いことに加え、第三極では日本維新にのみ注目が集まり「あと2人」で足踏みしている。
第三極の連携も成果が出ていない。橋下市長は「(維新との連携には)政策の一致が必要」と主張するが、河村市長は維新が賛成する国民総背番号制に反対するなど持論を譲らない。関係者によると、河村市長と橋下市長は9月に電話で複数回協議したが話がまとまらず、橋下市長は「減税日本(との連携)はない」と述べるに至った。
一方で橋下市長は今月4日、政策がほぼ一致するみんなの党と連携する方針を表明。同党の渡辺喜美代表は「(維新とは)候補を推薦し合うとか党対党の関係で話をする」と応じた。現段階では、減税日本は外された格好だ。
また本拠地の名古屋市では、車を運転中に当て逃げ事故を起こしたとして書類送検された河合優市議(減税日本を除籍)の問題も尾を引いている。河合市議は議員辞職勧告決議を可決されても辞職せず、減税日本に対する他会派の攻撃材料になっている。
減税日本関係者は「支持率を上げるには第三極との連携が不可欠。『今のままでも何とかなる』という楽観論は捨て、連携を目指して積極的に動く必要がある」と指摘する。
減税日本は衆院選で候補者100人の擁立を目指し、今月1日に公募を開始。10日までに51人の応募があった。今後、候補者調整について、維新やみんなの党に協議を申し入れる考えだ。【三木幸治、高木香奈】