ノーベル賞の山中教授、大阪マラソン出る！事務局は芸能人級警備も検討

京大ｉＰＳ細胞研究所の研究員たちとノーベル賞受賞決定を喜ぶ山中教授（京大提供）

　ノーベル医学生理学賞の受賞が決まった京都大学の山中伸弥教授（５０）は一夜明けた９日、妻で医師の知佳さん（５０）と京都市左京区の京大で会見し、「精神のリフレッシュになる」と趣味のマラソン挑戦を続行する考えを明らかにした。ｉＰＳ細胞の実用化に向け「私はまだ現役で研究を続けていく。これからが勝負」と意欲を燃やす一方で、１１月２５日の第２回大阪マラソン（報知新聞社後援）にチャリティーランナーとして出場する。“ノーベル賞ランナー”として今後も走り続ける意向だ。

　ノーベル賞の受賞者がフルマラソンを走る。歴代受賞者を振り返っても例を見ない“快挙”に山中教授が挑戦することになった。この日の会見で趣味のマラソンについて問われ、山中教授は今後もマラソンを続けることを前提に「頭をできるだけ真っ白にして精神のリフレッシュのつもりで走ってます」と説明。１２月１０日にスウェーデンで行われる授賞式を控え、第２回大阪マラソンへのチャリティーランナー（主催者招待）としての出場がすでに決まっており、受賞決定後の初マラソンとなることが濃厚だ。

　ｉＰＳ細胞の実用化に向け、今後ますます多忙になるが、研究成果を上げる意味でも、マラソンは欠かせない。妻の知佳さんが「主人はあまり愚痴を言いません。走りにいってリフレッシュしている」と指摘する精神的な効果だけでなく、山中教授によるとマラソンで得られる教訓もあるという。「研究生活は何十年もあるので、早く走りすぎて途中で倒れることのないように。実力以上にペースを上げたらバテてしまう。これまで通りやっていきたい」とマラソンに例えて気を引き締めた。

　昨年１０月、自身約２０年ぶりのフルマラソンとなった第１回大阪マラソンにｉＰＳ細胞研究所のメンバーと参加、４時間５３分８秒の自己ベストで完走。今年３月も、ｉＰＳ細胞の研究基金への寄付を呼びかけた京都マラソンで４時間３分１９秒と大幅更新。第２回大阪マラソンでは、実力トップクラスの市民ランナーの証明となる３時間台も視界に入ってきた。

　受賞は想定外だったという大会の組織委員会事務局は「大阪府警など関係各所と警備態勢など、さらに協議しなければ」と“山中フィーバー”の対応策を至急協議する意向を示した。同大会には、人気デュオ「コブクロ」の小渕健太郎（３５）やアイドルグループ・ＮＭＢ４８の福本愛菜（１９）の出場も決まっており「熱狂的なファンがいらっしゃる（芸能人の）方に準じた形で、どうするのがベストか検討したい」と表明。アイドルばりのサポートがつきそうだ。

　知佳さんは「疲れているのにあえて走ろうとする。走っているのを見かけたらほどほどにするように声をかけて」と苦笑いする一方で、山中教授は「ノーベル賞にふさわしかったと何十年後の人に思ってもらえるようにこれからが勝負。できるだけ早く研究現場に戻りたい」と決意表明した。支えてくれる家族とマラソンが、走り続ける研究人生の支えだ。

（2012年10月10日06時02分スポーツ報知）