米議会で中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)への警戒が強まっている。下院の委員会は報告書で、同社などの製品を使用すると中国のスパイ行為にさらされる恐れがあると指摘した。同社による米国事業の拡大はこれまでにも頓挫してきたが、今後さらに難しくなるのは必至の情勢だ。
米下院情報特別委員会は8日、中国政府が米国の通信ネットワークに悪意のあるハードウエアやソフトウエアを組み込む恐れがあるとして、華為と中国同業の中興通訊(ZTE)の製品を使わないよう米企業に求める報告書を公表した。報告書はまた華為について、1年に及ぶ調査の結果、贈賄や汚職など違法行為の疑いが浮上したと明らかにした。これらの調査は米連邦捜査局(FBI)をはじめ政府機関に委ねるとしている。
米国土安全保障省の高官だったスチュアート・ベーカー氏は、今回の報告書で華為などが「深刻な脅威になり得るとの考え方が定着する」と指摘。「これらの企業は当面、ほかの多国籍企業より厳しい扱いを受けることになるだろう」と述べた。
米防諜当局者らは昨年の報告書で、中国は経済スパイ活動の最大の実行者だと分析。また同年11月、下院情報特別委のロジャース委員長(共和党)らは、中国による米国のシステムへの侵入や知的所有権の盗難をめぐる懸念があることから、華為とZTEの調査に乗り出したことを明らかにしていた。