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微生物の内容
3-X「病原菌の流行」
 オキシの胸ポケットからちらりとのぞくのは、星の実(アストロのみ)である。この地方で採れるとても甘くおいしい木の実だ。
 切り口が六角形になる。断面は二重の六角形模様が浮き出てる。それが、星の形なのだそうで。
 維管束?
 時々、好みを食む姿を見かけることから、最近のお気に入りなのだろう。


僕は脊椎動物に興味はないんだ。

邪魔をするな、哺乳類。(時々、そこが爬虫類になったりする)

寝相が悪い。
手癖足癖が悪い。すぐ叩く、蹴る。かよわく力が無いのでまったく痛くは無いのだが。

オキシは最近文字の練習をしているようだ。
「読んでみて」
 オキシは聞き取りは神にもらった能力で完璧なので、キセノンに読んでもらうことで細かなニュアンスが合っているか確かめるのだ。あと、誤字も。

「文字は下手ではないんだが、なかなか独特な言い回し>>>>>誤字も多い」

>>>>>>>>いらない?
「……そういえば、他次元は見ることができると言っていましたよね。あの研究室で……ぼくはどんな扱いになっていますか? 神隠しって事は、突然消えたってことになっていますよね」
「見てやろう>>>>>

生態防御 三重の防衛線。抗体。免疫学的記憶。
血清について。ファーブル4 p218

「この世界にもあるんだ。鳥インフルエンザ的なものが」

「多分このウィルスなんだろうな。でも、知ったかからといって僕が何かできるわけじゃないしな。うがい手洗い、早寝早起き、規則正しい生活を、くらいしか。ワクチン作ろうにも、作る施設がないし、動物実験とか、治験とかよくわからないのも<<<<<<それに何よりも、ワクチンを作った?かの有名な<<<<<の嘘か本当かわからないエピソードとかを考えると……説明したとしても、得体の知れないものだ物な」
(でも、僕はこれらの発する毒素で死ぬことはない。安心して研究ができる。不謹慎ではあるけれど

はやり病発生(一時の弱いインフルエンザのようなもの)
原因菌はすぐに見つかる。くしゃみ後の空気中にたくさんいた。
生態とか観察
原因菌見つける
「殺した菌を体内に入れるのが一番簡単なワクチンだがリスクも大きい。わからないことだらけだし」
 天然痘の人だっけ、あの人は牛の何だかを使って<<<<<<<人々を牛にする黒魔術みたいなことを言われていたというのもあるからな……
 それに、正義感あふれる善人医師でもないし。それをしたことによって安息な研究の邪魔をされたくない。

「何でお前はぴんぴんしているんだ」
「さぁあな。基本、緑の砂漠にいるし、人とも動物とも接触してないからじゃないか? こういうのは、動物から人へ、そして人から人へうつっていくものだからな」
「悪魔が乗り移って苦しめていくのか」
「ん~、まぁ、そんな感じかな~」
 すごく小さな生物が見えない者に、説明するのはまだ無理があるだろう。どちらにしろ、悪魔のようなやつなのだし。

「僕の国では、ここ周辺の家畜の鳥を全部焼却<<<<<」

「全部か?」
「そう、全部。その周辺の<<<<<<

「……ぶっそうだな」
「かわいそうだけれどね」

<<<<<<<
 何か急に早口になりやがった。こいつのスイッチを押してしまったのか? こんなに興味を持ってくることなんてなかったのに。わけのわからんやつだ。
>>>>>>

「僕の国にはその悪魔の病気にかかりにくくなる薬っているのを研究している施設があって<<<<<<<

「知識はあるから作れないことはないけれど……仮にこの国にある材料で今すぐにその薬を作れたとしても、本当に効くのかどうかとか、副作用が少ないかどうかとか調べなくちゃいけないから、実際に一般の人の元に届くのは何年も先なんだ。僕には知識はあっても専門ではないし、経験や技術、人脈は皆無だから、実現はむずかしいかな」
「副作用?」
「薬って間違うと毒にもなるだろう? その薬を体内に入れたことによって、気分が悪くなったり最悪死んでしまうこともあるんだ。その悪魔に対抗しようと思って飲んだら死んじう人が多く出たらそれこそ意味がない。だから、その悪い作用を減らしてより安全に飲めるものを<<<<<<<<薬の効果を検証するその辺の仕組みについてはあんまり詳しくないから、そこで何が行われているかは教えられないけれどね」
(動物実験ならまだしも、人体実験をやっていた時代もあるからね……それこそ悪魔の所業だよ。その専門じゃないし、できるとしても殺した菌をワクチン代わりに使うことくらいだ。大腸菌に遺伝子を組み込むこともできなくはないけれど、ここでは機材も遺伝子についての情報も足りないから無理だな)
「>>>>悪魔に対抗するだけに、その薬もなかなか危険なものということだな」
「そういう事もあるということだよ。ただ、いくら安全な薬だったとしても、副作用がまったくないわけじゃないところが難しいところなんだよね。出ちゃう人はどうしてもいるんだ」

培養する

ロゲンハイドに中にいるどんな小さな生命反応も外に出さないようにと、魔法の水で包んだ培養液。

>>>>>>>>>>そして気がつく。

「……ロゲンハイド。この液の中にいる生物だけを狙って、水分を奪うとか、過剰に与える事とかして……殺せる?」
 ここは魔法の世界。ここには地球のような科学はない。地球の方法にこだわっていたのでは何年たっても作れないだろう。地球上において大抵の微生物は、水分が無いと生きていけない。>>>>>>乾燥に強いやつもいるから、逆に細胞膜を破裂させらくらいの水分を与え<<<<<<
「この分野は、中途半端に知識があったおかげで、変に固執することもなく、そしてまったく分からないわけではないからある程度の応用は利く」
 幸い魔法という理がこの世界にはある。その理は科学の世界では成し得ない現象や法則も、現実化できる。
 魔法は信じる力。強ければ強いほど、その願いは実現する。
 魔法についての知識は、あまり分からないが、この病原菌だけを攻撃する魔法というのを開発すれば、科学におけるワクチンや薬に近いものが作れるかもしれない。薬剤の知識は皆無に等しいが、何とかなるだろう。
 今、ある程度の基本を作っておけば、時が来たとき、後世の魔術師たちが改良してくれるかもしれない。微生物に関しては本職だけれど、魔法についてはまだまだ専門外なのだ。

この僕の書いた本。
閲覧だけは誰でも可能にしておこう。文字も翻訳しておこう。
僕が死んだあと、誰かが見つけて<<<<<<<<
学術は極秘も必要だが共有も大切だ。

「歴史に名が残る……のかなぁ?」
 まぁ、とにかく、生きているうちには無理だろうな。死んだあと再発見とかそういう感じにならないと<<<<<<<<<<<<

「まぁ、おもしろそうだし、これを新しい研究課題にしよう」

 その理にあった薬を作れば良い。

 そのうち、免疫系の薬も作りたいな。毎回薬で殺していたんじゃなんか、かわいそうだし、あんまり薬に頼ると免疫が落ちそうだ。
 免疫でまかなえるものは賄うに越したことはないのだ。免疫は人類対微生物の進化(たたかい)の歴史、人類が免疫に頼ることをやめた時、免疫は退化し、対応しなくてはなくなる菌が増える。免疫がなくなれば、些細な微生物で死んでしまうかもしれないのだ。そのたびにその微生物を殺していたんじゃ、いつかは生物界の均衡が崩れてしまうし、人間も自然の世界に適応できない体質になって滅んでしまうだろう。
 今の段階でそれは想像でしかないが、まったくないとは言い切れない。問題点として、そんなことも、本に書き残しておこう。病気を引き起こす菌は悪だが、身を守るたまには必要だと。弱い病をもつ菌で体を慣らし菌に対しての耐性をつけないと、<<<<<<<<<<進化には欠かせないと。そして、何よりも愛しい愛しい微生物たちが<<<不当に殺されないように、絶滅しないように。
 やっぱりいいことだけの技術って存在しないんだろうな。免疫を高める魔法にしても、ベースの基礎値が低ければ、体内に満たせる最大値も相対的に低くなりそうだ。



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