たいとる
Structure of the eye

「視覚器」

図1
視覚器の概要
T 眼球 : 眼球の構成は次のようである.
    外壁  外膜・線維膜  ・・・・  角膜・強膜
        中膜・血管膜  ・・・・  虹彩・毛様体・脈絡膜
        内膜・神経膜  ・・・・  網膜・色素上皮
    内容  房水・水晶体・硝子体
U 視神経・視路
V 眼球付属器
    眼瞼・涙器・結膜・眼筋・眼窩
W そのた
    血管・神経
     動眼神経・滑車神経・外転神経
     交感神経・副交感神経
     三叉神経
     眼動脈(網膜中心動脈・毛様動脈
◆要するに
  網膜からの神経線維は視神経に集まり(@視覚系),
   内眼筋は動眼神経(副交感神経)および交感神経によって(A瞳孔・調節系)支配される.
   外眼筋は動眼神経・滑車神経・外転神経に,眼瞼筋は動眼神経・顔面神経および交感神経によって(B運動系),
   涙の分泌は顔面神経(副交感)が関与し,知覚は三叉神経による(C知覚・分泌系),
 と 要約できる.

since 2004@視能矯正


図2

「眼 球」 eyeball / bulbus oculi

眼球は,直径 24 mm ,重量 7.5 g ,容積 6.5 ml の大きさで
(日本人の正常な眼球の重さは5.6 ~ 9.3gr,平均男7.52gr/女7.17 gr,容積は男7.31 cm3/女7.05 cm3,比重は1.026である(越智貞見,1917)),
眼内圧 10 ~ 20 mmHg により球形を保つ.眼球は,曲率半径 8 mm の球と 12 mm の球が組み合わされた形状である.

@外膜はコラーゲン線維から成る線維膜である.
正面は透明な角膜 cornea で,他の部分は白色不透明で強膜 sclera ,両者の境界を輪部という.後ろの強膜には視神経の接続部分がある.
角膜は透明で血管を欠く.栄養は周辺の球結膜下にある血管・房水・涙液などから浸透し,酸素は主に空気から直接とりいれる.
強膜は丈夫な膜で眼球の形態を保ち保護する.眼球を動かす筋肉が付着する.血管に乏しく,小児では薄く深層に色素に富む中膜を透かすため青みを帯びる.成人では強膜に脂肪が含まれるようになり,やや黄色調を呈する.

A中膜は色素を多く含んだ血管膜である.
強膜をはがすと「巨峰」のような外観となることから,ぶどう膜 uvea である.
ぶどう膜は後ろから,脈絡膜 choroid ,毛様体 ciliary body ,虹彩 iris である.
虹彩中央に瞳孔 pupil が開き,光の取り入れ口となっている.

B内膜は神経膜である.
光を感知し,脳へ送る信号へ変換するのが網膜 retina である.
ただし,信号変換機能のない細胞層は虹彩裏面まで連続している.発生学上,脳と同一の構造から由来する.

C内容は,水晶体 crystalline lens ,硝子体 vitreous body ,眼房水 aqueous humor である.
水晶体 lens は弾性に富み,特殊な線維状の透明な上皮細胞が織り込まれている.
硝子体 vitreous は透明なゼリー状の物質で,ムチン性要素(水,Na ,P ,ブドウ糖,ヒアルロン酸,ビタミンC など)と細い線維性要素(骨格,有形硝子体)とで構成される.
房水 aqueous は毛様体上皮細胞で産生され,眼房 chamber(前房,後房)を満たす.房水の排出口は前房隅角にあり,線維柱帯Schlemm前毛様体静脈へと回収される.

図3 図4

D眼球の面 dimension
眼球正面・角膜中央が前極 anterior pole ,後ろが後極 posterior pole である.前極と後極を結ぶ線が軸 axis となる.
眼球の中央で,外周の最も太い部分が赤道 equator である.

前後径は臨床的には眼軸という.通常,生体眼では角膜頂点から網膜表面(内眼軸=21.74 mm )までを計測する.

位置(方向)を表わすには,時計の時刻表示を当てはめる.すなわち,上下が 126時,左右が 39時となる.これとは別に,鼻側 nasal耳側 temporal を付ける.これは当然,右眼・左眼で時刻表示が対称となる.例えば,右眼の外側 lateral(耳側)横方向は 9時であるが,左眼で 9時方向といえば,内側 medial(鼻側)を指している.

方向について


図5

E眼球の構造はカメラにたとえられる.
角膜・水晶体はカメラのレンズに,強膜はボディに相当する.
虹彩は絞りであり,毛様体は水晶体を動かすオートフォーカス機構である.
フィルムに当たるのが網膜である.外界の像は網膜上に結像する.現像は脳で行われる.
(その後,記憶と照合され情報として認識される.)

内部は暗箱 camera obscura になっており,主として脈絡膜の色素が周囲からの光を遮断し散乱光を吸収する.

図6

「視神経・視路」 optic nerve & pathway

視神経は脳神経のひとつ(第U脳神経)で,概念的には眼球からの視覚信号を大脳視覚領へ伝達している.解剖的には眼球から外側膝状体までであるので,機能解剖的には,視覚伝達経路を 視路 と言っている.すなわち,
眼球視神経視交叉視索外側膝状体視放線視覚領皮質 ,である.

図7

「付属器」 accessory parts

図8

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reviced 2012)

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