「平成17年3月合宿」(第二版)
「販売戦略検討会」は年二回合宿を開催している。3月18日〜19日に「平成16年4月開催」と同じ「箱根小涌谷温泉の保養所」で開催され、東海大学原田ゼミ、関東学院大学芳賀ゼミの学生さんも含めて約50名が参加した。18日の夜は温泉でゆっくりした後、美味しいお酒と食事を楽しみ、その後は学生さん達を交えた語らいを行った。各部屋では遅くまで語り合った人たちも居たと言う。
19日は下記の通り4テーマの研究発表があり、活発な質疑応答も行われた。
<会場の保養所> <近くの公園の梅の花>
以下は「販売戦略検討会 幹事」の浜村さんが取り纏め、「よく効く知恵のビタミン通信」として会員に配信された文書を転載させていただきました。従って内容は浜村さんに帰属します。
●記事の内容についての問い合わせの場合、
お手数ですが下記宛てにメールでご連絡ください。
mailto:info@sohten.co.jp
販売戦略検討会 担当:浜村
●この「よく効く知恵のビタミン通信」に掲載されている内容は販売戦略検
討会が著作権を保有しております。無断で全文を掲載したり、一部を掲
載、またはコピーすることのないようお願いいたします。
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@講師:大屋 進氏(販売戦略検討会 会長、NGO鎌倉広町の森市民協議会 理事長)
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□★ 「鎌倉・広町の森の開発阻止と保全活動について」
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・現役時代から30年、地元の緑地を守るボランティア活動をしています。こ
のボランティア活動の運動とこれからの展望についてお話をします。
・古都鎌倉は海があって、山があって、平野があって成り立つものです。豊か
な自然に囲まれていなくてはいけません。
・私たちが保護活動をしている広町の森は、鎌倉市南西部腰越地区に残された
総面積60haにおよぶ県内有数の緑地です。ちなみに、腰越は義経が鎌倉に
入ることを頼朝に拒まれたときに、ここに留まって詫び状を書いたという歴
史のある場所です。
・広町の森は都市の中で豊かな緑と多くの生き物の生態系が育まれている貴重
な場所です。春には鳶、ハンゲショウ、山桜、藤、秋には蛍、トリカブト、
ススキなど、昔ながらの自然に触れることができます。広町は都市から姿を
消しつつある動植物が生きている森なんです。
・ところが、航空写真を見ると分かるのですが、昭和22年にはほとんど緑地
だった鎌倉からどんどん緑が減少し続けています。
・この広町を含む西鎌倉周辺は、古都保存法・自然保護法の対象外地区であ
り、業者が申請すれば開発が可能な地域でした。実際に1973年に3事業
者による広間地開発計画が発表されました。貴重な緑と生き物を根こそぎな
くす開発計画に対して地域住民の反対運動が始まりました。
・とは言っても、住民の反対運動は多くの法律的・経済的困難に直面すること
になります。
・たとえば、広町は開発事業者の私有地であり、事業者から買い戻すには
400億円が必要でした。それに、市街化調整区域じゃないので、法的な宅
地開発禁止は不可能です。しかもバブル期だったため事業者の宅地開発意欲
は非常に旺盛でした。
・そこで市民運動によって行政に訴えることで開発を阻止しようということに
なったんです。そして以下のような経緯を経て開発の阻止を実現しました。
’73年 3事業者による開発計画発表。反対運動始まる。
’83年 3事業者が正式に開発申請。
’84年 “鎌倉の自然を守る連合会”結成。8自治会、4,000世帯が
参加。
’90年 「緑地保全地区」指定請願12万人署名を県知事に提出。
’95年 条例制定請願22万人署名を市議会に提出。
’98年 広町トラスト基金募集開始。 寄託金・寄付金3,300万円を
達成。
’00年 市が広町を“都市林”として保全することを政策決定。
’01年 広町保全運動を展開する3市民団体が団結して市民集会開催。
事業者・銀行・市・県・政府に集会決議文提出、保全を要請。
’01年 事業者側が約50%の面積を110億円で市に売却することを表明。
’02年 土地鑑定によって、地価を1/3の74億円と算定。
’02年 上限115億円で市に売却を合意(10月)。
・市民運動の次へのチャレンジ
開発阻止という要求から、自然保全への市民参加を促すものへと運動の焦点
をシフトさせなければいけませんでした。そのために市民協議会を設立し、
地域住民主体の運動から県民・国民を巻き込む活動へと発展させることを目
標としています。
・鎌倉広町の森市民協議会が次のような理念の下設立されました。
優れた自然環境とのふれあいの場にしたい。
すべての生き物たちと共に生きたい。
子どもたちに自然の素晴らしさを知ってもらう場にしたい。
鎌倉の歴史的遺産と景観を守りたい。
鎌倉の歴史と緑を愛するすべての人々の場にしたい。
・広町の現状
業者の土地でしかも、開発を予定していたので、30年にわたる管理放棄に
よって自然の荒廃が進んでいます。たとえば、数多くの倒木、谷戸(湿田)
の乾燥化、植物の盗掘、生活廃水による水源汚染、リスが桜の樹皮を剥いで
しまう、といった問題が起きています。
・都市林計画への市民参加・提言
このような森の保全のために、都市林の基本構想作りへの参画、環境目標を
市民サイドでの設定、自然再生・維持・管理への参加といった形で 都市林
計画への市民参加を提言してきました。
・修復・手入れ作業のボランティア活動
市民のボランティア活動としては、森の下草を刈ったり、木の枝を落とした
り、間伐を行ったり、崖崩れの修復をしたりといった森の手入れをしています。
・また、保全・維持のための調査・パトロールも行っています。
・次世代へつなぐ環境教育のサポートということで、未来を担う子供達へ“総
合学習”という科目のときに出かけていって広町の森について説明しています。
・さらに前進を続けるために、市民協議会を昨年NPO法人化しました。
・NPO法人鎌倉広町の森市民協議会のHP「鎌倉広町からの風」を、倉科順耳氏の協力で作
成しました。このHP上で活動状況やイベント、会員募集や定款、活動目的な
どをお知らせしています。
倉科順耳氏は、第8回マイタウンマップ・コンクール総務大臣賞を受賞した
「鎌倉ぶらぶら」を作成された方です。
・この都市林計画についての市の基本コンセプトは以下の4つです。
1.後世への緑の継承
2.多様で良好な自然環境の保全
3.人と自然の織り成す良好な自然空間の保全・創出
4.広町の森に求められる社会的ニーズへの貢献
・現在の活動計画は次の通りです。
1.「都市林」実現に向けて、鎌倉市が今後進める「鎌倉広町の森基本計
画、基本設計策定」などへの、市民参画の視点に基づく積極的な参画と
提言。
2.「都市林」区域を中心とする「鎌倉広町の森」の現場活動の強化(保全
・維持・復元、観察、パトロール、ガイド等)
3.鎌倉市、関係ボランタリー団体・個人、地権者等との協力関係の構築・
連携の強化
4.「広町の森」未購入土地の購入・借り入れや維持管理等のためのトラス
ト活動の展開
5.小・中・高・学校の環境教育(総合学習等)に対する協力
6.会員(正会員・普通会員・賛助会員)の増加と会員活動参加の定着化と
会員とのコミュニケーション強化(情報・広報)
7.組織体制の強化(担当分野の細分化)と財政基盤の拡充強化
特に現在、力を入れているのが2と4です。広報は、広報チームが2ヶ月に
1回「鎌倉広町の森市民協議会ニュース」をつくり、近隣地域には経費節約
のため会員がポストインしています。
・このNPOの特徴は理事長の任期は最長2期4年と決めている点です。これ
は、HP上の定款に書いてあります。
どうも、NPOの理事長に一度なってしまうと、なかなかやめない、やめさ
せられないということになります。ボス化してしまうことが多いんですね。
私達は、このボス化を避けて、組織の流動性を高める必要があると思って、
こんな制限を設けたわけです。
・組織としての力を向上させるために、トラスト・チームや広報チームなどの
専門的な8つのチームに組織を再編成しました。
・今年は、引き続き、森の手入れと森の中を多くの子供たち等が安全にゆっく
り散策したりできる道の手入れとあわせ、来年度を目処に「田んぼ・畑作り
のための基盤つくり、水路・つくり等の準備作業に取り組んでゆきます。
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以上が大屋さんの講演の内容です。その後で、次のような質疑応答がありました。
Q:NPOの収支はどのような状態ですか。
A:会費と寄付金が収入源で年間予算が130万円ほどです。支出は、「協議
会ニュース」「広町からの風」「HP」等の広報活動費、森の手入れ用の
「鉈や鎌、一輪車といった諸道具」、こうした道具を保管する物置」「森
の入り口に設置したトイレの洗剤・掃除道具」などに100万円ほど出し
ています。
Q:ドネーション(寄付)、トラスト開発の仕組みはどのようにしていますか。
A:うちのNPOにはスポンサーがいません。ほとんどが会員の会費で成り立
っています。これからは自然保護に熱心な企業に寄付をお願いしていきた
いと考えています。今後の維持管理費については、市から若干の予算が出
ることになっていますが 足りません、会費にプラスして、市民や自然保
護に熱心な企業等からの寄付についても考えてゆきたいと思います。
Q:企業の作成する環境報告書に環境基金などの活動記録があるので、これを
検索すれば、応援してもらえる企業が見つかるのではないでしょうか。
A:まずは地域の企業から協力してもらえるようにしていきたいと思っています。
Q:図面までできていた開発計画を阻止できたのはなぜか。非常に困難なこと
だと思いますが。
A:開発業者のメインバンクにまで陳情したという例はこれまでの市民運動に
はなかったのではないかと思います。一部、住宅開発を進めて既成事実化
されそうになったが、その時も強硬に反対しました。更に、国土交通省、
環境省、金融庁にも行ってメイン銀行にプレッシャーをかけました。
こうした努力に加え、バブルの崩壊が直接的な引き金になったという幸運
もありました。
Q:色々な専門家のサポートがあると思いますが、どのような人がいますか。
A:専門家は多いですが、いわゆる自称専門家・プロという趣味の人たちで
す。こうした専門家の間で意見が一致せず困ることもあります。しかし、
何回も話し合い、調整しながら進めてゆくよう配慮しています。
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A講師:早川俊夫氏((株)ブリジストン ブランド推進室 マネージャー)
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□★ ブリヂストンのグループブランドマネジメント
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・’88年にファイヤーストーン社を買収して、本格的グローバリゼーショ
ンで世界第1位のゴム産業に成長しました。
・フォードとのタイヤリコール問題などがありましたが、’03年1月からグ
ループが共有するブランドビジョンを確立しました。それに基づいてグロー
バルベースのブランドマネジメント戦略の導入を本格化しました。
・昨年度の収益は連結ベースで2兆4千億円、営業利益1800億円、純利益
が1100億となっており、史上最高の業績となりました。
・世界のタイヤ市場シェア
タイヤ部門に限定したブリヂストンのシェアは,日本国内では40%と高い
のですが、欧州ではファイヤーストーンを加えても11%、北米で10%
で、海外を考えるとまだまだシェアが高いとは言えません。
・タイヤだけを見ると、世界市場でミシュラン(19.6%)、ブリヂストン
(18.9%)、グッドイヤー(18.2%)、3社合計で56.7%と
なっており、上位集中化現象が見られます。ブリヂストンは世界タイヤ市場
で現在2位なのですが、最近、グッドイヤーの伸びが弱くなっている点を考
考えると、当面の競争相手はミシュランとなります。いずれ2強になると思
います。
・乗用車タイヤの市場規模と販売シェア
現在、ブリヂストンは、世界に合計47拠点の工場を持っています。その内
訳は日本9拠点、アメリカ16拠点、欧州6拠点、他国16拠点です。
・タイヤを新車段階で取り付ける新車市場での販売が年間約5000万本、タ
イヤ交換需要に合わせた補修市場が約1億本となっています。
・さらに、南米、中国、メキシコに3つの工場建設を計画しています。
・ブリヂストンのブランド戦略の推移
’85年に従来の企業名だったブリヂストンタイヤ株式会社からタイヤを
取って、ブリヂストン株式会社に社名変更し多角化への対応をはかりました。
・’88年にファイヤーストーン社を買収して、一時的にダブルブランド化を
採用しました。ただ、ファイヤーストーンの業績が悪くて、買収当初は一日
1億円の赤字を垂れ流す状態でした。
・00年7月にアメリカのファイヤーストーン社のリコール問題が生じ、世界
的にファイヤーストーンブランドと、ブリヂストンブランドが大きく傷つき
ました。その結果、これまで株価が3000円強だったのに、一気に800
円にまで下がり、また、戦後初の赤字決算というダメージを経験しました。
・グループ・ブランドマネジメントの推進
そこで、グローバル規模で全グループのブランド・アイデンティティの再構
築が必要ということになった訳です。
・それは、具体的には、企業理念とブランドビジョンの制定・展開、欧米子会
社の社名変更とシンボルの統一、グループでブランドマネジメントが出来る
体制作り、をすることになりました。
・それまでは、日本、北米、欧州の3極で社名とシンボルマークがばらばらで
した。
・’03年1月からコーポレートブランドは、ブリヂストンで統一し、プロダ
クトブランドとしては、ファイヤーストーンやデイトンも残しました。
・企業理念とブランドビジョンの策定
すべての原点として、企業理念があり、その下に経営ビジョンとブランドビ
ジョン、それをベースにして中期経営方針があり、そこから企業活動が生ま
れる、という考え方を整理しました。
・企業理念は、主に社内に発信するもので、ブランドビジョンは主に社外に発
信するものです。そして企業理念とブランドビジョンに基づいて企業活動を
行うことにより、ブリヂストンとお客様の深い絆を作る、「信頼関係の構
築」が出来ると考えました。
・ブリヂストンの企業理念は、「ブリヂストン信条」としてまとめました。
一つは、精神:信頼と誇り、二つ目は、使命:最高の品質で社会に貢献、
としました。
・次にブランドビジョンとして、ブランドステートメントを制定しました。
それは、「ブリヂストンの変わらぬ情熱。世界のあらゆる場所で、すべての
人のそばで、最高の品質で応えること。心を動かす力になること。」です。
・それを具体的に表明するブランドメッセージを、”Passion for
Excellence”としました。
・ブランドのイメージ目標は、「Dynamic(情熱・行動・躍動)、
Innovative(独創・先進・挑戦)、Sophisticated
(洗練・知性・上質)です。
・グローバルブランド戦略
F1活動を核にして、高付加価値商品戦略をグローバルに推進しようとして
います。
・それは、日本では、高利益体質の維持、革新技術開発。欧州では、F1に積
極的に参戦し、高性能タイヤの名声を確立して拡販。米州では、世界的な高
級車での採用を加速して、BSブランドの拡販、という日米欧のゴールデン
サイクルを推進しようとしています。
・グローバル・ブランド戦略の中で、急成長している中国市場でのブランド・
マネジメント戦略も非常に重要になります。次に、ブリヂストン中国のブラ
ンド戦略のお話しをします。
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□★ ブリヂストン中国のブランド戦略
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・中国の自動車生産・保有台数予測
中国では、高速道路網の整備・拡張が進展し、総延長は、すでに日本の約4
倍、3万kmになっています。
同時に、車の生産台数も’04年で、米、日、独についで世界第4位に成長
しています。
・タイヤメーカーのシェアは、インドネシア系の“ガジャツンガル”
(15.4%)、韓国系の“クムホ”(11.5%)、“ハンコック”
(11%)、中国系の“正新”(8.3%)、ミシュラン(回力)(9.3
%)、ブリヂストン(8.3%)、グッドイヤー(4.1%)となっています。
・今だに安価なバイアスタイヤが主流になってます。
・中国生活者のブランド意識
ブランド意識調査結果を見ると、購入時にブランドを意識するという回答は
上海では42.8%で、東京の34.3%よりも高くなっています。北京で
も33.44%、広州で28.6%なので、中国市場ではブランド意識が非
常に高いといえます。
・ブリヂストン中国の戦略としては、ブランド力向上による、高付加価値商品
戦略、TOPシェアの確保と存在感のあるブランド、を考えています。
・中国でのブランド戦略のターゲットは、高級車オーナーを中心とする年収
100万元以上の“富裕層”、大衆車や小型車のオーナーである年収10万
元以上の“アッパー中間層”、年収5〜10万元で今後の購入見込み層と考
えている“中間層”が上げられます。
・中国市場では後発のブリヂストンにとって、人口が多く将来性の高い中間層
の囲い込みが、非常に重要になると考えています。
・コミュニケーション戦略として、“B2C”という考え方を持っています。
これは、1つには、企業(Business)から顧客
(Customers)へのコミュニケーションですが、もう一つは、将来
の顧客集団と考えている次世代クルマ購入層(Community)への情
報提供に力点を置く、という2つのCを狙うということです。
・この戦略で、ターゲットユーザー層でのブランド認知率を、2006年まで
に中国でのミシュランと同じ60%までに引き上げることを目指しています。
・ブリヂストンのロゴは、白に赤いラインを入れたものをベースに統一しまし
た。このロゴに対する印象をインターネット調査したところ、スポーティー
国際的な感じ、現代的、と言う項目で高い評価になりました。実は、中国で
はおめでたい色は赤なので、ちょっと心配していたわけです。
・他に、上海F1グランプリの展開、北京や上海のモーターショー出展、など
を通じて企業ブランドのロイヤルティ向上を目指しています。
・流通チャネル展開では、“汚い”、“暗い”、“怪しい”という店舗が多
く、ディーラー組織の確立とその質の向上が急務になっています。
・そこで、ブリヂストンのマイチャネルとして、"車之翼"を展開し、顧客と
の強い絆、販売力強化を目的に、特約店を拡大しています。
・"車之翼"のショップ内容は、規模別に小型店、中型店、大型店に分けてい
ます。小型店では安全訴求型店舗の実現を軸に、もっぱらホイール・バッテ
リー、オイルなどの部材を販売しています。日本のタイヤショップ並です
・中型店は美容装飾型店舗を目指し、芳香剤・カーワックス・洗車サービスの
販売を合わせて行っています。さらに、大型店では、カーライフ提案型店舗
として、音響・カーアクセサリー・シート加工なども加えてします。日本の
オートバックス並です。
・車之翼の管理者ならびに従業員の教育体制の整備として、
Bridgestone China Educational
Centerを2005年2月に新設し、スタッフの質の維持とモチベー
ションの高揚を目指します。
・社会貢献としては、現在中国ナンバー1の天津バレーボールチームをサポー
トしています。また、計画中のものとしては、交通事故死亡者が多いので、
交通安全啓蒙活動の推進を考えています。
B講師:佐藤康男氏(みらい経営労務研究所 社会保険労務士)
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1.すべては人口問題から始まる
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□★ 1.日本の人口の歴史
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・人口の長期動態統計グラフを見て驚きました。まず、16世紀末の慶長から
江戸時代にかけて急激に増加しています。戦争が無くなって農業生産が順調
に拡大するようになってきたからだろうと思います。
・続いて、明治以降に急激に人口が増加しています。これは産業革命の影響です。
・今から100年、200年後の世代の人たちは、「昔の人は、石油などの資
源をたくさん使って・・・」と私達の事を恨むのではないでしょうか。なぜ
なら、「覆水盆に帰らず」燃やしたものは再生できないのです。
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□★ 2.現代の人口問題
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・日本の人口予測のグラフを見ると、なだらかですが、少子高齢化が始まって
いる事が分かります。
・戦後、ベビーブームで生まれた人たちが2007年には60才になります。
それと同時に2007年に全体の人口が減り始めると言われています。
・しかし、内訳を見てみると労働人口(15歳〜64歳)は、既に2000年
から減りはじめています。子供(15歳未満)はもっと前、1990年から
減り始めています。
・このような状況に直面して国が大騒ぎしています。高齢化によって、保険料
などをもらう人が増えているのに、少子化によって払う人が減っている(税
負担増)ことで、経済に影響が出ているからです。
・国の対策は、非常に困難な労働人口の減少歯止め策や増加策に力を入れてい
ますが、むしろ労働人口の減少に対しては、生産性をあげなければいけません。
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2.財政逼迫状況に対する国の対応
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・国民一人あたりの国の借金は450万円近くあります。具体的な政府の対応
策としては、保険料値上げ、保険給付額の引き下げ、増税、支出削減を行な
っています。
・これまで保険料は、月給額に応じて決まっていたので、ボーナスの方を上げ
て月給を抑えることで保険料を下げるというやり方ができたのですが、’0
3年から健保・厚保負担額が総報酬額で決まることになったため実質値上げ
になりました。
・保険給付に関しては、’04年に国民保険・健康保険の大改正がありまし
た。これまでの物価スライド制がマクロ経済スライド方式になったのです。
・マクロ経済スライド方式というのは「労働者一人当たりの平均賃金×労働力
(働く人の数)」によって保険給付額が決まるというもので、労働力が減少
すると、たとえ賃金が上がって、負担額が増えても保険給付額が下がること
もあります。
・雇用保険は、数年前までは黒字でしたが、最近は失業者が増えたので、あっ
という間に底をついてしまいました。そのため、逐次給付額を引き下げ中です。
・保険で間に合わない分は税金で補填することになります。増税ということに
なりますが、消費税で一気に挽回しようということで、消費税率アップは必
然です。
・役人が今一番良い思いをしています。クビにはなりませんし、年金も多くも
らえます。そこで小さな政府にということになるわけです。まずは郵政民営
化ですが、なかなか進んでいないのが現状です。
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3−1.雇用に関して
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・まず、労働保険・社会保険制度の歴史を参考までにご紹介します。
・雇用保険
失業保険が前身で、失業者給付に加え、労働者福祉においても重要な役割を
果たしています。
・国民年金
若い人たちで高齢者を助けていこうということで、1961年に国民皆年金
体制が生まれました。しかし、その頃は、任意加入制度で、周知徹底されな
かったため、主婦の非加入問題を抱え込むことになりました。
・そこで1986年に共通の基礎年金制度に大改正され、厚生年金・共済など
の加入者は新国民年金に自動加入することになり、その配偶者も自動的に国
民年金に加入(保険料は無料)することになりました。
・厚生年金保険
国民年金から支給される基礎年金の上乗せとして、報酬比例の年金を支給し
ます。
・健康保険
健康保険の名称は大正時代からありましたが、その内容は現在の労災保険で
した。1958年に新国民健康保険法が公布されて、全国の市町村で実施が
義務化されました。その後、全国に普及し1961年には国民皆保険が達成
されています。
・介護保険
2000年に介護保険法が施行され、2005年4月の大改正に向け今国会
で審議中です。
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□★ 1.取りまく環境、問題点
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・雇用の現状、問題点を企業、若者、高齢者の観点から整理してみたいと思います。
・企業という観点からは、年功序列から成果主義への移行が進んでいることが
あげられます。でも、最近では富士通の例で明らかになったように、成果主
義一辺倒ではダメだという認識も生まれてきています。この失敗を反省して
いるかどうかが、優良企業とそうでない企業の差ではないかと思います。
・現在の制度では、定年は60歳、年金は65歳からになっています。年金を
もらえず、働くこともできず、というこの5年をどうするかが問題となって
います。
・これに対し、2006年4月に「改正高齢者等雇用安定法」が施行されま
す。これによって、企業は後で説明する3つの高齢者雇用確保措置のいずれ
かを選ばなくてはならなくなります。
・若者
働き方に戸惑いがあるように思います。ホリエモンさんのように元気な人が
出てくると良いと思います。失敗を恐れずにチャレンジする人が出てくるの
は良いことだと思います。
・NEET(Not in Employment Education or Training)という何もしない
人も増えています。
・高齢者
今のところ安定していますが、老後の生活に不安もあります。
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□★ 2.高齢者雇用確保措置の義務化(2006年4月施行)
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・企業は、次の3通りの高齢者雇用確保措置いずれかを選んで、希望者を65
歳まで雇用しなくてはなりません。
A案 :65歳までの定年の引き上げ
B案 :希望者全員を継続雇用又は再雇用
C案 :定年制の廃止 の3つがあります。
・この措置の目的は、年金がもらえないのに働くこともできないという状態を
なくす事です。
・この措置には段階的な対応期限が設けられており、’13年4月までに全員
が65歳まで雇用されることになっています。
・再雇用と勤務延長(継続雇用)の違いを説明します。
・再雇用では、退職と雇用が同時に発生します。つまり退職した後すぐ企業に
戻るということになります。これに対して継続雇用は退職が発生しません。
・再雇用の場合、再雇用前の退職時点で退職金が支払われ、その後の退職金は
ないのが普通です。これに対して、継続雇用では退職金が積み増しされてい
きます。
・労働条件については、再雇用では賃金などの条件が見直されるのが一般的で
す。給料4割減が平均的です。これに対して、継続雇用の場合、賃金低下は
雇用条件の不利益変更とみなされ るため、条件の変更は困難です。
・雇用形態は、再雇用だと嘱託などに変更可能ですが、継続雇用だと変更は困
難です。
・一般的なサラリーマンの60歳定年後の収入には、約4割減の給料に加え、
高年齢雇用継続給付と厚生年金があります。
・高年齢雇用継続給付は、賃金が25%以上減少した人に国が雇用保険から補
填してくれるものです。この給付金の計算に使われるのは給与(月給)低下
額で賞与は関係ないので、59歳の年収が同じでも月給が高いほうが得とい
うことになります。
・60歳定年間近になった人は定年後の収入を計算してみるべきです。
・安定雇用・雇用促進のための助成金もあります。
・’05年年度中に定年を迎える高齢者を継続雇用すれば、企業規模で助成金
を受ける事が可能です。
・試行(トライアル)雇用により、対象労働者を1人雇用するごとに月額5万
円(上限3ヶ月)が奨励金として支払われます。
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3−2.介護保険に関して
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・介護保険に関しては、大きなテーマであるにもかかわらず、先送り先送りで
うやむやなままになっている問題が多くあります。
・たとえば、今国会でも財源確保のための保険料徴収対象年齢の拡大(現行の
40歳から20歳へ)や、障害者福祉との統合は先送りされることが決定し
ています。
・介護保険の保険料は60歳以上の保険料の半分は税金で支払われています。
このまま行けば年金が潰れます。年金だけ潰れて国が潰れないわけがありま
せん。年金を払うと損だという人は、払わないと本当に大損してしまいます。
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3−3.医療.年金に関して
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□★ 1.健康保険、現状の検討課題
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・医療の進歩などによって受益者層が増加したために医療費が膨張する一方
で、財源を支える労働者層が減少し保険料収入が減少しています。財政破綻
の危機を迎えています。
・少子高齢化と直接の関連はありませんが、医療に関して混合診療の問題があ
ります。現在の制度では、保険対象外の医療が含まれた混合診療は、すべて
が保険対象外となります。
・この問題に対して、宮内義彦オリックス会長を議長とする規制改革・民間開
放推進会議は、混合医療であっても保険対象部分には保険を適用するという
改善案を提案していますが、日本医師会が医療の安全性を確保できないとし
て強硬に反対しています。
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□★ 2.年金改革
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・今年の4月から65歳未満の在職老齢年金で一律2割支給停止が廃止され、
働きながらも年金をもらえる額が増えます。
・’07年には、70歳以上の在職老齢年金制度や離婚した夫婦の年金権を分
割できる制度が導入されます。
・’04年の国会で、国民の年金知識に対する無関心さが分かりました。
・年金は大きく分けると国民年金、厚生年金、共済年金の3つに分けられてい
ますが、現在、スウェーデン方式を意識した年金の一元化が検討されています。
・スウェーデン方式というのは、スウェーデンで’99年に導入された新年金
制度で、それは下記の特徴があります。
1.保険料の固定化(みなし掛金建て)
保険料を固定し、「負担できる範囲内で給付する」という原則を立てました。
2.所得比例型の年金に1本化
個人ごとに年金口座(個人勘定)を設け、「みなし保険料資産」(拠出
額+みなし運用収益相当分)が記載されます。そして、負担と給付の関
係や自身の給付予定額などが目に見えるよう工夫しました。
3.年金受給額
61歳時点の個人別年金口座の「みなし保険料資産」を平均余命で割っ
た額になります。
4.最低保障年金を新設(日本的には生活保護制度)
最低保障年金を新設し、少ない保険料しか払えない低所得者に、所得比
例年金では不足する分を税で補います。
・大きな特徴は、財政方式は主に賦課方式を維持する一方で、年金給付の算式
を給付建てから拠出建てに変更した点です。このため、「二重の負担」の問
題はほとんど生じません。そして、保険料と給付が明確になるため、世代間
の不公平に不満を抱く若年層の理解が得やすいという長所があります。
・スェーデン方式そのものは、今世界で一番優れた年金制度だと思います。
しかし、社会保険担当大臣が自らその座長となり、利害が直接関係する労使
の代表や、年金受給者・女性などの代表メンバーを全てはずし、ごく少人数
の政治家(与野党の代表)だけのワーキンググループで検討した、と言うプ
ロセスそのものをまねすることが重要ではないかと思います。
・また、ただ真似するのではなく、まずは共済と厚生年金を一緒にしなくては
国民は納得しないでしょう。
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4.これからの時代をどう生きるか
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・子供の数は、減ってもかまわないという考え方も必要ではないでしょうか。
赤川学さんの『子どもが減って何が悪いか!』という本に書かれています
が、少子化は時代の流れ、経済の流れにより無理に止められるものではない
のです。
・男女共同参画社会は望ましいのですが、子供を増やす効果は認められません。
・元気な人たちを相手にする国、日本にしていかないといけません。
・PPK(ピン・ピン・コロリ)の長野モデルが望ましいと思います。
・4年前にベストセラーになった『金持ち父さん、貧乏父さん』を読みまし
た。一所懸命勉強すれば、良い大学、良い会社に入れると教えるのが貧乏父
さん。不労所得をどう手に入れるか、そのためには勉強もしなくてはと言う
考えが金持ち父さん。これまでの教育は後者はけしからんと教えてきまし
たが、これからはこうした教育が必要だと思います。
・国際化にも積極的に対応していく必要があります。今までは外国に出て行く
ことが国際化でしたが、これからは身近な生活の場で外国を受け入れること
が国際化のテーマです。
・これからは、特に若者は生活の場を日本に限らずどんどん外国に出て行くべ
きです。
・少子高齢化を防ぐのではなく受け入れて、それを前提とした他のやり方を見
つけていくことが重要だと思います。
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C講師:豊口徳正氏(関東学院大学 3年、芳賀ゼミ)
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ビジネスプラン「ふるさと観光」
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□★ 1.本プランの提案動機
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・皆様の中で田舎暮らしに憧れを少しでも抱いている方は多いのではないで
しょうか。「元々都会出身」「すでに実家が無くなってしまった」「仕事で
忙しく、帰省する暇がない」、こういった理由で田舎暮らしを諦めている方
もいらっしゃるのではないでしょうか。
・私たちが考えたビジネスプランはこういった方々のニーズを叶えるものです。
・ふるさと観光とは、地方の田舎と呼ばれるような自然豊かな地域で、老夫婦
2人で農家を営んでいる家をフランチャイズで組織化し、ペンションチェー
ンを行うといったビジネスモデルです。
・そもそもの開発動機は、現在の田舎暮らしブームや、地方の過疎化問題、こ
の二つの要素がきっかけでした。
・TV東京の「田舎に泊まろう!」や、日本TVの「鉄腕DASH」、 先日
発行された『R25』のスローライフの記事など、多数のメディアに「田舎
暮らし」が取り上げられています。
・また、田舎に住みたい、脱サラして農業をしたいという大きな夢があった
り、ベランダに家庭菜園を作ってしまったり、無農薬野菜を出来るだけ食べ
るようにしているなど、身近なところから自然を味わっている人々もいます。
・地方の過疎化問題は深刻です。息子や娘が都会へ行ってしまい跡継ぎがいな
いという問題があります。また、地方財政が厳しく自分たちの市町村だけで
は生き残っていけないため、近隣との合併が各地で進められています。
・さらに地方は30年後、65歳以上の人口が30%を越すといった厳しい状
況にあります。どれも簡単に解決できる問題ではありません。
・そこで当社で、この田舎ブームと地方の過疎化問題、双方のニーズを満たす
ことが、私たちのプランの役割です。
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□★ 2.ビジネスモデルの特徴と戦略
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・サービスの特徴は、都会に住む家族に擬似的な帰省をしてもらおうというこ
とです。都会で生まれ、都会で育った人の中には「自分には田舎がない」と
いう人が多くいます。そのような人たちにこのプランです。第2の故郷とし
て、帰る場所を私共は提供いたします。
・私たちのサービスのポジショニング上の特徴は、個人旅行やツアー旅行など
よりも安く、旅行目的が観光ではなく生活にあり、消費のスタイルが出来合
いのプランを受動的に楽しむのではなく能動的に自分で内容を決めるという
点にあります。
・例えば、農作業をしたければ一緒に収穫の手伝いなどもすればいいですし、
一日ぼんやりと過ごすことも可能です。自分の好きなことができるのがこの
プランの特徴です。
・具体的なプランの例としましては、基本的には金曜日の夜から日曜日までの
2泊3日をご提案させていただきます。もちろん1泊2日や、長期宿泊も可
能です。
・金曜日の夜、会社から急いで帰宅したお父さんは奥さんと2人の子供を連れ
て車で出発します。その日はそのまま就寝します。次の朝、さわやかな小鳥
のさえずりで目が覚めた一家はお婆さんのおいしい朝食をいただき、おとう
さんと息子はお爺さんと一緒に山へ山菜取りに出かけます。
・一方お母さんと娘はお婆さんと一緒に庭の畑で野菜の収穫です。お昼はお婆
さんとお母さんと娘3人で作ったお手製のおむすび。夕食には、自分たちの
収穫した山菜や野菜をふんだんに使った家庭料理をいただきます。
・最終日。明日からの日常に備えて何もしないでのんびり過ごしていただきま
す。たくさんの野菜のお土産をいただき、別れの時がやってきました。「ま
たいらっしゃい」というお婆さんの優しい言葉に送られ帰宅の途につきま
す。このように、心温まる体験が出来るのがこのサービスの特徴です。
・ターゲットとしましては、都心で暮らす小さい子供のいる家族をターゲット
とします。私たちのターゲットとしているモデルは芳賀先生の家庭です(夫
婦、子供2人)。実際には、この家族の中でも、疲れきっているお父さんを
メインターゲットとして販売していきます。
・価格については、農家の大きな一軒家という遊休施設を利用するというこ
と、顧客も参加するという形をとるために、無駄な人件費の削減にもつなが
るということから、非常に安くなっております。
・また、宿泊数が長いほど割引くことによって、1回あたりの客単価をあげる
工夫をしています。
・プロモーション活動といたしましては、ビジネスマンの多い新橋などでのビ
ラ配りや、直接会社を訪問してパンフレットを置かさせてもらうといった方
法をとります。
・また、予約などはインターネットか電話にて行います。このプランのスロー
ガンは「ケータイの電源をOFFにしてください」というもので、お客様に
非日常を味わっていただきたいという私共の願いが込められています。
・加盟農家の開拓も非常に重要なポイントとなります。開拓の基準として農業
人口が10%以上、都心から二時間で行ける範囲という地域を調査したとこ
ろ、茨城・栃木・群馬の3県で17市町村見つけることが出来ました。
・農家と当社との間で結ぶ、フランチャイズ契約の内容は、ペンション経営の
ノウハウ、会計の管理、パソコンの指導、設備・備品の仲介などを行います。
・費用につきましては、従業員私たち2人の人件費400,000円。そして
自宅での勤務となるため、水道光熱費は考えません。通信費として
20,000円。広告費として30,000円。交通費が50,000円の計
500,000円が毎月の固定費となります。
・月間売上は1軒の1回の売上32,000円×4週で128,000円。稼働
率を50%とした場合、128,000円×85軒×50%で
5,440,000円となります。
・加盟農家と当社の配分は、1:1とするので、加盟店への支払いは、
2,720,000円となります。そして、当社の月間売上2,720,000
円から固定費の500,000円を差し引いた2,220,000円が当社の
粗利となります。
・加盟農家の月のコストは、50%の稼働率と考えた場合、32,000円の
売上から食費2,500円や通信費4,400円、パソコンの減価償却費
10,000円を除いた約15,100円が利益となります。
・消費者のメリットとしましては、豊かな自然が満喫できる、スローライフ、
人とのふれあいや、家庭料理、といったベネフィットを安価に楽しめると
いったことが挙げられます。
・オーナーのメリットとしては、まず寂しさの解消、空いた部屋の有効活用、
コミュニケーションの機会、収入があるなどがあります。
・市町村のメリットとしては、多くの人がその地域に来るようになることで、
地域の活性化、自然を好きになった人々の定住、過疎化への対策、地域ブラ
ンドイメージの構築などが期待できます。
・これからの課題といたしましては、加盟農家の開拓、ペンション経営のノウ
ハウの提供方法、サービスクオリティの維持が挙げられます。これらの課題
を克服することでより良いビジネスになるのではないかと思います。
・10年後には、日本全国の農家がいきいきと過ごせるようにしていきたいと
思っています。
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以上が豊口さんの発表です。
この発表に対して、会員の方から活発な質問とアドバイスがありました。そ
れを順にみてみましょう。
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□★ 3.アドバイス頂いた事と改善するべき点
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Q:政府が推進している経済特区を活用するのが良いのではないでしょうか?
また、それ以外に行政面での制約に対しての対策とコストについてはどう
なっていますか?
例えば、旅館業法や消防法への対策などをどう考えますか?
A:アドバイスで頂いた特区を利用してコストを補うと共に消防法などもクリ
アしていきたいと思います。
Q:立ち上げに必要な創業費についてはどのように考えていますか?
A:自宅をオフィスとして利用するなどして創業費はほとんどかからないもの
と考えています。
この返答に対して、さらに次のようなアドバイスを頂きました。
ビジネスプランを考えるときには、そのプランを「売れる」レベルでつくら
なけばいけません。ですから、実際にはあるものを利用するとしても、ビ
ジネスプランではオフィスや設備・備品の取得費用なども検討してください。
また、実際にこのビジネスを始めるまでに必要な加盟店開拓の費用など、
他にもイニシャル・コストとしてかかってくるものはたくさんあるはずで
す。これをクリアしないとビジネスが始まらないので、これをきちんと計
算して回収する計画を考えてください。
加えて、利益計算も粗利しかでていませんが、実際には企業の命運を決す
るのは純利ですからこのレベルまできちんと計算してください。
Q:トイレなどを考えると、今は、和式のトイレを使えない子供もいます。ま
た、虫を嫌がる人もかなりいます。ターゲットを家族にすると、不便があ
るのでは無いでしょうか?
A:確かにお手洗い等で問題は出ると考えますが、自然体験することがメイン
なのである程度は不便が付きまとうと考えます。
Q:85店舗も加盟店を獲得できますか?
A:85店舗というのは目標です。実際問題、初めは集まらないと思います。
しかし、フランチャイズ展開を考えていますし、店舗を増やす事は自分た
ちのプラスになる事は間違いありません。ですから、初めは一店舗を試験
的に運営してみて、運営できる実績と運営上の問題点をしっかり把握し、
マニュアルといった物を確立し、実際に出来ることを私たちが見せてい
き、店舗数を増やしていけたらよいと考えます。
Q:ビジネスとしてよりも、地域再生の取り組みとしてこのアイディアを活用
することを検討したらいかがでしょうか。特に、地方行政に提案して協力
を得られれば、実現できることもあると思います。
A:地方の町役場などで観光振興策の資料などを集めてきましたが、特産品や
地域の名跡の紹介がほとんどで、確かに手詰まり感を感じました。是非と
も検討してみたいと思います。
Q:老夫婦がお世話するというのはかなり負担があります。お世話する人のし
くみをつくってあげないと続かないのではないでしょうか?
A:確かに資格の取得や、接客の大変さを考えると無理が生じるように感じま
す。解決策は3つあると考えています。
1:アドバイスして頂いたプラン自体を田舎体験から田舎老夫婦お世話プ
ランに路線変更する。
2:地方の老夫婦ではなく、比較的若い意欲的な夫婦の家を探す事。
3:老夫婦をサポートするスタッフを雇用し、いずれは自社の従業員が接
客員として各物件に常駐するようにする。
プランとしてはやはり田舎暮らしを核としてやっていきたいと考えていま
す。また、3.に関しては費用の関係上実際の実現は難しいと感じます。
ですから一番の解決策としては2.でないかと思います。
しかし、実際に老夫婦が何らかの事情で田舎の立派な家から居なくなって
しまっている事実もありますので、そういった立派で空き家となった家を
有効活用する事が出来ないか検討する事は必要だと感じています。
空き家を買って人件費を使い、フランチャイズでは無い新たな拠点にす
る、空き家を活用したフランチャイズ展開、前者に関しては資本の問題で
実現は遠いですが、地方の立派な空き家に関しては何かしらの手をかける
べきだと考えます。
そういった視点からも地方行政の方々の力というものは必要になってくる
と思います。
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以上がQ&Aです。ビジネスプラン自体の完成度の点で見てしまうと、まだ
まだ課題がいっぱいありますが、田舎の農家の空き家を活用するビジネスモ
デルとしては、興味深い着想だと思います。
いずれにしろ普段とは違った発想があることが刺激になるので、そこに面白
さがあります。
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<合宿の発表終わり>
大屋講師 早川講師
佐藤講師 関東学院大学 豊口発表者<芳賀ゼミ学生>
原田教授(東海大学)