クローズアップ2012:米大統領選・テレビ討論 ロムニー氏、反転足場
毎日新聞 2012年10月05日 東京朝刊
オバマ氏は4年前、「中間層を強くする」と公約し、雇用重視の方針を強調した。しかし、オバマ氏就任直後の09年2月から失業率は43カ月連続で8%を上回り続け、1期目の雇用政策は成果を十分に出せていない。ロムニー氏はオバマ氏の弱点に切り込み、「オバマ氏再選なら中間層はさらに苦しめられる」とたたみかけた。
また、ロムニー氏は、中西部ミズーリ州の零細電子会社の経営者を引き合いに税負担の重さを説明するなど、身近な例を挙げて中間層の経済的苦境について語った。これまで好感度に関する世論調査で低迷し、「裕福すぎて庶民に浸透できない」などと批判されてきたことを意識し、「イメージチェンジ」を狙う作戦だった。
オバマ氏は「30カ月で500万人の雇用を創出した」と実績をアピールし、医療保険制度改革では知事時代のロムニー氏の改革を導入したと指摘し、撤廃を訴えるロムニー氏の矛盾を突こうとしたが、力強さはなかった。
米メディアの事前調査では「オバマ氏勝利」が圧倒していたが、討論後のCNNテレビの緊急世論調査では、67%が討論会の勝者をロムニー氏と回答。オバマ氏の25%を大きく上回る予想外の結果となった。