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にぎわい再び 田村市都路で「道の駅」

2012年10月09日

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田村市都路町に「道の駅」がオープンした=8日、田村市都路町

 ●帰宅住民集まる場に

 田村市都路町の国道288号沿いの空き店舗が6日から、小さな「道の駅」として再出発した。東京電力福島第一原発事故の影響で、区域再編後も住民の帰還、商店の再開が進まない。関係者は、住民が集える「にぎわいの拠点に」と汗をかく。

 8日昼前、店にポツポツと客が訪れた。避難先の仮設住宅から立ち寄った人や、バイクのツーリングでひと休みする人も。野菜を買い求めたり、昼食をとったりしていた。

 旧警戒区域の検問所があった場所から西へ約200メートル。原発事故で閉店していたレストラン「ホットハウス」が同市船引町に移転したのを機に、都路町商工会が「都路復興コミュニティ支援センター『結(ゆい)』」として立ち上げた。

 店内は54平方メートル。日替わりのうどんやコーヒーを出す飲食コーナーと、放射線測定済みの地元産野菜や日用雑貨を置く「かご市」、住民に自由な出店を楽しんでもらう「市場」を用意した。帰還した大半がお年寄りのため、今後は軽食の出前も計画している。

 都路町商工会の93事業者のうち、事業を再開したのは約70。再開が困難な約20の事業者の大半は商店や飲食店だ。経営指導員の村山新二さん(51)は「住民が戻らないので店は閉じたまま。住民は店がないから戻らない」と肩を落とす。

 都路地区は昨年9月に緊急時避難準備区域が解除された。しかし住民3千人のうち、戻ったのは600人強にとどまっている。

 国道288号は、警戒区域に指定されている大熊町の手前で通行止めになっている。「結」がオープンした6日こそ約200人が訪れたものの、7、8日は20人に落ち込んだ。

 昼食を食べに来た近所の吉田高蔵さん(75)は「ほとんど人の姿も見かけない場所になっちまったから、せめて地元の人間が応援してやらないとな」と話す。

 村山さんは「原発事故でいったんはコミュニティーが崩壊した。地域は住民が集える場所を1年半以上失っていたが、ようやく取り戻せた」と話す。「トイレ休憩だけでもいいから、どなたでも気軽に立ち寄って」

 午前10時から午後7時まで。問い合わせは都路町商工会(0247・75・2497)。(小沢邦男、藤原慎一)

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