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一番当たるマネー誌はどれか−平均利益率

プレジデント 10月9日(火)13時0分配信

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一番当たるマネー誌はどれか−平均利益率

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一番当たるマネー誌はどれか−平均利益率
写真・図版:プレジデントオンライン

■カギとなるのは安定性、投機性……

 個人投資家の投資指針の一つとなるのがいわゆるマネー誌である。どれが一番優れているのかを検証すべく、代表的なマネー誌3誌に掲載された日本株の個別銘柄を推奨する記事をピックアップし、各誌の3カ月間のパフォーマンスを検証してみた。

 今回、比較に使用した銘柄推奨記事は、ダイヤモンドZai2012年3月号「2012年を乗り切る 日本株大作戦『中長期投資編 6銘柄 じっくり待って2〜3倍増を目指せ! 』」、ネットマネー3月号「今月の爆騰24銘柄! 『株プロ7人の袋とじ本命株』」、日経マネー3月号「株の達人に聞く 特選10銘柄」の3つである。

 各誌の推奨銘柄を、発売の翌営業日である2012年1月23日に、読者が単元株式数(最小売買単位)ずつ購入したものと想定し、4月20日までの投資成績を日経平均株価と比較した。

 TOPIX(東証株価指数)と異なり、日経平均は発行株式数を加味しない平均株価がベースとなっているため、このような買い方を想定する場合には日経平均と比較するほうがよい。この手法でグラフ化したところ、図のような結果となった。

 ダイヤモンドZaiは、全銘柄に投資した場合の利益率はネットマネーの後塵を拝したが、銘柄間の格差が小さかった。上記期間で、最も値上がり幅が小さかった銘柄(関西電力)でも0.48%上昇しているため、手数料を考慮しなければ、損はしなかった。逆に最も値上がりした銘柄(日産自動車)でも17.71%の上昇であり、大きな利益は出なかったが、安定性という魅力があったといえるだろう。

 全銘柄に投資した場合の利益率が3誌中トップだったのはネットマネーであるが、一方で銘柄ごとのばらつきも大きかった。0.45%下がった銘柄(ラックホールディングス)が一つあった一方で、68.3%と、まさに記事のタイトルの通り「爆騰」した銘柄(ウエストホールディングス)があったのが要因である。下がったとはいってもわずか0.45%で、うまくいけば68.3%も儲かったのだから素晴らしいという見方もできるだろうが、金融理論的に見ると、このブレは外れるときにも大きくマイナスに作用すると考えられるため、全体的には投機性が高い銘柄選択であったといえる。

 日経マネー誌については、全銘柄に投資した場合の利益率がマイナスであった。ただし、全銘柄に「同じ金額だけ」投資するという手法をとっていれば、若干プラスで終わっていたことは指摘しておく必要がある。もっとも、記事で推奨していた10銘柄のうち、値下がりしたものが3銘柄もあり(日特建設、菱電商事、日本板硝子)、特に、31.41%下がった銘柄(日本板硝子)があったのはいただけない。また、値上がり幅が最も大きかった銘柄(フランスベッドホールディングス)でさえ上昇率は11.19%にとどまった。結果、どのような理屈をもってしても、選択すべきでなかったという結論となる。

 とはいえ、各誌ともまったくの外れはなく、タイミングを当てていればそれなりに利益を確定することができていた。ただ、それぞれ程度の差はあれ、動き方は日経平均とほぼ同じであった。つまり、ある程度の銘柄数になると、日経平均そのものに投資することと効果があまり変わらなくなるといえる。

 私はもともと、銘柄選択なるものはまったく信じていない。3カ月という短期間ではあるが、今回の分析からもわかるように、結局、日経平均に投資していたこととそれほど大きく変わるわけではないことが明らかなのだから、個人的には、雑誌で推奨された個別銘柄を購入するのであれば、代わりに日経平均のETF(上場信託投信)を購入するだろう。

 ※すべて雑誌掲載当時

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金融アナリスト 永野良佑(ながの・りょうすけ)
外資系の金融機関を中心に、先端的な金融商品の開発に長く従事。執筆・講演活動のかたわら、金融教育分野にも高い関心を持つ。『20代からのファイナンス入門』(ちくま新書)など著書・論文多数。
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金融アナリスト 永野良佑 構成=プレジデント編集部

最終更新:10月9日(火)13時0分

プレジデント

 

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