日中の政治的対立が経済交流に飛び火、危うさ残る日韓関係
[東京 10日 ロイター] 領土問題をめぐる日中関係の悪化が経済交流にも飛び火し、深刻な事態に発展してきた。中国は9日から東京で開催されている国際通貨基金(IMF)・世銀総会に閣僚級の参加を見合わせることが明らかになった。
中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁と謝旭人財政相がそろって欠席し、それぞれ、人民銀の易綱副総裁と財務省の朱光輝次官が代理出席する。日本政府の尖閣諸島(中国名:釣魚島)の国有化への対抗措置とみられ、衝撃を与えている。
島根県・竹島(韓国名:独島)の領有権問題で関係が悪化した韓国との間では、11日に日韓財務相会談が開かれる予定で、対話のルートはかろうじて確保された。ただ、10月末で期限を迎える日韓通貨スワップ協定の増額分の延長は見送られ、将来の金融危機に備えた安全網には不安を残している。
<政府内に戸惑い、日中金融協力は維持の方向>
中国の閣僚級欠席の報に、財務省幹部は「残念だ」と戸惑いを隠さない。先週末までの段階で、政府高官は中国・韓国代表の出席を確認しており、その後、日中間で領土問題をめぐる新たな展開もなくキャンセルされることはないと確信していたからだ。一転して、閣僚級の会議欠席が伝わり、関係悪化打開のための糸口を模索するどころか、「日中関係の悪化」だけが浮き彫りになった。
先の財務省幹部は中国の閣僚級代表の欠席でも「日中間の経済交流は重要で、大局的観点から中国と意思疎通をはかっていきたい」とし、日本による中国国債購入など日中両国で合意している金融協力について「日本にとっても地域にとっても重要であり重視する」と維持する考えを強調した。ただ、関係改善の展望は開けない。
<日韓の対話は確保、安全網に不安も>
一方、日韓両国は9日、1年間の時限措置として拡充した通貨スワップ協定の増額分を10月末で打ち切ると発表した。両国はスワップ協定の枠を拡充した昨年10月に比べて欧州債務危機に対する安全網が整い、韓国ウォン安に落ち着きがみられたことが打ち切りの背景だと説明。城島光力財務相は「純粋に経済・金融面に基づく措置だ」と繰り返した。日韓関係の悪化を印象づけることを回避するために、11日の日韓財務相会談前に合意内容を発表する演出もした。
日韓両国は9日の合意文書で「日韓および世界経済の状況を今後注意深くモニターし、必要が生じた場合には適切に協力することで合意した」と明記したが、危機が再燃した場合に、スワップ協定の枠を復活させるなど、具体策についての取り決めはない。肝心の金融危機に備えた対応という面では、不安が残る結果となっている。
(ロイターニュース 吉川 裕子)
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