焦点:東南アジアの軍備増強が加速、中国にらみ潜水艦など調達

2012年 10月 9日 18:12 JST
 
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[シンガポール 8日 ロイター] 中国が初の空母を配備するなど海軍力増強に動く一方、中国の軍拡を警戒する東南アジア諸国は、経済成長も伴って国防予算を拡大し、貿易の要衝となるシーレーンや港の安全確保に向け、潜水艦などの装備調達を進めている。

インドネシアは韓国から潜水艦、中国・米国からレーダーシステムを購入。ベトナムはロシアから潜水艦や戦闘機を入手し、世界第5位の武器輸入国のシンガポールも最新鋭の武器を調達している。

石油やガスなどの天然資源が豊富な南シナ海では領有権問題が存在。領有権をめぐって中国と対峙するベトナムやマレーシア、フィリピン、ブルネイは、中国の海軍力増強に対抗する狙いがある。南シナ海の領有権問題とかかわりのないインドネシアやタイ、シンガポールにとっても、海洋の安全確保は、最重要課題の一つだ。

IHSジェーンズ・ディフェンス・ウィークリーのジェームズ・ハーディー氏は「経済成長によって、投資やシーレーン、排他的経済水域(EEZ)を守るための国防費が増加している」と指摘。「沿岸や海上での監視・パトロール活動が、最も大きなトレンドになっている」という。

実際、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)のデータによると、東南アジアでは2002─11年にかけて国防費が42%増加している。

軍備調達リストの上位には、軍艦や巡視船、レーダーシステムに加え、海上交通路への侵入防止に効果的な潜水艦や対艦ミサイルが含まれる。

潜水艦の調達について、国際戦略研究所(IISS)アジア事務所のティム・ハクスリー事務局長は「非常に重要だ。見られることなく、また予測されることなく甚大なダメージを与えることができる。それを域内どこでも実行することが可能だ」と解説する。

過去数十年間、東南アジア諸国のほとんどが、銃や小型戦車以外の兵器購入には資金をつぎ込んでこなかった。国内問題の対応が優先された上、米国の保護下にあったことで、外国からの軍事攻撃に備えるといったことは、重要視されなかった。   続く...

 
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10月8日、中国の海軍力増強を警戒する東南アジア諸国は、貿易の要衝となるシーレーンや港の安全確保に向け、潜水艦などの装備調達を進めている。写真は4月、フィリピンのマニラで行われた南シナ海領有権問題での反中国デモ(2012年 ロイター/Romeo Ranoco)
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