クラスター爆弾:日本、廃棄3年半前倒し 独仏に先駆け
毎日新聞 2012年10月09日 02時30分(最終更新 10月09日 02時58分)
【ブリュッセル斎藤義彦】日本政府が保有するクラスター爆弾を期限より3年半早く、独仏に先駆け、15年初めに前倒し廃棄することがわかった。来年からノルウェーとドイツに保有弾を移して破壊処理する。クラスター爆弾禁止条約の批准国で8年以内の廃棄義務を負う国は19あり、技術や資金面で廃棄作業が滞る国もある。日本の前倒し方針は、完全廃棄に向けた国際世論を加速しそうだ。
日本政府の国連への報告や、非政府組織・クラスター爆弾連合の分析からわかった。
防衛・外務両省などによると、日本のクラスター爆弾は4種類で子爆弾にして約202万発ある。ごく一部は昨年、北海道で処理したが、大部分の廃棄はノルウェーの会社と契約。来年5月ごろからノルウェーとドイツの廃棄処理場に運び、順次処理、15年2月までに完了する。委託を受けたナモ・デミリ・デビジョン社は「日本の爆弾の廃棄を優先して行う」としており、15年初め以前に廃棄が終わる可能性が高い。
クラスター爆弾禁止条約は原則として批准から8年以内の廃棄を定める。日本の期限は18年8月で3年半以上前倒しする。
13年に完了する英、14年のイタリアには後れを取るが、15年末に完了する独や廃棄期限を示していない仏に先駆けた廃棄となる。
クラスター爆弾連合によると、オーストリアなど13カ国が既に廃棄を完了。日本を含めた19カ国が廃棄に取り組む。ギニアビサウなどアフリカ諸国やクロアチアは資金や技術面で困難を抱えており18〜20年までの廃棄期限を守れるよう国際協力も始まっている。
署名国ではカナダなど6カ国が保有し、批准後に廃棄義務を負う。さらに、条約非加盟国では米露中はじめ48カ国がクラスター爆弾を保有しており、日本の積極姿勢はこうした国への外交的アピールになりそうだ。