てんかんのある人の運転適性について |
てんかんのある人の運転適性について
日本てんかん学会理事長 兼子 直 法的問題検討委員会委員長 松浦雅人
報道によりますと、加害者(運転手)はてんかんの治療を受けており、発作があったかどうかも含めて詳しい状況は捜査中とのことです。これまでにも、てんかんのある人が関係した悲惨な交通死傷事故が報道されましたが、いずれも適切な手続きを経ずに免許を取得した人による事故との報道でした。 てんかんの病態は多様であることから、てんかんのある人の運転適性につきましては個々に判断されるべきであり、2002年の道路交通法改正により一定の条件を満たせば運転免許証が許可されることになりました。その条件とは以下のとおりです。 1.発作が過去5年以内に起こったことがなく、医師が「今後発作が起こるおそれがない」旨の診断を行った場合 2.発作が過去2年以内に起こったことがなく、医師が「今後、X年程度であれば発作が起こるおそれがない」旨の診断を行った場合 3.医師が1年の経過観察の後「発作が意識障害及び運動障害を伴わない単純部分発作に限られ、今後症状の悪化のおそれがない」旨の診断を行った場合 4.医師が2年間の経過観察の後「発作が睡眠中に限って起こり、今後、症状の悪化がない」旨の診断を行った場合 てんかんのある人、ご家族や周囲の人々におかれましては、上記の免許取得・更新条件を厳格に遵守する必要があります。 日本てんかん学会は、医師を対象とした最新のてんかん診断と治療の講演などを行い、てんかんに関する正しい知識を広めていきます。また、一般の人々を対象にしたてんかんの啓発活動をさらに強化し、てんかんのある方が法律に基づいて運転免許を取得・更新して、公共交通の安全向上に寄与すべく活動いたします。 |