ストイコビッチ監督(右から2人目)が見守るなか、攻撃を組み立てる田口(左)と闘莉王(中)=トヨタスポーツセンターで
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名古屋グランパスのドラガン・ストイコビッチ監督(47)が9日、J2岡山と対戦する天皇杯3回戦(10日、富山県総合運動公園競技場)で、新システムに挑戦することを明かした。この日の前日調整で攻撃時に4バックに可変する3−4−3を練習。前広島、現浦和で指揮を執るペトロビッチ監督が得意とする高度な戦術で、岡山戦で機能すれば、リーグ戦でも導入する方針を明かした。
勝利を義務づけられた岡山戦に、もうひとつの課題が付け加えられた。前日調整で11対11の戦術練習を行ったストイコビッチ監督は、主力組で3−4−3を試行。ポリシー通り何も隠さず、岡山戦で新システムをテストすることを明かした。
「1つのバリエーション、アイデアだ。ここ3試合勝ち切れてないなかで、何かをやらないと。明日はわれわれの新しいスタイルに挑戦する特にいい機会だと思う。いいプレーをして、いい結果を出したい。もちろん機能すれば、今後も変える理由はない」
3−4−3は今季何度か試合で使用したシステム。ただあくまでも基本は4バックで、ほとんどが後半の守備固めなど試合状況に対応したものだった。しかし、今回は違う。「3バックにしたが、守備を重視するわけではない。攻撃的なシステムだと思っている」と指揮官が語る通り、極めて特徴的かつ高難度な“可変システム”なのだ。
基本の3バックは、相手の遅攻時には両サイドMFがDFラインまで下がって5バックとなる。逆に攻撃を組み立てる際には、3バックが横に広がり、ダニルソンか田口が下がって4バックに。そして中央の2人を起点に攻撃を組み立て、サイドは高い位置で数的有利をつくる。つまり状況に合わせて3、4、5バックを使い分けることになる。高度な戦術理解を要するだけに、ピクシーは「すべては選手のインテリジェンスにかかっている」と期待した。
実はこの戦術は、同じセルビア出身の知将・ペトロビッチ監督の代名詞となっているものだ。今季、この戦術を使う首位広島、3位浦和とは3戦して1分け2敗。煮え湯を飲まされたが、そこに逆襲へのヒントを見つけたようだ。「システムは重要だが、決定的ではない。天皇杯も重要な大会で、われわれは優勝という目標にたどり着きたい」とピクシー監督。片道約4時間の富山遠征で、勝利と進化の二兎(にと)を追う。 (宮崎厚志)
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