クローズアップ2012:米大統領選・テレビ討論 ロムニー氏、反転足場
毎日新聞 2012年10月05日 東京朝刊
「私が大統領を継いだ時から1兆ドル以上の財政赤字と、巨大な経済危機があった」(オバマ氏)
両候補の直接対決は、経済政策運営をめぐって激しくぶつかった。08年のリーマン・ショック後の苦境からいまだに抜け出せない米経済をどう立て直し、雇用を増やすのか。オバマ氏が掲げる「中間所得層の底上げ」にはロムニー氏も同調したが、具体策では違いが鮮明になった。
まず注目されたのが、8%台で高止まりする失業率への対応だ。現職のオバマ氏にとっては最大のアキレスけんだけに、▽教育や職業訓練への重点投資▽再生可能エネルギーの拡大▽中小企業や国内投資をした企業への優遇税制−−を進める新たな方針を表明。富裕層向け増税などで財源を賄うと説明した。
これに対し、ロムニー氏は「『大きな政府』が主導する経済は正しい答えではない」と真っ向から反論。規制緩和による民間の自由な経済活動で成長を促し、新たに1200万人の雇用を創出するとアピールした。さらに「オバマ政権の過度な規制が経済を痛めつけている」と金融規制改革法をやり玉に挙げ、「富裕層だけでなく中間層にも減税する」と「金持ち優遇」批判への予防線を張った。