三度の飯よりも観察大好きな院生は、電子顕微鏡を覗き込んだ。ふと気がついた時、まるで何も乗せていない顕微鏡を覗き込んだ時のような白い空間にいた。 「えっあなたが神だって？　そうか、神は微生物だったのか！　道理で人類が気がつかないわけだ、こんなにも小さいのだからな」 「……壮大な勘違いをしておるな」 　どうやら元の世界には戻れないらしいので、その神が創ったという世界へ行くことにした。 　――魔法やら獣人やら魔物やらが存在するそんな世界にやってきたが、それは自分にはまったく興味ない事象であった。 　そんなことよりも、この美しいフォルムの微生物をみてごらんよ。この世界の微生物たちも、地球となんら変わりなく神秘的な造形をしている。水をかき回すように力強く振るわれる鞭毛、水に漂うことに適した無駄のない形。あぁ、こっちの微生物はなんと美しいもふもふの繊毛を持っているのだろう。これはまるで、ゾウリムs…… 「こんなところで何をしているんだ？」 「……あぁ、もう。観察の邪魔するな！！」 　町の人や精霊や魔物や連続殺人犯にしばしば邪魔されながらも、異世界での生活（観察）を満喫しようとする話。