2007-11-21 京大の山中伸弥教授かっこよす
■[よのなか]So cool, Prof Yamanaka!

ヒトの生殖細胞を使わず、皮膚の細胞から幹細胞を作り出した山中教授のグループの研究は大きく取り上げられています(ノーベル賞もん?)が、教授にインタビューしたTimes記者氏のブログに非常に興味深い内容がありやした。
なんと、教授の研究の原動力は日本政府の無能さに対する怒りなんだそうです。なぜ日本では生殖細胞の研究利用が認められているのに、あえてそれを使わずに研究してるのかを尋ねられた彼は・・・
ではどうぞ:
There were two terrible flaws with official Japanese attitudes to stem-cell research, he said. To illustrate the first, he pulled out a 500-page wodge of paper. This, he said, is what I have to fill out in triplicate every time the laboratory wants to use a single human embryonic stem cell for a single experiment. Then it takes a month to write and another month for the government to process, by which time a rival lab in the UK might have done the experiment a dozen times. "If this lab wanted to be competitive," he said, "I would have to get rid of one scientist and put two full-time paperwork administrators in their place."
The answer, he said, was to find a way of producing stem cells synthetically and giving labs like his around the world the chance to to what they should be doing - saving lives rather than civil servants' jobs.
His second attack was on the dangerous fickleness of Japan's Health Ministry - a fault that effectively forced hugely promising long-term scientific projects either to be squeezed uncomfortably into too short a space of time or abandoned due to lack of funding. The problem, said the Prof, was that the bureaucratic head of the ministry changed every three years or so. As each new chap comes in, he feels the need to stamp his influence on the direction of scientific research, and devises a new funding budget. This budget, said Yamanaka, is drawn-up on a non-scientific whim and consistently diverts money away from existing projects (no matter how successful or world-changing) and into new ones. Basically, he said, if you can't complete your project in three years, forget it.
日本の幹細胞研究に対する政府の態度には2つ大きな問題がある。まず、一つの幹細胞に関する実験のたびに500ページもの書類3部を提出しなければならない。これを書くのに1カ月、さらに政府の審査に1カ月、これでは英国のライバルがその間10回以上実験できてしまう。本気で競争しようと思ったら、研究者を一人首にして代わりに事務員を2人雇わなければならない。だからほかの研究者が、公務員仕事の代わりに実験に集中できるよう、幹細胞を人工的に作る方法を見つけたんだ。
それから日本の厚生省の気の変わりやすさ。長期研究を短い期間に押し込めたり、十分な資金を与えずに放置したり。問題は、事務官の長が3年ごとに変わることだ。新しい人が来るたびに、科学研究に足跡を残そうと新しい予算を立ち上げるが、科学的な根拠はなく思い付きだけで、すでにある研究プロジェクト(どんなに成功していても)から予算を奪ってしまう。基本的に、3年でプロジェクトが完成できなければ、あきらめろということだ。
歯に衣着せぬ明快なお言葉にしびれちゃいました。
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突然で大変失礼ですが、現在、iPS細胞に関する原稿を書いておりまして、つきましては上記訳を転載させていただいてよろしいでしょうか。
内容は、山中教授指摘の日本の行政のあり方を軸に、日本の民族思想について考察する、というものです。
内容の改変はいたしません。ただ縦書き体裁のため、数字部分や「カ月」表示などを変更いたします。
原稿のドラフト(途中までですが)を私の日記に記載します。
トラックバックいたしますので、なにとぞご確認の上、ご検討くださいますよう、よろしくお願いいたします。
突然で大変申し訳ありません。