取材時、小団扇課長は「安心していただくために」と繰り返していたが、通常より厳しい測定条件で測って「だから安心してください」というならまだしも、はるかにずさんな測定方法で「安心しろ」といわれて納得できるひとがどれだけいるだろうか。
ましてや東京都の下水汚泥焼却炉の排ガス処理設備は原子力施設に設置された焼却炉に比べて簡易なのだ。都によれば下水汚泥焼却施設の排ガス処理設備は、セラミックフィルター、バグフィルター、電気集じん機のいずれかの「高性能フィルター」に、アルカリ水を噴霧する湿式スクラバーという2段構成となっている。
だが、これが原発にある放射性廃棄物の焼却炉の場合、前段にセラミックフィルターなどを採用するだけでなく、後段に「高性能フィルター」として、さらに微細な粒子も捕捉できる、ガラス繊維のろ紙を重ねたヘパフィルターを設置するのが当たり前である。柏崎刈羽原発のように前段のセラミックフィルターを二重にした上でヘパフィルターを設置するという3段構えも珍しくない。つまり、東京都のいう「高性能フィルター」を二重にし、さらに高性能なフィルターまで配置していることになる。それだけ都の設備は放射性廃棄物を扱うようになってないということだろう。前出・京大の小出氏はこう提言する。
「トータルとして人々の被曝量を減らさなくてはいけない。やらなきゃいけないことはわかっていて、(焼却炉の)排気系にできるだけ出さない。そのためには性能の良いヘパフィルターを追加して設置するということをまずやるべきだと思います。それに普通の放射性物質を取り扱う施設であれば、排気のところからリアルタイムでまず測っていく。もう1つは長時間吸引して試料をとって長時間測定する。そういうやり方が必要だと思います」
東京都は、計3カ所の下水汚泥焼却炉で測定を実施し、いずれも放射性物質は検出していないとの“安全宣言”を近く発表する。もし本気で都民の安全を考えるのであれば、こうした提言に耳を傾けるべきではないか。