「ネット自警団」って素晴らしい呼称ですね。
ネット自警団大活躍 ホームレスいじめ大学生が内定取り消し(NEWSポストセブン) – livedoor ニュース
正義の刃で小悪を裁く
記事の中では「ホームレスいじめの大学生の内定を取り消させる」「3000円を詐取した高校生の個人情報を晒す」といった事例が紹介されています。
「飲酒運転」でツイッターを検索して「ヲチ」を続ける人もいるといいますし、この手の自警活動は本当によく見られます。いじめの加害者の住所を暴露する、なんてのもネット自警団の仕事ですね。
彼らは「社会」という大きな主語に依拠し、小悪を裁きます。匿名のもと、絶対的な正義の刃を、100%の安心感をもって振りかざします。死刑執行人になったような快楽を味わっているのでしょう。実に趣味の悪い暇つぶしです。
彼らは調査能力の低さと、その盲目的な正義感と恍惚ゆえに、平気でデマを流します。ときに、名誉毀損容疑で書類送検されたりもします。僕も日々あることないこと書かれるので、マジで一度警察沙汰にしてみようと考えていたりします。
大津市立中2年の男子生徒が自殺した問題を巡り、無関係の人を「生徒をいじめた同級生の母親」とする誤った情報をインターネットの掲示板に書き込んだとして、滋賀県警が近く東京都内の男性会社員(30歳代)を名誉毀損容疑で書類送検することがわかった。
それはリンチにすぎない
正義感をもって悪を裁いているつもりでも、それはリンチ=私刑にすぎません。法制度が発達した国において、私刑は容認されないものでしょう。
私刑執行者が何らかの被害を受けた当事者で、加害者に対して強い恨みを感じているならまだしも、私刑に関わる理由が「暇だから」「ネットで見かけたから」「気に食わないから」なんてのはナンセンスの極みです。悪を裁くのは、公的な機関に任せるべきです。
ネットがいつまでも「残念」な理由は、正義感たっぷりに人々のあら探しをする「ネット自警団」が存在するからだと僕は考えます。僕のような毒耐性がある人間はさておき、多くの創作者は、少なくともネット上ではクローズドな空間にこもっていくでしょう。自分の人生を生きる人が増えてほしいものです。
関連本。正義をふるう「善人」の生態を執拗なまでに攻撃する一冊(ブックレビュー)。
「善人たちはすべて弱い。悪人たりうるほど強くないゆえに、彼らは善人なのである」と、ラトゥーカ族の酋長コモロはベーカーに言った(「権力への意志」)